・ベリーは炎症遺伝子を減弱させる
・イチゴスムージーを摂取すると変形性膝関節症の痛みが減少した
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◆ベリーには抗炎症性がありアントシアニンが重要
ベリーの健康効果とはなんでしょうか?
それは抗炎症性作用です。とくにアントシアニンが重要であると指摘されています(1)。
Fruits, such as berries, contain polyphenol compounds purported to have anti-inflammatory activity in humans. Among the most notable polyphenols in berries are anthocyanins, responsible for their distinctive colors of red, blue, and purple.
ベリー類などの果物には、人間の抗炎症作用があるとされるポリフェノール化合物が含まれています。ベリー類に含まれるポリフェノールの中で最も注目すべきものは、赤、青、紫の独特の色を持つアントシアニンです。
◆ベリーは炎症遺伝子を減弱させる
ブルーベリーを摂取すると、人体の炎症にどれほどの影響があるか調査した報告があります(2)。
メタボリックシンドローム患者を対象にした二重盲検ランダム化比較試験です。ブルーベリー(22.5g凍結乾燥)またはプラセボスムージーを1日2回、6週間投与しました。結果は以下のようになりました。
Blueberry treatment decreased monocyte gene expression of TNFα, IL-6, TLR4 and reduced serum GMCSF in MetS subjects when compared to the placebo treatment (p ≤ 0.05).
ブルーベリー投与は、プラセボ投与と比較してメタボリックシンドローム被験者の単球のTNFα、IL-6、TLR4(筆者注:炎症性サイトカインと呼ばれ炎症の原因となるもの)の遺伝子発現を減少させ、血清GMCSF(筆者注:炎症誘発機能があり自己免疫疾患や炎症性疾患の発症において重要な役割を果たす)を減少させた(p ≤ 0.05)。
研究者たちは、ブルーベリーには免疫調節効果があり、メタボリックシンドローム患者の酸化ストレスと炎症を減衰することが示唆されると結んでいます。
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◆変形性膝関節症に効果はあるのか?
変形性膝関節症も炎症性疾患です。ということは、抗炎症作用のあるベリーを摂取すれば、なにかしら症状が軽くなったりするのではないかと予想することができますね。実際に研究を見てみましょう。
(1)関節炎に対する動物実験
まずはラットを対象にした動物実験です(3)。
炎症性の刺激物をラットに注射して、足を腫らせます。そのラットにブルーベリー抽出物を投与したところ、大幅に腫れが減少しました。
The extract significantly inhibited paw edema formation in an acute model the rat.
抽出物は、ラットの急性モデルにおいて、前足の浮腫形成を有意に抑制した。
では、人間にも効果があるのか気になりますね。2017年に報告がありました。さっそく研究を見てみましょう。
(2)変形性膝関節症患者に対する臨床研究
17名の変形性膝関節症患者を対象にした無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー比較試験です(4)。
毎日、フリーズドライイチゴ(ストロベリー)飲料(50g/日)またはプラセボ飲料を摂取してもらい、症状に変化があるのか調べました。結果を見てみます。
炎症などの血清バイオマーカーに、有意に改善が認められました。
Among the serum biomarkers of inflammation and cartilage degradation, interleukin (IL)-6, IL-1β, and matrix metalloproteinase (MMP)-3 were significantly decreased after strawberry vs. control treatment (all p < 0.05).
炎症および軟骨分解の血清バイオマーカーのうち、インターロイキン(IL)-6、IL-1β、およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-3は、対照群と比較してイチゴ投与後に有意に減少した(いずれもp<0.05)。
もっと重要なのは、痛みを有意に減少させたことです(平均値±標準誤差)。
資料(4)より作成
Strawberry supplementation also significantly reduced constant, intermittent, and total pain as evaluated by the ICOAP questionnaire as well as the HAQ-DI scores (all p < 0.05).
イチゴの補充は、HAQ-DIスコアと同様にICOAP質問票で評価される持続痛、間欠痛および総合的な痛みを有意に減少させた(いずれもp<0.05)。
◆研究における注意点と総括
気にかかるのが、イチゴスムージーのポリフェノール量ですね。
ポリフェノール量は治療用のスムージーは1575 mg GAE、プラセボスムージーは75 mg GAEとなっています。
粉末にしているので大量に摂取できるわけですが、これをふつうのイチゴで食べようとすると、尋常ではない量になるのではないかと。。。ちょっと調べてみましたが、よくわかりませんでした笑
これから研究が進んで、イチゴの粉末を治療薬として摂取する時代がくるかもしれませんね。いずれにせよ果物は身体に好影響がありますから、積極的に摂取してみてもいいように思います。
【文献】
(1)Joseph, Shama V., Indika Edirisinghe, and Britt M. Burton-Freeman. “Berries: anti-inflammatory effects in humans.” Journal of agricultural and food chemistry 62.18 (2014): 3886- 3903.
(2)Nair, Anand R., et al. “Blueberry supplementation attenuates oxidative stress within monocytes and modulates immune cell levels in adults with metabolic syndrome: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial.” Food & function 8.11 (2017): 4118- 4128.
(3)Figueira, Maria-Eduardo, et al. “Protective effects of a blueberry extract in acute inflammation and collagen-induced arthritis in the rat.” Biomedicine & Pharmacotherapy 83 (2016): 1191-1202.
(4)Schell, Jace, et al. “Strawberries improve pain and inflammation in obese adults with radiographic evidence of knee osteoarthritis.” Nutrients 9.9 (2017): 949.
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