忙しい人のための要約
    ・応急処置はRICE→PRICE→POLICEと変遷してきた
    ・PEACE&LOVEという包括的な概念が誕生
    ・アイシングの効果を裏づける強い科学的根拠はない

     

     

    ◆アイシングは効果あるのかという疑問

    最初はなんとなくの疑問から始まりました。

     

    傷害を受けたときに、炎症が起きるのは組織の回復を促すためですね。アイシングは、その炎症を妨害して組織の回復を遅らせてしまうのではないか? そんなことを思ったわけです。

     

    調べてみると、エビデンスも少なく、アイシングは行われなくなっているようでした。応急処置の歴史的経緯と新しい応急処置の概念について見ていきましょう。

     

     

    ◆応急処置のRICE→PRICE→POLICEという変遷

    長らく、応急処置の管理はRICEが一般的でした。

    RICE
    R:Rest(安静)
    I:Icing(冷却)
    C:Compression(圧迫)
    E:Elevation(挙上)

     

    そしてRICEは、PRICEとPOLICEに発展していきました。

    安静だけでは、損傷した組織を保護できないことため、RICEにProtection(保護)が加わりPRICEになりました。

    また、必要以上の固定、安静は悪影響を及ぼすことが分かってきており、近年では安静(Rest)を、Optimal Loading(最適な負荷)に置きかえたPOLICEというものが提唱されるようになりました(1.2)。

     

    Optimal Loading(最適な負荷)とは、以下のように説明されています(3)。

     

    生理学的適応を最大化する構造にかかる負荷であり、早期の最適な負荷は治癒に関連する重要なタンパク質の生成を促進し、修復の質を改善することで細胞応答を促進すると考えられています。
    適切な負荷を適切な組織に機能的範囲内で行うことで、最適な組織修復が期待されます。『怪我後の早期管理について 〜RICEからPOLICEへ〜』

     

    しかし、RICEやPRICEは、亜急性期および慢性期を無視して、急性期管理に重点を置いています。そこで、応急処置(PEACE)から、その後の管理(LOVE)までの一連のリハビリテーションを包括する『PEACE&LOVE』という概念が生まれました。

     

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    ◆包括的概念であるPEACE&LOVE

    PEACE&LOVEは、以下の頭文字をとったものになっています。

     

    アイシング 効果 炎症 PEACE&LOVE

     

    詳しくは『Soft tissue injuries simply need PEACE & LOVE』を見ていただくとして、重要なのはアイシングが無くなっているということですね。

     

    アイシングは広く使用されているにもかかわらず、軟部組織損傷の治療に対する有効性に関して、質の高いエビデンスはないとのこと(4ー7)。

    また、鎮痛作用があるけれど、炎症や血管新生および再灌流を阻害し、好中球およびマクロファージの浸潤を遅らせ、未熟な筋線維を増加させる可能性があるようです(8)。

     

    つまりは、痛みは減らすけども、その代わりにさまざまな治癒遅延とトレードオフになるよといった感じでしょうか。

     

    アイシングを実施するときは、安易に用いないほうがよさそうです。用いるにしても、患者さんの痛みの強さなどを考慮する必要があるでしょう。

     

    【参考資料】
    (1)Bleakley, C. M., P. Glasgow, and D. C. MacAuley. “PRICE needs updating, should we call the POLICE?.” (2012): 220-221.
    (2)Glasgow, Philip, Nicola Phillips, and Christopher Bleakley. “Optimal loading: key variables and mechanisms.” (2015): 278-279.
    (3)亀田メディカルセンター|亀田総合病院 スポーツ医学科『怪我後の早期管理について 〜RICEからPOLICEへ〜』
    (4)van den Bekerom, Michel PJ, et al. “What is the evidence for rest, ice, compression, and elevation therapy in the treatment of ankle sprains in adults?.” Journal of athletic training 47.4 (2012): 435-443.
    (5)Vuurberg, Gwendolyn, et al. “Diagnosis, treatment and prevention of ankle sprains: update of an evidence-based clinical guideline.” British journal of sports medicine 52.15 (2018): 956-956.
    (6)Doherty, Cailbhe, et al. “Treatment and prevention of acute and recurrent ankle sprain: an overview of systematic reviews with meta-analysis.” British journal of sports medicine 51.2 (2017): 113-125.
    (7)Yerhot, Paul, et al. “The efficacy of cryotherapy for improving functional outcomes following lateral ankle sprain.” Ann Sports Med Res 2 (2015): 1015.
    (8)Singh, Daniel P., et al. “Effects of topical icing on inflammation, angiogenesis, revascularization, and myofiber regeneration in skeletal muscle following contusion injury.” Frontiers in physiology 8 (2017): 93.

     

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