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浮腫の原因(メカニズム)・種類・治療について まとめ

 

◆はじめに

臨床でもよく見かけるのが浮腫(むくみ)ですね。

 

下に載せているのは理学療法士の国家試験ですが、解けますでしょうか?(正答は最後に書いておきます)

浮腫の説明で誤っているのはどれか。すべて選べ。

1.血漿蛋白量の増加

2.Na+と水分の貯留

3.毛細血管内圧の低下

4.リンパ管の拡張

5.血管透過性の低下

 

健常者でも、立ちっぱなしだと足がむくんだりしますし、女性では足がむくんで困っている人も多いかもしれませんね。

 

今回は、復習がてら浮腫についてまとめていこうと思います。

 

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目次

◆浮腫とは

浮腫というのは、間質液(組織間液)が異常に増加している状態といえます。間質液は体重のほぼ10~15%にしめていて、リンパ液・脳脊髄液・消化液などから構成されています。

 

 

 

 

◆圧痕(圧窩)について

1.圧痕性浮腫

資料(1)より引用

 

浮腫の部分を押さえたあとに、圧痕が残るものを圧痕性浮腫(pitting edema)といいます。

 

正常時よりも水分が10%以上増加しているときに、圧痕が認められるとされています(10%以下の場合は圧痕を認めることが少なく、潜在性浮腫とされる)。

 

全身性浮腫で圧痕が認められるとき、体重50kgの人では3リットル以上の水が溜まっていると考えられます(体内の水の割合が0.6なので50×0.6=30リットル。30リットルの10%は3リットルになる)。

 

また圧痕性浮腫は、圧痕が回復する時間によってfast edemaslow edemaにわけられます。

 

fast edemaは回復にかかる時間が40秒以下のものです。ちなみに圧痕が1~2秒の圧迫で容易に出現し、それが2~3秒で速やかに消失すれば低タンパク性浮腫を疑います(2)。

 

slow edemaは回復にかかる時間が40秒以上かかるものです(10秒圧迫)。おもに心不全や糸球体腎炎などで認められます。

 

 

2.非圧痕性浮腫

浮腫の部分を押さえたあとに、圧痕が残らず、弾性があるものを非圧痕性浮腫(non-pitting edema)といいます。

 

視診ではあきらかに浮腫があるのに非圧痕性浮腫の場合は、粘液水腫(甲状腺機能低下症)やリンパ浮腫が考えらえます。

 

 

 

◆浮腫の分類(原因・種類)

1.浮腫の原因(メカニズム)

末梢組織で、毛細血管内の血液と間質液とのあいだで体液がやりとりされるときに、毛細血管内から間質液へより多くの水が移動することでおこるのが局所性の浮腫になります。

 

種類としてはリンパ性浮腫や静脈性浮腫、炎症性浮腫、血管神経性浮腫などがありますが、まずは原因・機序(メカニズム)で見ていこうと思います。

 

(1)毛細血管透過性の亢進

毛細血管壁は半透膜のような性質をもっています。

 

小さい分子やイオンである水や電解質(ナトリウムイオンなど)はよく通しますが、大きい分子である血漿タンパク(アルブミンなど)は通しにくいという特徴があります。

 

浮腫 毛細血管透過性

 

しかし、毛細血管壁が著しい高温・低温、あるいは化学物質(ヒスタミン、ロイコタキシンなど)によって傷害されると、血管壁の透過性がたかまり、毛細血管内の物質(水、電解質、血漿タンパクなど)が間質へ漏れだすことで浮腫がおこります。

 

浮腫 毛細血管透過性

 

また漏れだした血漿タンパク(アルブミンなど)が、組織液中の浸透圧を高めるので、さらに間質液が増えることになります(後述)。つまり、浮腫が悪化します。

 

 

(2)毛細血管内圧の上昇

動脈圧の上昇にともなって毛細血管内圧が上昇すると、間質液中へ移動する水分が増えます。

 

このとき、静脈圧が正常であれば間質液中の水分は再吸収されますが、静脈圧が上昇していると再吸収が阻害され、浮腫がおこります。

 

健常者が立ちっぱなし(座りっぱなし)で足がむくむのは、これが原因のひとつですね。地面から心臓までの高さの差による圧力が下肢の毛細血管にかかり、内圧を高めてしまうわけですね。

 

 

(3)血漿膠質浸透圧の低下

言葉が難しいので「膠質浸透圧=水分引き寄せ力」とでも考えておくとわかりやすいです(膠質浸透圧はドナン効果ともいいます)。

 

膠質浸透圧が低下すると、水を血管内に引き寄せる力が弱くなり、出ていった水を血管内に戻せないため間質にたまり、浮腫が起こります。

 

浮腫 アルブミン

 

血漿の膠質浸透圧は、血液中にふくまれるタンパクが大きく関係していて、「血漿膠質浸透圧の低下=血漿タンパク濃度の低下」と言えます。

 

おもに血漿タンパク濃度に関わっているタンパク質は、アルブミンとグロブリンです。とくにアルブミンのほうが強く関わっています。

 

アルブミンはグロブリンのおよそ4倍という浸透圧を発揮し、さらに血漿中にふくまれる量も多いことから膠質浸透圧の70~80%を担っているといわれています。

 

・アルブミン1g/dL:浸透圧6mmHg

・グロブリン1g/dL:浸透圧1.5mmHg

 

 

(4)間質圧(組織圧)の低下

間質圧は、血管内から水がでてくるのを抑えるようにはたらく力のことです。

 

組織によってその圧力が異なり、間質圧がひくい部位では、浮腫をおこしやすくなります。

 

わかりやすいのは瞼(まぶた)の浮腫ですね。まぶたは間質圧がほかの組織よりも低いため、浮腫がおこりやすくなります。

 

 

(5)リンパの還流障害

リンパ浮腫

乳がん術後(化学療法・放射線治療実施)のリンパ浮腫:資料(3)より引用

 

毛細血管を透過して間質へ漏れだした水のほとんどは、静脈で吸収されます。

 

しかし、回収されずに残された水と一部のタンパクは、リンパ管を経由して回収されます。

 

このとき、リンパ管の閉塞や外科手術による多数のリンパ節の除去がなされていると、回収が障害され、タンパクは間質に残ることになります。

 

その結果として、間質の膠質浸透圧(水分引き寄せ力)が上昇し、間質への水の貯留が促進され、浮腫が発生します。

 

リンパの還流障害で有名なのは、画像を載せました乳がん術後のリンパ浮腫ですね。今後はがん患者も増加してきますし、リハビリでこういった患者さんをみることが増えるかもしれません。

 

 

(6)組織膨化圧の亢進

甲状腺機能低下により、皮膚組織にムチンやムコイドが蓄積すると、これらが水と結合して組織の膨化がおこり、浮腫をおこします。

 

 

 

2.局所性の浮腫

浮腫は「全身性」と「局所性」に分類されます。

 

局所性の浮腫は、一部の血管あるいは毛細血管において液の内から外への移行が、外から内への吸収を上回った場合におこります。

 

(1)リンパ性浮腫

先述したリンパの還流障害によりおこります。

 

初期では指圧により陥凹痕をのこし、臥床により軽減にされます。

 

しかし、浮腫液が間質内に線維芽細胞の増殖をうながすため、不可逆的な皮下組織肥厚をきたし、しだいに難治性となります。

 

 

(2)静脈性浮腫

局所において静脈還流が阻害されたときにおこります。代表的な疾患が静脈血栓症です。

 

一般に問題になるのは、脛骨静脈・腓骨静脈・膝窩静脈・大腿静脈・腸骨静脈などの深部静脈に発生するものです。

 

また左・右総腸骨静脈にかかわる解剖学的な理由から、とくに左下肢におおく発生します。下のイラストを見ればわかるように、右総腸骨動脈が左総腸骨静脈で圧迫されやすいのがわかると思います。

 

Wikipedia「下大静脈」より引用

 

また、健常者でも足がむくむのは、この静脈性浮腫によるものです。

 

 

(3)炎症性浮腫・アレルギー性浮腫

炎症がある局所では、発熱・紅潮・疼痛とともに浮腫をおこします。

 

これはブラジキンなどの催炎物質におる直接的な血管透過性亢進、組織の損傷によって遊離したヒスタミンやH物質、ロイコタイキシンなどが関係しています。

 

 

(4)血管神経性浮腫

血管の収縮・弛緩を支配する血管運動神経の麻痺あるいは機能不全によって毛細血管内圧が上昇することでおこります。

 

 

 

3.全身性の浮腫

全身性に出現する浮腫は、さまざまな要因が複雑に影響しあっていることが多く、その機序(メカニズム)は単一ではありません。

 

おもに心臓・腎臓・肝臓などの臓器が関係していることが多く、それらについて説明していこうと思います。

 

 

(1)心性浮腫

心機能の障害による全身性浮腫を心(臓)性浮腫といいます。

 

①左心不全

左心不全になると、心拍出量が低下します。すると、全身の血液量が不足しますので、圧受容器は血圧が下がったと感知します。

 

その結果として循環反射がおこり、血圧をあげるために、水・ナトリウムイオンの再吸収をたかめて循環血液量を増やします。これをRーAーA系(レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系)といいます。

 

こういう経過を経て、最終的に必要以上の水・ナトリウムイオンが身体にたまり、浮腫がおこります。

 

心性浮腫 左心不全

資料(4)より参照作成

 

②右心不全

右心不全になると、心臓の吸引ポンプ能力が低下して、静脈血の戻りが悪くなります。

 

そうなると静脈に血液がたまり、静脈圧が上昇します。結果として、毛細血管内圧が上昇し、水が間質へ押しだされることで浮腫がおこります。

 

 

(2)腎性浮腫

腎機能の障害が原因でおこる浮腫のことです。

 

一般に腎性浮腫は、組織圧のひくい眼瞼(まぶた)に現れることが多いといわれています。

 

腎性浮腫に関わってくる疾患には、急性腎炎ネフローゼ症候群があります。簡単なメカニズムは以下のようになっています。

 

両者の浮腫へのメカニズムは似ていますが、赤い下線の部分に違いがあります。

 

腎性浮腫 メカニズム

資料(4)より参照作成

 

①急性腎炎(急性糸球体腎炎)

急性腎炎(急性糸球体腎炎)とは、腎臓の糸球体に炎症がおこる疾患です。

 

糸球体とは、血液をろ過して尿をつくる細かい網のようなものです。炎症などによって糸球体にダメージ(ろ過機能が低下)があると、尿の生成が阻害され、水・ナトリウムイオンの排出が低下して体内にたまり、浮腫がおこります。

 

また糸球体が壊れると血液が流れなくなり、傍糸球体細胞からレニンが分泌され、RーAーA系により水・ナトリウムイオンが再吸収されるので、浮腫が悪化します。

 

②ネフローゼ症候群

原因にかかわりなく、タンパク尿にともなう低タンパク血症や浮腫をおこすものをネフローゼ症候群といいます。

 

ネフローゼ症候群では、本来であればろ過されないはずの血漿タンパクが、糸球体毛細血管から大量にろ過され、尿中にでてしまいます。

 

結果として、血漿タンパクが大量に失われるので、血漿タンパク濃度が低下し(低タンパク血症)、血漿膠質浸透圧が低下します。

 

つまり、血管内に水を引きとめる力が弱くなり、間質に出ていくことで浮腫がおこるというわけです。

 

また循環血液量が減少するので循環反射がおこり、水・ナトリウムイオンを再吸収して循環血液量をふやそうとしますが、膠質浸透圧が低下しているため、ますます間質への水の貯留がおこり、浮腫が増悪します。

 

 

(3)肝性浮腫

資料(5)より引用

 

肝疾患(肝硬変、肝がんなど)や門脈の疾患によりおこります。

 

おもに腹腔内に水がたまる「腹水」という形をとります。肝性浮腫で腹水をきたす理由は大きくふたつあります。

 

ひとつは、肝臓でのタンパク合成の減少(血漿タンパクの減少)による血漿膠質浸透圧の低下です。

 

もうひとつは、肝臓にそそぎこむ門脈の血管内圧の亢進です。門脈の内圧がたかまることで血管内の水が腹腔内に押しだされて腹腔内にたまります(ちなみに右心不全などがあると肝静脈うっ滞がおこり、肝リンパ液が増え腹腔内に染みでてくる)。

 

また、肝臓はホルモンの不活性化もおこなっている臓器です。

 

肝機能が低下することで、アルドステロンの不活性化が障害され(二次性高アルドステロン症)、結果として水・ナトリウムイオンの再吸収が促進されてしまい、さらに浮腫が悪化します。

 

肝性浮腫 メカニズム

資料(4)より参照作成

 

 

(4)栄養性浮腫

低栄養状態が長期間にわたったときに生じます。主として、血漿タンパクが減少することにより発生する浮腫です。

 

 

(5)内分泌性浮腫

水分代謝に直接関係するバゾプレシンやアルドステロンの分泌異常も、全身性浮腫の原因になります。

 

①甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症では、多くのばあいに浮腫が認められます。この浮腫は粘液水腫と呼ばれ、たまっているのは水ではありません。

 

これは甲状腺ホルモンの合成が低下した結果、皮下組織にムコ多糖類・コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸などが蓄積され浮腫がおこっています。

 

指で押しても圧窩が残らず、硬く弾力性があるのが特徴です(ただし、心機能低下による心性浮腫を合併しているばあいは、圧窩が残る可能性があります)。

 

【甲状腺機能低下症のエビデンスメモ】

・むくみ:感度60、特異度81.2、LR+3.2、LR-0.5(6)

・顔面浮腫:感度91.3、特異度20.6、LR+1.15、LR-0.42(7)

・下腿浮腫:感度78.3、特異度30.8、LR+1.13、LR-0.7(7)

・顔面、前脛骨浮腫:LR5.0(8)

・体重増加:LR3.3(8)

 

 

②ステロイドホルモン

ステロイドホルモンのひとつであるグルココルチコイドの分泌過剰によるクッシング症候群などが有名です。

 

③周期性浮腫

月経周期にしたがって出現する浮腫のことです。 

 

原因としては卵胞および黄体から分泌されるエストロゲンの増加によると考えられていますが、いっぽうでアルドステロン増加の報告もあり、原因は明確になっていません。

 

 

(6)妊娠性浮腫

妊娠時における下肢にみられる浮腫のことです。

 

子宮が大きくなることによって血管が圧迫され、血行障害がおこることが原因と考えられています。

 

もし浮腫が重度な場合、あるいは全身に及ぶような場合には、妊娠中毒症がうたがわれます。

 

妊娠中毒症とは、妊娠後半に出現する偶発的でない浮腫、高血圧、タンパク尿のひとつあるいはそれ以上の症状がみられるものをいいます。

 

 

(7)その他

薬剤による薬剤性浮腫や原因が特定できない特発性浮腫などもあります。

 

浮腫をきたしやすい薬剤(9)

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◆浮腫の治療

1.理学療法

浮腫への理学療法は、①挙上、②圧迫、③筋収縮の3つがベースになります。

 

(1)間欠的圧迫法

ゴム製スリーブによって目的の四肢を巻包し、スリーブへの空気の注入と抜去を間欠(一定の時間を置いて、物事が起こったりやんだりすること)的にくり返す方法です。

 

メドマーHPより引用

 

臨床ではメドマーが有名ですね(ハドマーで知っている人もいるかもしれませんが、2011年にハドマーは販売を終了しています)。

 

Wakimらによると、治療後30分で有意に浮腫が減少したと報告しています(10)。

 

またオン・オフの時間配分については、60秒間オン、15秒間オフが患者にとっても快適であり、効果的であろうとされています(10)。

 

 

(2)弾力包帯・弾性ストッキング法

資料(13)より引用

 

圧迫によるもので、弾力包帯を末梢から中枢方向へ向けて巻きあげる方法や弾性ストッキングを装着する方法があります。臨床では使いやすさから、弾性ストッキングのほうを用いることが多い印象です。

 

圧迫圧に関しては、動脈系毛細血管圧が30㎜Hg前後といわれているので、それを上まわる圧を加えると、組織圧の上昇により浮腫改善に効果があるといわれています(11)。

 

 

(3)患肢挙上

資料(13)より引用

 

患肢が心臓より低くなる肢位を避ける方法です。弾力包帯法・弾性ストッキング法を併用することが多いです。

 

挙上の高さは30㎝くらいが静脈性循環障害に有効であるという報告もあります(12)。

 

 

(4)マッサージ

機械的な作用と毛細血管拡張などの反射性作用により、末梢での体液還流を促進する方法です。

 

 

(5)温浴療法

温熱効果と静水圧または動水圧による効果とを期待して適用されます。

 

 

(6)運動療法(筋収縮)

筋のポンプ作用(収縮・弛緩)によって、

・組織液還流の促進(浮腫軽減)

・浮腫液の長期の貯留がひきおこす結合織の増殖による瘢痕化(関節拘縮)と関節可動域障害の予防

などを目的として行なわれます。

 

静脈性の浮腫では、下肢挙上と求心性の筋収縮が効果的であるという報告があります(14)。また上肢に関しては、高挙手と1時間に少なくとも25回の自動運動(しっかりと握るなど)が効果的であるとしています(14)。

 

先述した患肢の挙上や弾力包帯・弾性ストッキングなどを組みあわせておこないます。

 

 

(7)通電(電気刺激)療法

資料(13)より引用

 

筋収縮を電気的におこすことで、筋ポンプ作用と代謝促進で体液移動を促進させることを目的におこないます。

 

通電条件としては、周波数100Hz以下でパルス幅0.5㎜sec以下として痛みをおこさない範囲とするのがよいとされています(15)。

 

 

(8)複合的理学療法

リンパ浮腫などでは、複合的理学療法が用いられることがあります。

 

複合的理学療法とは、①マッサージ、②圧迫療法、③運動療法を組みあわせたものです。専門的知識が必要であり、しっかりと学んでから実践する必要があります。

 

 

2.栄養療法

若い女性は足がむくむのが悩みなどと聞きます。

 

テルモのHPによれば、日頃、脚にむくみを感じることがある女性は90%を超えていました(「むくみについて」)。

 

私見ですが、若い健常女性の浮腫は、タンパク不足による可能性が高いように思います。

 

しっかりとタンパク質を摂取するように心がけましょう。タンパク質の不足を確認したい場合は、以下の記事をご参照ください。

 

血液検査の4項目からタンパク不足を確認しよう

血液検査(TP:総タンパク、Alb:アルブミン、γ(ガンマ)-GTP、BUN:尿素窒素)でタンパク質が不足していないかを確認しましょう。

 

 

 

◆国家試験の正答

「はじめに」に書いていた国家試験です。

浮腫の説明で誤っているのはどれか。すべて選べ。

1.血漿蛋白量の増加

2.Na+と水分の貯留

3.毛細血管内圧の低下

4.リンパ管の拡張

5.血管透過性の低下

 

正答:2以外は誤り

 

~解説~

「1.血漿蛋白量の増加」では、浮腫は起こりませんね。タンパクは水を引き寄せる力がありました。タンパクが減ることで血管外に水分が漏れだし、浮腫になります。つまり、血漿タンパクの低下により浮腫がおこります。

 

「3.毛細血管内圧の低下」だと、水分が吸収されるので浮腫にはなりませんね。内圧が上昇することで血管外に水分が漏れだし浮腫になります。

 

「4.リンパ管の拡張」は、乳がんなどの手術によりリンパ管を閉鎖することでリンパ液の還流障害がおこり浮腫になります。拡張していたら、リンパ液はつつがなく流れていくので浮腫にはなりません

 

「5.血管透過性の低下」は、透過性がたかまることでタンパクが血管外(間質)に漏れだすので浮腫が起こるんでした。

 

解けましたでしょうか?ぜひ、臨床推論で活用してください。

 

【資料】

(1)Intestinal lymphangiectasia in children. A favorable response to dietary modifications.[PMID:26837404]

(2)浮腫、中山真人、治療63:203‐208、1981

(3)Lymphedema after breast cancer.[PMID:27516820]

(4)臨床家のための基礎からわかる病態生理学、垣生園子・小川卓良監修、医道の日本社、2012

(5)A man with new onset of ascites and edema.[PMID:18504476]

(6)Estimation of tissue hypothyroidism by a new clinical score: evaluation of patients with various grades of hypothyroidism and controls.[PMID:9062480]

(7)Accuracy of physical examination in the diagnosis of hypothyroidism: a cross-sectional, double-blind study.[PMID:15047991

(8)Diagnosis of thyroid disease in hospitalized patients: a systematic review.[PMID:10218744]

(9)浮腫発生のメカニズム、岸幸夫、理学療法14:775‐780、1997

(10)Influence of centripetal rhytymic compression on localized edema of an extremity.[PMID:13229490

(11)ベッドサイドの物理療法、石田肇監訳、医道の日本社、1991

(12)Effect of leg elevation on the skin microcirculation in chronic venous insufficiency.[PMID:7966805]

(13)いわゆる浮腫の理学療法ガイドライン、田中裕二、理学療法19:268‐275、2002

(14)浮腫の運動療法、小形洋悦、理学療法14:786‐792、1997

(15)浮腫の電気刺激療法、玉木彰、理学療法14:796‐800、1997

(16)理学療法ハンドブック改訂第4版、細田多穂・柳澤健編集、協同医書出版、2010

(17)ジェネラリストのための内科診断リファレンス、上田剛士、医学書院、2014

(18)日経メディカル『アルブミンは西郷さん-浸透圧異聞』

 

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