2019年も年末をむかえ、下半期に読んだ本の中から厳選した18冊を紹介したいと思います(恣意的です笑)。

    参考:2019年上半期に読んだオススメの書籍 厳選22冊!

     

    ジャンルは人文・ビジネス・哲学(思想)・医療・ノンフィクションなどで、小説などは除外しました。ちなみに順番は読み終えた順番なので、最初がとくにおススメというわけではありません。感想は読書メーターのものをもとにしているので、である調になっています。

     

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    1.生きるための哲学/岡田尊司

    有名人や筆者が臨床で診た人などのエピソードを紹介しつつ、いかに生きていけばいいのかというヒントを紹介している。

    はじめにに言及されているように、本書は生き方を指南するようなものではない。例えていえば周りを黒く塗りつぶしていくことで、そこになんらかの形を浮かび上がらせているような感じ。よって、そこに浮かび上がってきたものをどのように解釈するかは読者に委ねられている。個人的にはいろいろ示唆深い考えさせられる内容が多々あり、何度か読み返したい本である。

     

     

    2.健康の経済学/康永秀生

    日本は社会保障費が増大し、いかにそれを抑制していくかが課題になっている。本書は科学的根拠を示しながら、医療費をいかに効率よく削減していくかについて様々な角度から検証している。救急車は有料にするべきか、フリーアクセスはやめるべきか、医師は不足しているのかなど気になるトピックが並んでいる。

    読んでいて自分が考えていたことが実はまったく効果がないことが示されていたりするので、とても勉強になった。たとえば医師不足。医師を増やせばいいと単純に考えていたが、それではあまり効果がないよう。詳しくは本書を読まれたし。

     

     

    3.知ってはいけない 隠された日本支配の構造/矢部宏治

    日米間に不平等的・差別的・従属的な関係性があることがわかった。主権回復や沖縄返還などが表層的なもので、密約などにより本質は占領下と変わらないと指摘。

    しかし、これらを知ってどうすればよいのだろうか。筆者は『ロシアや中国は、新しい国際社会のなかで、アメリカよりもよほど自制的に振舞ってい』るとしているが、ウクライナ侵攻やウイグル自治区の弾圧を鑑みれば一概にそうとはいえないだろう。民主的なアメリカにつくか、独裁的な中露につくか、それとも完全に自主独立した日本を目指すのか。現実的なのはどれかという話かな。

     

     

    4.プライマリー・バランス亡国論/藤井聡

    プライマリーバランス(PB)と言われてもピンとこない人もいるだろう。PBとは『政府の収入(歳入)と支出(歳出)の差額(すなわち、「収支」)』のこと。PB自体は菅政権のときに導入されており、それを安倍政権も引き継いでいる。

    このPBの黒字化がいかに危険であるのかということが様々なデータとともに書かれている。日本は1998年からデフレに入り込み、まだ脱することができていない。デフレから脱するためにはPBの黒字化はまさに逆効果なのである。本書を読んで反緊縮政権を生み出すことが日本再生のためには欠かせない。

     

     

    5.呪いの言葉の解き方/上西充子

    呪いの言葉とは『相手の思考の枠組みを縛り、相手を心理的な葛藤の中に押し込め、問題のある状況に閉じ込めておくために、悪意を持って発せられる言葉』。詭弁的な感じともいえ、相手を自分の意のままに操ろうとする言葉ともいえる。

    本書では職場、ジェンダー、政治、ドラマ、漫画などからそういった言葉を取りあげ解説しているが、とくに筆者の政権に対する批判的態度、実際の行動がとても学びになった。本書で貫かれているのは主体性のように思える。自分自身を守るために、まずは主体的に考え行動するという基本が大切なのだ。

     

     

    6.格差と民主主義/ロバート・B. ライシュ

    2012年に出版された本のようだが、描かれているアメリカが日本とほぼ同じで日本のことを書いているのかなと驚いた。資本主義による富の集中、格差の拡大、癒着、失政などについて書かれているが、行動をおこすための方法がとても共感できる。

    行動を阻害する因子として否認・逃避・身代わり・冷笑の4つが挙げられている。これがまことに今の日本を如実に表している。政府は年金問題はないと否認し、金融庁のせいにして逃避、野党は問題解決ではなく大臣辞めろと身代わりを責め、国民はなにしても無駄と冷笑。そのままじゃないかと唖然(※読んだときは金融庁の年金報告が取り沙汰されていた)。

    参照:格差と民主主義~権力と戦うために必要な4つのこと~

     

     

    7.正義の教室/飲茶

    哲学というと専門用語が頻出して小難しく、これってなんの意味があるの?となって挫折してしまうことがよくあるパターン。しかし、飲茶さんは小難しい哲学を身近なモノに置きかえてわかりやすく解説してくれるのでとても有難い。

    本書は『正義』について小説形式で書かれている。主に正義は平等の正義(功利主義)、自由の正義(自由主義)、宗教の正義(直観主義)に分類できるとし、それらについて書かれている(最後に構造主義・ポスト構造主義にも触れる)。それにしても最後のオチはなかなか驚いた。これも知らぬ間に構造にはまっているためか。

     

     

    8.「おろかもの」の正義論/小林和之

    序でも述べられているように本書は読者を説得する類の本ではなく、とり上げている事柄の様々な側面について考えることで、読者の視野を広げ思いこみ(囚われ)から解放することを目的として書かれている。

    実際、凶悪犯のなぜ弁護士がつくのか?(人権云々ではなく)、ルールさえ守っていれば利便性のために自動車で人を殺してもいいと是認しているのでは?、国家とはどのような存在か?などを問いかけてきて、固定観念にゆさぶりをかけてくる。物事には様々な側面があることを再認識させ、思索を促してくれる本である。

     

     

    9.「家族の幸せ」の経済学/山口慎太郎

    帝王切開っていいの? 母乳で育てたほうがいいの? 育休ってどれくらいがいいの? イクメンを増やすには? といった「家族」にまつわる疑問について科学的根拠をもとに書かれている。専門用語などはほぼないが、個人的には全体的な構造的にやや読みにくかったかな。

    しかしながら、科学的根拠にもとづいている様々な知見を安価に得られると考えたらとてもお得であろうと思う。全体的に断言が少なく、○○である可能性が高いといった感じや個人の意見を区別して書いている所も好感がもてる。本書の知見が政策などに反映されるとよいのだろうと思う。

     

     

    10.韓国「反日フェイク」の病理学/崔碩栄

    韓国の病的ともいえる反日体制について韓国人である著者が多くの根拠をもとに解説している。とくに韓国メディアの捏造をしてまでの内省なき反日報道が強く影響しているよう。反日を批判できない同調圧力が民間だけでなく国家レベルでもあり、もはや反日教的な感じになってると思われた。また日韓の関係を破壊することで漁夫の利を得るのは北朝鮮であると指摘。

    いずれにせよここまで反日化された韓国と信頼関係を再構築するのはもはや不可能ではないだろうか。ただ近くにあるからと仲良くしても遅かれ早かれ破綻するのは間違いない。

     

     

    11.トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ/ジェイソン・ファン

    科学的根拠をもとに書かれており示唆深い本で非常に学びになった。主軸はホルモン中心のダイエット法で、ダイエット(減量)に必要なのは「①何を食べたらいいか、②いつ食べたらいいか」のみ。

    ①何を食べたらいいかはハーバード大学のHealthy Eating Plateを参考にしたいいかなと思う。②いつ食べたらいいかはインスリンの分泌の有無が大切で、要はなにも食べない時間を増やすこと(断食・ファスティング)が大切。すごく簡単にいえばダラダラ食うな、食うときは体にええもんを食べろってことですね。

     

     

    12.二宮翁夜話/二宮尊徳(児玉幸多 訳)

    二宮尊徳(金次郎)の言行録なので道徳的な要素が強いのかと思ったが、読んでみるとそうではない感が強い。生き方についての思想的な要素から善悪とはなんぞやといった哲学的な要素まで結構奥が深い。

    ときおりなるほど!と膝を打つような言葉もあり、いろいろ思索につながった。本書はやや古めかしい言葉もあり、とっつきにくい箇所もあるが一読する価値はあると思う。

     

    二宮翁夜話は読みやすくはないので、もっと簡単に二宮尊徳の報徳思想が知りたい人は、以下の本が読みやすくておすすめです。

     

    13.「ひらがな」で話す技術/西任暁子

    話すときに大切な要点として①丸い言葉②句読点をつける③言葉の粒の大きさが挙げられている。本書を読んで「ひらがなで話す」ことを意識するようになったことがよかったかなと思う。

    なにかしらの発表のときなどに原稿を書くのだが、書き言葉でそのまま読んでいたようなフシがあったからだ。漢字を読むときは視覚的な理解も補助してくれるのだが、話を聞いているときは聴覚のみだから視覚的な補助はなくなってしまう(スライドなどがあれば別だが)。そのあたりの区別をつけて、相手に伝わるように応用するのが大切なんだろう。

     

     

    14.ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から/三井誠

    個人的には非常にいろいろ示唆を与えてくれる良書であった。自分自身も長らく「事実」(科学的根拠)を伝えれば人は理解してくれるものと考えていた。しかし、それは誤りだったなぁと。

    本書を読んで思ったのは、やはり人は「快・不快」を中心に動いているということ。政治的スタンスが認知能力や処理能力、志向などに大きな影響を与えていることが指摘されているが、そもそもは「快」を守るための方法にすぎない。炭鉱の話のところでとくにそう思った。その快は様々な因子から成立しており、簡単には解決できないだろう。

     

     

    15.13歳からの世界征服/中田考

    初っ端から面白い。『なぜ人を殺してはいけないのですか?』という質問に『人を殺してはいけない理由なんて、どこにもありません。人は人を殺してもいいんです』と返答しているのだから。根拠もないモラルやルールみたなものをなんとなく盲信している人にはガツンとくるだろう。

    こんな感じで固定観念や常識といったものに終始ゆさぶりをかけてくる。つまり、個人的には教養(的な本)だなぁと思う。もちろん、極論ゆえに中田さんが言っていることを鵜呑みにするにも危険だろう。それは盲信する対象が変わったに過ぎないのだから。

     

     

    16.事実はなぜ人の意見を変えられないのか/ターリ・シャーロット

    『ルポ 人は科学が苦手 アメリカ「科学不信」の現場から』や『影響力の武器』などと類似した内容である。いかに人に影響を与えるかということについて、感情・インセンティブ・主体性・好奇心などの側面からエビデンスをもとに解説されており非常に学びになった。

    人の意見を変えるだけでなく、いかに税金を気持ちよく納めてもらうか、ICUスタッフの手洗い率を上げるかなど汎用性が高い。翻訳書にあるような読みにくさはほぼなかった。何度か読み返して、他人に伝えたいことがあるときにぜひ活用したいと思う。

     

     

    17.哲学は対話する/西研

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』に、データを提示してもそれが自分の信じていることと相反するものであると、人は反感を抱くことが指摘されている。代わりに共通点を探し、相手の信念を否定することなく目的を達することがよいことが示されていた。そこで共通了解の知識が有用そうであると思い、本書を読むことにした。

    ソクラテスやプラトンをとり上げての哲学の課題と目的の確認、フッサールの現象学の方法、具体的な共通了解の作り方などが400頁越えで丁寧に書かれている。平易で自分のような初学者でも概ね読めた(わからないところもある笑)。

     

    以下の本を読みながら、大まかに哲学用語や概念を理解しておくと、さらに読みやすくなると思う。

     

    18.医療とは何か/行岡哲男

    本書の提言はつまりはshared decision makingなのかなという感じ。医療者も患者と同じく「正しい判断」(主客一致・因果関係的な正答)はわからない。もちろん、患者よりは専門的な知識や経験があるため、「正しいと確信する判断」(直観+直観を支持する客観的事柄)は可能であり、それらを患者と共有しながら意思決定するプロセスが肝要とのこと(本書では「納得を確かめ合う言語ゲーム」)。

     

    直観に関しては『身体知性』(佐藤友亮 著)を合わせて読むと、さらに思索が広がる気がします。

     

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    一冊くらいは気になる書籍があったでしょうか?

     

    気になったものがあれば、ぜひ手にとって読んでもらえたらなと思います。

     

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