2018年も年末になり、今年読んだ本の中から36冊を厳選して紹介したいと思います(結構恣意的です笑)。ひとつくらい気になるものがあれば幸いです。

     

    ジャンルは人文・ビジネス・哲学(思想)・医療などで、小説などは除外しました。ちなみに順番は読み終えた順番なので、最初がとくにおススメというわけではありません。感想は読書メーターのものをもとにしているので、である調になっています。

     

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    目次

    1.精神科医の綴る幸福論/大原健士郎

    精神科医である著者の経験(患者の治療など)をもとに書かれた幸福論。著者は森田療法を中心にアプローチしているようで、森田療法の哲学が随所に散りばめられているように感じた。生きがいや繋がり、心構えが大切なんじゃないかという風に捉えた。

    『尊厳に死ぬためには、できるだけ尊厳に生きるべきである。尊厳な死は、恐らく尊厳な生の延長線上にある』(P146)

    『良い人生というのは、良い思い出の蓄積ではないかと思う。幸福な人生というのは、幸せな思い出の積み重ねだと思う』(P182)

     

     

    2.こんな夜更けにバナナかよ/渡辺一史

    面白いのだけど、しかし何が面白いのかと言われると的確に答えられない。障害とはなにか、生きるとはなにか、繋がりとはなにか、ケア(介助)とはなにか、そういったものが問いかけられているように思う。

    しかし、そこに明確な答えはない。言葉で説明できるほどシンプルではなく複雑なのだ。複雑ゆえに味わいというか妙味があるようにも思える。介護される側も介護する側もダイナミックに、流動的に変化しつつあるのだから、それを一律に決めてしまうような答えがないのは自明なことのようにも思う。大切なのは対話なんだろうなぁと朧気に思った。

     

     

    3.なぜ記憶が消えるのか/ハロルド・L・クローアンズ

    翻訳本にありがちな読みにくさもほぼない。しかし、医学的なことを扱っておりまったく知識がない人には読みにくいと思われる。医学に関わっている人や医学に興味がある人におすすめ。内容はアメリカの神経科医である筆者の臨床経験短編集といった感じだろうか。

    主には診察室に訪れる患者から得られるヒントをもとに臨床推論(いわゆる推理)をしていく。オルガスムスに至ると偏頭痛がおこると訴える患者の秘密とは? 手術中に記憶を失った外科医に起こったことは?など。

     

     

    4.美人の正体/越智啓太

    エビデンス(科学的な根拠)から導出された美人・ハンサムについての考察(外見の重要性、性格の良し悪し、頭の良し悪し、美人・ハンサムの定義など)について書かれている。こういう類いの本は統計の専門用語が頻出したりして分かりにくかったりするが、平易な言葉で書かれていて専門用語が出てきても説明してくれているので非常に読みやすかった。

    巷では科学的な根拠どころかなにひとつ論拠を示さないポエムみたいな書籍もあり辟易とするが、こういった本が増えるといいなと思う。同著者の『恋愛の科学』もおすすめ。

    参考:ロマンティックレッド~女性の魅力を高める色は赤?~ 

     

     

    5.行動経済学まんが ヘンテコノミクス/佐藤雅彦,菅俊一,高橋秀明 

    漫画なのでとても気軽に読むことができた。内容としては初学者向けだと思う。アンダーマイニング効果、感応度逓減性、フレーミング効果、アンカリング効果など。行動経済学の使いようは最後の部分に書かれていることが本質なのかなと思う。

    『行動経済学者リチャード・セイラーは、行動経済学によって得られた知見は、普段の生活の中で、非合理的な行動を起こしそうな時に、私たちをナッジ(nudge:注意をひくために、人を肘でそっと小突いて知らせる)するためのものになっていくべきだという考え方を示しています』(P151)

     

     

    6.データ分析の力 因果関係に迫る思考法/伊藤公一朗

    RCTや自然実験(RDデザイン、集積分析、パネル・データ分析)といったデータ分析というものについての概要、使い方、具体例、注意点などが平易に書かれている。

    以前から医療の世界ではEBMというものがいわれ、エビデンスが重視されていたが、昨今では企業や政治政策などでもエビデンスが重視されつつある。アメリカではオバマ前大統領がエビデンスに基づく政策形成を提唱し、民主党・共和党の共同法案としてエビデンスに基づく政策のための評議会設置法などが成立している。日本も感情論、人気取りに終始するのではなくエビデンスを考慮せねばならないと思う。

    参考:EBM(根拠に基づく医療)とは~初学者のための超基礎知識~

     

     

    7.賢く決めるリスク思考/ゲルト・ギーゲレンツァー

    読んでいた当時は『帰ってきたヒトラー』という映画を観て、国民の知性向上が大切だなあと思っていたのでこの本はドンピシャだった(参照:『帰ってきたヒトラー』の感想~ヒトラーは誰の心にもいる~)。確実性、リスク、不確実性をしっかり区別する必要がある。なぜなら対策をシンプルにするか複雑にするか変わってくるからだ。確率ではなく自然頻度で考える。

    小学校くらいからリスクリテラシーのカリキュラム(健康リテラシー・金融リテラシー・デジタルリスクへの対処能力)を導入する。これらをマスターするために統計的思考・経験則・リスクの心理学が必要。

    参考:リスク・リテラシーを学ぶ~確率ではなく自然頻度で考える

     

     

    8.世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事/津川友介

    エビデンス(科学的根拠)をもとに書かれている。非常にシンプルに書かれていて読みやすい(しかし、エビデンスの列挙という感じで読み物としてはいまひとつなところもある)。類似書としては、稲島司さんの『医師が実践する 超・食事術~エビデンスのある食習慣のススメ~』もオススメ。

     

     

    9.京大医学部で教える合理的思考/中山健夫

    これからの時代を生きていく上で必要な教養(主にリテラシー)が端的かつ平易にまとまっており、書いてあることはいたって基礎的なこと。しかし、この基礎的なことがけっこう杜撰になりやすいもの。多くの人に読んでもらいたい本。

     

     

    10.飲茶の「最強!」のニーチェ/飲茶

    飲茶さんの哲学の本は分かりやすくて面白くておすすめ。奴隷道徳、背後世界、大いなる正午、永劫回帰、力への意志といった聞いただけで拒否反応が出そうな言葉を、平易に解説してくれるのでとても理解しやすかった。

     

     

    11.名文を書かない文章講座/村田喜代子

    名文を書かない文章講座であるが、内容は名文(箴言)だらけといってよいと思う。私もときどき小説を書くが、非常に参考になる。また読み返したい。

    『文章なんて恐れる必要はないということである。どう書いても、紙に字で何ごとかを記せば文章になる。そしてその中に、その人だけの考えや発見が一行でもあれば、それが文章の価値というものになること。いい文章のからくりは、たったそれだけに尽きる』(P25)

     

     

    12.武器になる哲学/山口周

    知的好奇心が刺激される。キーワードの解説もよいが、前半に書かれている山口さんの哲学の分類わけがなるほどなぁと勉強になった。分類とは①問いの種類(「what」と「how」)、②学びの種類(「プロセス」と「アウトプット」)。哲学がつまらないと思われやすいのは、これらを区別できていないところが大きいのではないだろうか。

    哲学なんて暇な人の戯言でしょ?みたいに考えている人は、本著を読んでみると哲学の活かし方がぼんやり見えてくるかもしれない。

     

     

    13.具体と抽象/細谷功

    本書にあるのは世界を見るうえで重要な視点であると思った。抽象と短絡は違うというのは言い得て妙で、きちんと鑑別する必要があると思う(P74)。同著者の『「無理」の構造』、『アリさんとキリギリス』なども合わせて読んでみるといいと思う。

    『「抽象化」と「具体化」をセットで考えることです。これらは一つでだけでは機能せず、必ずセットになって機能します。(中略)まずは徹底的に現実を観察し、実践の活動を通して世の中の具体をつかみ、それを頭の中で抽象化して思考の世界に持ち込む。そこで過去の知識や経験をつなぎ合わせてさらに新しい知を生み出したのちに、それを再び実行可能なレベルにまで具体化する』(P129)

     

     

    14.ものの見方が変わる 座右の寓話/戸田智弘

    寓話という抽象と著者の解釈という具象のセットで構成されていて、全77話が収録されている。多面的な物の見方、解釈の仕方に気付き、また参考資料が豊富で知識も多く得ることができた。なかにはちょっと首肯しにくいところもあるが、そういうところを突き詰めていくのもまた思考が深まるのでよいのではないだろうかと思う。

    参考:エビデンスハラスメント(エビハラ)に注意しよう!

     

     

    15.日本人はなぜ臭いと言われるのか/桐村里紗

    エビデンス(科学的根拠)にもとづいて書かれていて、好感を持てた。また現代の医学ではまだ認められていないオーソモレキュラーメディスン(分子整合栄養医学)にも触れているが、極端ではなく中庸的な感じで紹介しているのもよかった(オーソモレキュラーを推進している医師は極端な人も多いので)。

    端的に臭いを予防・治療としようとするなら、口腔衛生、運動(有酸素)、睡眠、ストレス、食事、香り(香水とか)といった基礎的なところが大切のよう。歯磨きなどはへぇーと思うところもあり、一読の価値ありかなと思う。

     

     

    16.最高の体調/鈴木祐

    エビデンス(科学的根拠)にもとづいて書かれた人生指南書といった感じ。炎症と不安について書かれている。科学的なものだけではなく、仏教や哲学といった知識も入り交じりながら書かれていて、著者の該博さには驚いた。科学的な読み物になれてない人はやや難しく感じるかもしれない。ひとまず炎症を下げるように生活を変えていこうと思った。

     

     

    17.医療現場の行動経済学/大竹文雄,平井啓

    人間とはかくも不合理な生き物なのかと再確認した。しかし、それは進化の過程や生きやすさを考えれば、逆に合理的ともいえる。本著では医療現場におけるバイアス(思考の偏り)を中心に、その対処といった方法論から倫理的な注意点などについて行動経済学の観点から書かれている。

    リバタリアン・パターナリズムやトランスセオレティカル・モデル理論など知らなかった知見に触れられて勉強になった。医療関係者は患者(医療関係者もだが)というのはさまざまなバイアスに影響を受けていることを知る上でも本著を読むことをおすすめする。

    参考:思いやりが強い看護師ほど燃え尽き症候群になる!?

     

     

    18.食べ物のことはからだに訊け!/岩田健太郎

    非常に示唆深く、視野が広がる本であった。西洋医学(現代科学)の脆弱性を認めつつ、そこから導き出される「らしさ」を蔑ろにするのは極端であり、そういうことをしているトンデモを批判している。

    そして、「らしさ」はどこまでいっても自分自身に完全に当てはめることは不可能であるから、自分の直観(あてずっぽうの直感ではない)、美意識とでも換言できるかな?それを大切にせよと説く。観念でなく感性で食事をせよ。岩田さんは哲学からサブカルチャーまで幅広い知識を持っており、いろいろな知識に触れられるのもよかった。

     

     

    19.10万個の子宮/村中璃子

    子宮頸がんワクチンについてよく知らなかったので、知見を深めるために読んでみたがなかなか興味深かった。結論としては『「ワクチンによって患者が生まれた」のではなく、「ワクチンによって思春期の少女にもともと多い病気の存在が顕在化した」』(P32)に集約されていると思う。

    本書で紹介されている反ワクチンを掲げる医師たちの反科学者的な態度には辟易した。個人的には子宮頸がんワクチンが関係なかろうと身体表現性障害で困っている子供がいるなら援助していくのが大切かなと思う。ワクチン是非でうやむやになってるのが気がかり。

     

     

    20.大人の道徳/古川雄嗣

    逆説的な感じで興味深く読めたが、読み終わってみるとどういうことだったのかとやや混乱した。これは内容が悪いとかいうわけではなく、いろいろ新たな知見が出てきて、頭が混乱したためと思われる笑。

    いわゆる私が想像していた道徳、たとえば仲よくしようとか他人を尊重しようとかいうのは狭義的なもので、もっと哲学が根底にあるような広義かつ深い道徳をしっかり教えるべきとのこと。それはなぜか?というのを古代から近代にいたる歴史を通じて説明してくれる。うむ、非常にまとまりの悪い感想になったが一読の価値は大いにある。

     

     

    21.日本人は何を考えてきたのか/齋藤孝

    該博な知識に触れられて非常に勉強になった。齊藤さんの結論のひとつとしては、最近の日本人は基盤となる思想がないのがよろしくないのではないかとのこと。

    先述した『大人の道徳』(古川雄嗣著)でも指摘されていたことなので、なにか不思議な感じがあった。齊藤さんは儒教の思想が大切であると説くが個人的にはあまり首肯できないかな。パオロ・マッツァリーノさんの著書など読むと儒教は蔑ろにされていた面もあるから、そこまで影響力があったとは思えない。しかしながら、儒教の公共的な側面を大切にする教えは大切かもしれない。

     

     

    22.人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている/ふろむだ

    行動経済的とビジネス書を掛け合わせたような感じ。認知バイアスは知っていてもなかなか避けられるものではないから、それを活かして錯覚資産として人生をうまく生きていった方がええとのこと。

    錯覚資産というのは、「自分の得になるような他人の勘違い」のこと。本書でも指摘されているが、これは醜悪な生き方かもしれないけど人生はうまくいきやすいし、美しくない生き方だけど人生がうまくいかなかったり、醜悪な生き方を隠蔽する卑劣な生き方よりいいんじゃないの?というスタンスである。状況と目的に沿って利用していけばよいかもしれない。

     

     

    23.小説の言葉尻をとらえてみた/飯間浩明

    本書の言葉尻をとらえるというのは揚げ足を取ろうというものじゃなく、『単純に、「ことばを観察することはおもしろいなあ」と感じてもらいたい』(P254)とのこと。著者の簡単に誤用だと決めつけない、簡単に誤用と片付けてしまうのは一種の思考停止だという指摘はとても共感した。

    本書で取り上げられている誤用ふうの解釈・分析を見ていると、実はいろいろな背景があるんだなぁと。言葉というのは生物なんだなぁと思えた。これから小説を読む際は、言葉のチョイスをこれまでより気にして見れるようになると思う。

     

     

    24.多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。/Jam

    四コマ漫画と軽いコラムのセットが64編収録されている。SNS、人間関係、職場、自分に関するモヤモヤが主なテーマ。まず絵が可愛いので読んでて楽しい。あと、漫画に出てくる言葉や考え方がとてもユルくて、時にはなるほど!と思わせられる。

    自分のなかで無意識に作られてしまっている信念や常識、固定観念といったものに揺さぶりをかけてきて、認知行動療法的な本のようにも思える。たとえば、既読スルーされてなんでや!と短絡的に怒らずに、そういう人もいていいじゃんね!と思いを巡らせてみる。自分は自分、他人は他人。

     

     

    25.江戸の性風俗/氏家幹人

    学者さんだけあって、大量の史料をもとに書かれていて非常に勉強になった。個人的にはなんとなく読みにくい文章なのだけど、それを差し引いても面白く読めた。とくに言葉の変遷。痴漢とか不倫、密通、肌を合わせるといったもともと?の意味合いなどについてはなかなか興味深かった。

    先述した『小説の言葉尻をとらえてみた』にも安易に誤用とは言えないよみたいなことが書かれていたが、言葉の変遷を思えばそれもそうだなぁと。心中への民衆の過剰な興味もすごい。当時の人たちにとっては心中も立派な娯楽だったのかもなぁ。

     

     

    26.ブッダはダメ人間だった/大村大次郎

    仏教といえば苦行や戒律、お経などが欠かせないものであるとあると考えられているが、実はまったくデタラメ。こういった仏教の厳しい要素は、同時期にあったバラモン教やジャイナ教が仏典を編纂していくなかで入り込んでしまったとのこと。これはキリスト教における新約聖書にも同じ傾向がみられる。

    よくよく考えてみればブッダ自身が苦行は意味ないからやめたというので、悟りを開いたのになぜ今のお坊さんは修行をしているのだろうか?読んでいてとても心が軽くなった。もっと気楽に生きていけばいい。苦行なんて必要ない笑

     

     

    27.悪と全体主義/仲正昌樹

    本書の主張の要諦を記すならば、多様性の尊重、とくに反対的な意見の尊重とその原理的探索の重要性、そして自らの信念的な内省といえると思う。

    多様性を失うと全体主義になりやすくなることがナチスなどの例をもって語られており、そのナチス的な「悪」は特殊なものではなく、アイヒマン裁判に見られるようにいたって陳腐、つまりそこいらにあるようなものなのだ。そういった全体主義への予防策を論ずるのは難しい。なぜならその方法を押しつけることが全体主義につながるから。

     

     

    28.歴史の「普通」ってなんですか?/パオロ・マッツァリーノ

    いつものごとく多くの資料をもとに書かれていて非常に勉強になった。私たちはいつの間にか社会問題を新しく出てきたものであると考えたり、なんの根拠もなく伝統やルールを信奉してしまっているが、それがいかに間の抜けたことかがよくわかる。

    著者のときおり出てくる的を射た指摘にはいつも感心させられる。こういった科学的・信憑性の高い根拠をもとに論理的に考えることは本当に大切。感情的に議論しても無駄。感情に正しいも正しくないもないから。

     

     

    29.自己発見の心理学/國分康孝

    いろいろ学びになる良書だった。物事を考えていく際の3つのポイントが挙げられており(①自分の考え方を支える事実はあるか、②自分の考え方を支えるだけの論理性はあるか、③ある考え方に固執しているためにかえって自分を不幸にしていないか)、それらは今後物事の是非を考えていくうえで有用だと思った

    またビリーフを変えるだけといった自己啓発的なだけでなく、可能な限りでそこからの行動により出来事を変えていくことの重要性に触れていることも見逃せない。ついついたんなる自己啓発にとらえてしまうと非常にもったいない。同著者の『18歳からのデザイン』などもおすすめ。

    参考:完璧主義者が増えている!もっとゆるく考えようのすすめ

     

     

    30.言語力/藤澤伸介

    一般意味論を軸にして、論理療法、心理学、認知行動療法、行動経済学、構造構成主義(信念対立解明アプローチ)なども含んだ内容になっているように感じた。本書では内在的思考(≒自分勝手な思考)から脱却し、外在的思考(≒科学的思考)を主軸にすることで様々な問題に取り組もうと呼びかけている。

    外在的思考とはコトバとは記号であり解釈によって変わる、断定に注意、文脈を意識する、具体例で考える、抽象化による混同に注意、二値的考え方に注意など。本書を読んで思考の癖を意識できるというのは有用だと思う。

    参考:語彙力のすすめ~語彙の効能や増やす方法について考えた~

     

     

    31.学問のしくみ事典/茂木健一郎

    人文科学(10ジャンル)、社会科学(7ジャンル)、自然科学(9ジャンル)、文化芸術(10ジャンル)の36学問の通史が書かれており(紙幅の都合もあり広く浅くになるがこれだけはという重要なところがピンポイントで書かれているとも捉えられる)、図(イラスト)などもあって非常に読みやすい。

    た各章末には参考図書ガイド(初級・中級・上級)も掲載されおり、知識を深めたいときに非常に有用であると思う。さまざまなジャンルの最低限の知識(教養)を押さえるのにはうってつけの本であると思う。

     

     

    32.弱者の居場所がない社会/阿部彩

    2011年と古いが貧困や社会的包摂といったものをデータ(エビデンス)をもとに書いていて非常に勉強になった。貧困などを自己責任に帰結してしまうのはよろしくなく、社会を変える(排除をしないようにする)ことが重要。

    格差の拡大は貧困層でなく全層においてデメリットとなる可能性があり、弱者を排除する社会はすべての人を生きにくくする。恩恵を受けている富裕層が能力や努力だけでないことを意識することが重要というのは非常に大切だと思った。募金などの慈善行為が少ない日本はそういう視点がとくに欠かせないのではないだろうか?

     

     

    33.メタ認知で〈学ぶ力〉を高める/三宮真智子

    行動経済学や心理学などの知見(エビデンス)を踏まえつつ、効率よく学ぶ方法について書かれている。既知のことも多々あったが、具体的にどのように対策を講じればよいかなども書かれており有用であると思う。

    構成はメタ認知とはなんぞやといういう第1部と、メタ認知的知識(人は判断を誤ることがあるなど)を学習や教育に具体的にどのように活かすかという第2部にわかれている。後半は基本的に1ページ1トピックという感じで読みやすい。

     

     

    34.医学データが教える 人生を楽しんでいる人は歳をとらない/川田浩志

    人生を楽しんで生きるための方法をエビデンス(科学的根拠)に基づいて紹介している。筆者は人生楽しみ度、EOL(Enjoyment of Life)という言葉を用いているよう。私も同系統の本をいろいろ読んだが、比較的的確に重要な部分を紹介しているように思う。

    人間のEOL(人生を豊かに生きる)って身体的なものだけでなく、食事や人間関係、認知(現象に対する捉え方)、精神(メンタル)など複雑に関わってくるので、そういうことをざっと勉強するには有用な本であると思う。

    参考:Twitterでポジティブなことを呟く人は行動量が多い

     

     

    35.残業学/中原淳,パーソル総合研究所

    筆者が収集したデータを用いて残業についてメカニズムやその解決策などを分析している。昨今、働き方改革が推進されており(本著では会社のメリットとして残業を減らすことは大切と言及)、とくに経営者やマネジャーなどに有用な本であると思う。

    また非役職の人にも残業というものがいかにデメリットがあるかを知り、効率的に成果を上げていこうという気持ちを高めるためにもよいかな。本著でも残業は「遺伝」することが示唆されており、メタ認知として自分の信念状態を把握し、改善していくのにも役立つように思われる。

    参考:職場の人間関係は仕事のやる気・生産性・寿命に関わる

     

     

    36.さよなら自己責任/西きょうじ

    雑誌に掲載されていたコラムを大幅に改稿し書籍化したもの。各問いについて多くの文献・資料を用いつつ、多角的に分析している。筆者の筆力が高く、非常に読みやすい。これという明確な答えがないためそういうものを求めている人にとってはやや不完全燃焼になるかもしれないが、答えを模索する過程や理路といったものを好む人には非常に面白く読めるのではないかと思う。

    引用されている文献も興味深いものが多く、筆者の該博な知識もあり読んでいて知的好奇心をとても刺激される。自分がとくに好きなのは第9章(そもそも、ぼくたちはあの震災を本当に知っているのか?)。

     

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    一冊くらいは気になる書籍があったでしょうか?

     

    年末年始になにをしようかなぁなんて考えている人は、ぜひ手にとって読んでもらえたらなと思います。

     

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