2020年も年末をむかえ、読んだ本の中から厳選した16冊を紹介したいと思います(恣意的です笑)。

    参考:
    ・2019年上半期に読んだオススメの書籍 厳選22冊!
    ・2019年下半期に読んだオススメの書籍 厳選18冊!

     

    ジャンルは人文・ビジネス・哲学(思想)・医療・ノンフィクションなどで、小説などは除外しました。ちなみに順番は読み終えた順番なので、最初がとくにおススメというわけではありません。感想は読書メーターのものをもとにしているので、である調になっています。

     

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    1.食事のせいで、死なないために[病気別編]/マイケル・グレガー

    plant base(植物性食品中心)の食事を科学的根拠に基づいて解説している。ハーバード大学の食事プレートでも食べるものの半分は野菜・果物にしたほうがいいと推奨されているので、少なくとも野菜や果物の摂取量を増やすのは重要といえるだろう。

    大切なのは健康的な食品を上乗せするのではなく、不健康な食品(動物性食品など)と置換して不健康食品の量を減らすこと。本書では紹介されていないが整形疾患(膝痛など)も代謝が関係していることが示唆されており、plant baseは整形疾患にも効果あるのではと思う。

     

    食材別編もあります。こちらは病気別編を読んだ後、なにを食べるかといった実践のときに役立ちそうです。

     

    2.あなたの孤独は美しい/戸田真琴

    セクシー女優をしている筆者のエッセー集。彼女が抱いている苦悩といったものが私と大きく乖離していてあまり感情移入できなかったが、そういう苦悩や考えかたもあるのだなとそれはそれで学びになった。

    読んでいて想起されたのは鷲田清一の『〈弱さ〉のちから』という本で、「弱さの肯定(弱さには弱さの強さがある)」みたいなものが通底しているように感じた。成果主義やエリート主義的な価値観が跋扈する社会構造のなかで、弱さの肯定(無用の用的な考えかた)はとても大切であると思う。

     

     

    3.モテたいと思っている男ってなんであんなに気持ち悪いんだろう/大島薫

    バイセクシャルである筆者のジェンダー論、モテ論、心理論的エッセー集みたいな感じ。各論1ページなので読みやすい。視野が広がるというかこういった配慮や思いやりが必要なんだぁといろいろ勉強になった。もちろん、筆者の一意見であり、女性によっても考えかたなどは異なるだろうと思うけれど。

    下ネタなどは相手の状態によって笑えなくなるといった指摘があり、下ネタを安易に使いがちな人は注意したほうがいいなと再認識。下ネタこそ安易に使うのではなく、注意して用いるほうがいいなと。

     

     

    4.医療情報を見る、医療情報から見る/青島周一

    メディアリテラシーの基礎を学ぶ、医療・健康情報を読み解く上で有用な本であると思う。医療従事者、とくに新卒など若い人が読むと情報に対しての向き合うために必要なベースが構築されるかなと。

    ほんとに基本的なところが大部分を占めているので、統計学やEBMなどをある程度勉強している人には目新しさはあまりないかもしれない。

     

    本書を読んでもうすこし専門的なことを学びたくなったら、この本もオススメです。初学者の自分にはとてもわかりやすかったです。

     

    5.社会学用語図鑑/田中正人

    このシリーズはとても専門用語をかわいいイラストとともに解説してくれるのでおすすめです。ちょっと賢くなった気もしますし笑

     

    哲学用語のシリーズもあるので、手元に置いておくといろいろ便利かなと思います。

     

    6.人を動かす対話術/岡田尊司

    困っている人を(自分が)良いと思う方向に導くために、どのようなコミュニケーション(対話)をすればよいのかについて、対話の基本原理やさまざまな技法、事例などをもとに紹介している。非常に内容が豊富であるので、一読して理解することは難しいし、対象者も十人十色であるため場数を踏まないとなかなか習得できないだろう。

    しかし、対話の技法に関してもけっこう細かくこのトラブルが生じやすいとか、ケース別の対処法などが書かれているので、手元に置いておき困ったときに参考にすると役立つのではないかと思う。

     

     

    7.子どもは40000回質問する/イアン・レズリー

    動物と人間の違い。それは好奇心の有無である。人はなぜ自分が生まれてきたのだろう?生きる意味とはなんだろう?と考える。これは好奇心によるもので、動物はそんなことを考えない。自分の愛犬がなぜ自分は飼われているのだろう?なんて考えないのだ。

    そんな好奇心は「生きる力」そのものであり、好奇心が失われるときそこには虚無や鬱が待っている。個人的に驚いたのは知識重視型の教育が好奇心には重要であるという指摘。個性や自由を重視するような教育は上級階級に役立ちやすく格差を拡大する可能性があるとのこと。これは意外であった。 

     

    参考記事:前景疑問と背景疑問と好奇心から考える基本が大切な理由

     

     

    8.実践 幸福学/友原章典

    幸福学関連の本を読んでいる人にはあまり目新しい情報はないと思う。本書のよい点は実験内容などをなるべく詳らかに記載してくれている点であろう(もちろん紹介している論文などが明記されている)。実験というのはいかような方法でおこなったのかという質も評価しなければいけないため、どのような手順を経て行われたのかを知ることは重要。

    しかし、それゆえにやや小難しくなってしまう側面もあり、もっと要点だけ知りたいというような人にはやや不向きかもしれない。宗教と幸福の関連性についての部分が個人的には興味深かった。

     

    以下の本を合わせて読むと理解が促進されるのではないかと思います。
    ・John T. Cacioppo、William Patrick『孤独の科学』 
    ・藤原武夫『医学からみた「幸福は人に伝わる」
    ・前野隆司『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門
    ・村山洋史『なぜ夫と別れても妻は変わらず健康なのか

     

     

    9.世界の思想書50冊から身近な疑問を解決する方法を探してみた/北畑淳也

    疑問(金儲けは悪いことか?など)に対して1冊の思想書(哲学書)をもとに筆者が意見(解答?)を語るといったような体裁。それぞれに対する意見も面白く、紹介している書籍を読んでみたいと思った。

    個人的には『日本イデオロギー論』、『いかにして民主主義は失われていくのか』、『推測と反駁』などに興味がある。解答には筆者の思想が反映していて、確証バイアスなどがあるので鵜呑みは禁物ではあるが、幅広く思索を深めるにはよいのではないかと思う。

     

     

    10.信頼学の教室/中谷内一也

    いろいろ示唆深い本であった。信頼を構築するうえでまず大切なのは価値共有(同じ目線・気持ちの共有・なにを重視しているか)、つぎに能力や動機付け(人柄)。

    カウンセリングで傾聴や共感などがおこなわれるがまず価値共有することで信頼関係を築こうとしているわけだ。価値共有ができると能力に信頼評価がシフトする。根本的な思想が合わないと信頼関係を築くのは難しい(宗教紛争など)。

     

    共有に関しては岡田尊敬『人を動かす対話術』、能力に関しては『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』などを合わせて読むと、応用がしやすくなる気がします。

     

     

    11.情動はこうしてつくられる/リサ・フェルドマン・バレット

    扱っている分野が広く複雑な内容もあるのでまだ完全に理解しきれてはいないが、世界の見方が変わるような本である。

    人はそれまでに培ってきた様々な経験、属している文化や社会に影響を受けて常に情動(≒主観的世界)を構築している。情動の健康のためには身体予算(予測)の管理のために健康的な生活を営み環境などを整備する。ほかにも概念の補強(情動粒度を高める)などが有用。医療分野の応用を知りたくて読んだのであるが、司法などにも関わっており裁判員制度が導入されている日本でも知っておいたほうがいい内容。迂遠で小難しいのが難。

     

    本書の理解を促進するうえで、以下の本が有用と思いました。
    ・今井むつみ『学びとは何か――〈探究人〉になるために
    ・細谷功『具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ
    ・藤澤伸介『言語力―認知と意味の心理学
    ・平野啓一郎『私とは何か

     

    参照記事:情動粒度を高めると健康になることと社会格差について

     

     

    12.臓器たちは語り合う/丸山優二

    情動の本を読んで身体のネットワークに興味を持ち読んでみた。身体(臓器)というは相互補完的に壮大なネットワーク(連携)を構築しているのがわかった(本書で紹介されているのは一部中の一部だろう)。病気とはなんぞや?人体とはなんぞや?という哲学(思想)的なところも掘り下げられておりいろいろ視野が広がった。

    臓器(心臓、腎臓、骨、腸など)はメッセージ物質(ホルモンのような身体調節物質)を放出し、ホメオスタシス(恒常性)を維持していると。日本人科学者の多大な貢献もあるようで、同じ日本人として誇りに思った。

     

    免疫と「病」の科学』や『やせる!若返る!病気を防ぐ!腸内フローラ10の真実』などを合わせて読むと、体内の複雑なネットワークがより理解できるとのではないかと思います。

     

     

    13.学びとは何か /今井むつみ

    知識構築のシステム、スキーマ、熟達、脳の変化、生きた知識、批判的思考などを子どもの言語学習から読み解くような感じ。『情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論』の情動構築システムに類似している気がする(情動構築にスキーマが強く関連しているであろう)。

    本書で出てくるドネルケバブ・モデルは非常にインパクトがありこれはなんだか記憶に残っていた。このモデルの知識観(知識=事実)から逃れるために本書をひとまず一読して見ることが大切だろう。 

     

     

    運動は健康的に生きていくために重要だなと再認識。ある程度勉強している人にはとくに目新しいトピックはない。平易に書かれていて読みやすい。

    運動中はマイオカインというホルモンのような物質が筋肉から分泌される。2018年の論文によれば1時間のサイクリング中に大腿四頭筋から分泌されるタンパク質は35種類にも及ぶという。それらの作用は筋肉増強や血糖値の調節、炎症の緩和、がん細胞の破壊など多岐にわたる。『臓器たちは語り合う』を合わせて読むとよいのではないかと思う。

     

     

    確実な世界(チェスなどパターンが決まっており即時的にフィードバックが可能な領域)では専門特化(スペシャリスト)することが強みとなるが、現実の世界は不確実な領域が多く、専門特化のみならずさまざまな領域に対する知識・経験の幅(RANGE)が重要になってくると(専門特化することが悪いということではない)。自分の専門性を早期に決めてしまわずに、マッチクオリティ(適性)をゆっくり見極めることも大切と。

    日本の学術も選択と集中により衰退しているが(予算削減もある)、本書を読んで方針を抜本的に見直してほしいと強く思う。

     

     

     

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