忙しい人のための要約
    ・人は快に近づき、苦から離れる近接・回避の法則がある
    ・話を聞いてもらうには脳内の計算機をプラスにしていく必要がある
    ・ポイントは知識のギャップ、メリット、希望である

     

     

    ◆人には近接・回避の法則がある

    むかしむかし、ベンサムという哲学者が言いました。

    「人間って快楽を求めて、苦痛を避ける生き物だよね」

     

    これが『近接・回避の法則』です。

     

    人は自分に快楽をもたらしてくれるものに近づき、苦痛ををもたらすものは避けるということです。

     

    つまり、あなたが気持ちのよいことを言えば人は近づいてくるし、イヤなことを言えば離れていくということです。

     

    いくら相手にとって大切で重要なことであっても、たとえそれが命に関わるようなことであっても、内容が不快感を与えるならば、相手が話を聞いてくれる可能性は低くなります。

     

     

    ◆話を聞いてもらうための3つのポイント

    人の頭のなかには快楽苦痛の計算機があります。

     

    快楽が足し算、苦痛がマイナスです。話を聞きたいと思わせるには、この数値をプラス方向に大きくすることが重要になります。

     

    そして、計算するうえでのポイントを3つ紹介したいと思います。

     

    3つのポイントとは、
    ①知識のギャップをうめる
    ②メリットがある
    ③希望を見せる

    話を聞いてもらう方法

     

     

    (1)知識のギャップをうめる

    まず最初に大切なのは、知識のギャップをうめるということですね。人は知識のギャップ、つまり知らないことを減らしたいという欲求があります。

     

    情報不足は不安を引き起こすため、知識を満たすことで不安を消し去りたいという方向に力が働きます。

     

    最近でいえば、コロナのCPR検査がそれを如実にあらわしているような気がします。

     

    検査したからといって、確実に陽性陰性などが判明するわけでもありません。

     

    しかし、「なんとなく不安だから検査してくれー」という人が大勢いましたよね。コロナにかかっているかどうかわからないという情報不足(ギャップ)を、検査をすることでうめたいという感じなわけですね。

     

    ここから考えられることは、話を聞いてもらうためには、相手に情報不足があることを自覚させることが大切ということです。

     

    ひとつ注意があります。

     

    知識のギャップが大きすぎると、人は興味を抱きにくいということです。

     

    ほどよくギャップに注意を向けさせることが大切なのです。


    まったく知らないことには好奇心を刺激されませんし、よく熟知していることには関心が向きにくいということです。

     

    このことは『前景疑問と背景疑問と好奇心から考える基本が大切な理由』に書いていますので、参照にしてください。

     

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    (2)メリットがある

    つぎに大切なのは、なにかしらのメリットがあるということです。

     

    話を聞いたところでメリットがなさそうなら、相手が聞くことはないでしょう。

     

    メリットは人それぞれです。

     

    ただ話を聞くのが好きな人もいるでしょうし、先ほどの知識ギャップを埋めるというのもありますし、お金儲けや立身出世に役立つといったこともあるでしょう。

     

    相手のメリットになるようなことを、話すことが大切ですね。

     

     

    (3)不安や恐怖ではなく希望を見せる

    希望を見せることは脳にも影響を与えます。

     

    中脳辺縁ドーパミン経路(Mesolimbic Dopamine System:MLD)というものがあります。

     

    希望などポジティブ(快)なことによって刺激され、それにともないドーパミンやオピオイドが放出され、意欲や行動になどにつながり、人生の質を向上させる可能性があります。

     

    希望(よりよい未来への展望を思うときの高揚感)というのは、人生を歩んでいくうえでとても有用です。

     

    2008年の論文では、希望を引き起こすような介入によって、参加者の痛みに対する耐性が高まることが報告されています(1)。ちなみに疼痛閾値には、影響はありませんでした。

     

    つまり、感じる痛みは同じであっても、希望を抱くことでよりよい方向に痛みのとらえ方が変わったといえるのでしょう。

     

    また、『スタンフォード式 人生を変える運動の科学』では、希望が脳に与える影響について以下のように書かれています。

    つらいトレーニングは目標の達成に役立つと考えると、その人の脳では、運動による高揚感を引き起こすエンドルフィンや、内因性カンナビノイドの血中濃度が上昇する。
    自分が何のために努力しているのかをしっかりと認識し、いまやっていることはとても重要だと信じていれば、脳内化学物質の作用をうまく利用して、痛みや疲労を乗り越えることができる。

     

    希望、つまり明るい未来への展望を提供することで、現在の苦難などを乗り越えることができるようになるかもしれないということですね。 

     

    希望を語ることは大切です。近接・回避の法則からも、希望は人に聞く耳をもたせます。

     

    「このままだと歩けなくなりますよ!」よりも、「歩けるようになったらまた好きな旅行に行けますね!」のほうが、気持ち良くないでしょうか?

     

    Mr.Childrenに『HERO』という名曲があります。
    その曲になかに以下のような歌詞があります。

    駄目な映画を盛り上げるために
    簡単に命が捨てられていく
    違う 僕らが見ていたいのは
    希望に満ちた光だ

     

    希望に満ちた光(言葉)を、人は求めているのです。

     

    【参考資料】

    (1)Berg, Carla J., C. R. Snyder, and Nancy Hamilton. “The effectiveness of a hope intervention in coping with cold pressor pain.” Journal of Health Psychology 13.6 (2008): 804-809.

    (2)事実ななぜ人の意見を変えられないのか、ターリ・シャーロット、白揚社、2019

     

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