忙しい人のための要約
    ・好奇心を抱くためには一定の基礎的知識が必要である
    ・基礎的な知識(背景疑問)がなければ前景疑問を解決することが困難
    ・さまざまな分野の基礎的知識を積極的に学ぼう

     

     

    ◆好奇心はどこに生まれるのか?

    あなたはいま勉強していますか?
    なにかに熱心に取りくんでいますか?

     

    イエスと答えた人はこの先を読む必要はないでしょうが、この記事を読んでいる時点でおそらく先も読むでしょう。

    しかし、ノーと答えた人はそもそもこの記事を読んでいないので、読むことはないでしょう。

     

    本当はノーと答える人こそ読んでほしいのですが(笑)

     

    さて、ノーと答えた人は好奇心が減退・欠如している可能性がありますね。

     

    勉強やなにかに懸命に取りくむためには、好奇心が必須です。

     

    好奇心がないのに、なにかを勉強しようとしたり、懸命にものごとに取りくむことは難しいでしょう。

     

    もちろん、外からの圧力、たとえば上司からの命令といったことで、そうせざるを得ないというケースはあるでしょう。
    しかし、それは表層的な勉強や取り組みになってしまいがちです。

     

    そもそも、なぜ好奇心を抱くことができなくなってしまうのでしょうか。

     

    おそらく最初の問いにノーと答えた人でも、ほかの分野では好奇心を持っているということが、往々にしてあるのではないかと思います。

     

    たとえば、仕事に関する勉強はしなくなったけど、趣味の音楽はいまでもいろいろ聴いているとか、アイドルを追っかけをしているとか。

     

    好奇心は、知識の量によって変わってきます。

     

    心理学でいう「学習の最近接領域」と呼ばれるものです。
    簡単に図示してみましょう。

     

     

    この図をみて、疑問を抱いた人も多いのではないでしょうか?

    好奇心にたいしてこんなイメージがあるのではないかと思うからです。

     

     

    つまり、知識がないから好奇心が生まれるという考えですね。
    でも、これってあまり現実にあってない気がします。

     

    知識がまったくないものたいして、
    人は好奇心を抱かないものです。

     

    たとえばオペラについて、あなたに知識がなかったとしましょう。
    オペラの歴史について語ります!」といっても、別に好奇心(興味)はわかないでしょう。

     

    しかし、「関節の知られざる動態について語ります!」といったら好奇心(興味)がわくのではないでしょうか?

    これは関節の知識がほどよくあるからと考えられます(逆に大学院や研究施設で関節について専門知識をつんでいれば興味をいだきにくい可能性がある)。

     

    好奇心を抱くためには、ほどよい量の知識、基礎的な知識が必要になってくるということです。

     

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    ◆背景疑問と前景疑問~基礎が大切な理由~

    疑問というのものは、背景疑問前景疑問にわけることができます。

     

    背景疑問とは、疾患や症状に関する一般的知識に対する疑問です。

     

    たとえば、「変形性膝関節症の定義は?」「変形性膝関節症の特性は?」「どういう人が罹りやすいのか?」 といったことが背景疑問になります。

    このように背景疑問は、5W1H(Who・What・When・Where・Why・How)に関するものが多くなります。

     

    たいして前景疑問は、個々の患者の個別の問題に関する疑問です。

     

    たとえば、「この変形性膝関節症の患者さんにはどんな自主エクササイズがよいか?」 「この変形性膝関節症の患者さんには杖があったほうがいいのか?」といったことが前景疑問になります。

    EBMでいうPECO(PICO)をイメージしてもらえるといいかもしれません。

     

    ちなみに背景疑問、前景疑問に対応する知識を、それぞれ背景知識、前景知識と呼びます。

     

    なぜ背景疑問・前景疑問の話をしたかといいますと、前景知識(臨床における個別的な知識)をもつためには、背景知識(臨床における一般的な知識)が欠かせないからです。

     

    『薬剤師のための医学論文活用ガイド〜エビデンスを探して読んで行動するために必要なこと〜』には、以下のように書かれています。

     

    このような背景疑問については,病態生理学や薬理学などの一般的な基礎学問を整理していくことで解決できることが多いでしょう.そして,そのような作業を継続的に続けるなかで,やがて個別の事象や状態に関する様相,すなわち前景疑問が見えてくるのです.
    言い換えれば一般的な基礎学問(背景疑問に対する答え)を学ぶことなしに,患者さん個別の疑問である前景疑問を解決することはできないのです.

    したがって基礎研究から得られた病態生理学的知見や薬理学的知見は,前景疑問に対する示唆を得るうえで,必要な情報であり,とても重要な知識なのです.

     

    これが基本的な知識が大切な理由になります。

     

    「基本が大切だ!」って耳にタコができるくらい聞くと思いますが、基本ができていないと応用(個別)的な疑問をいだきにくくなります。

    また、解決もしにくくなるということなんですね。

     

    そして、前述したように基本的な知識がないと、好奇心を抱きにくく、研鑽を積まなくなってしまいがちになるということです。

     

    ぜひ、さまざまな分野の基本・基礎の知識を大切にしましょう。

     

    【資料】

    (1)子どもは40000回質問する、イアン・レズリー、光文社、2016

    (2)第19回聖路加看護学会学術大会:教育講演 エビデンスとナラティブ―これからの医療と看護を考える―、中山健夫、聖路加看護学会誌18巻2号45-48、2015

     

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