体温が高いと免疫力が高く病気にならない!
    体温が高いとがん細胞が死滅するからがんにならない!

     

    こんな感じの主張を聞いたことがあるのではないでしょうか。

    実際、書店に行くと、そういったことを勧めている本がたくさんあります。

     

    しかし、これは本当なのでしょうか?

     

    今回は体温と健康について紹介していきたいと思います。

     

    忙しい人のための要約
    ・体温の変動メカニズムについてはよくわかっていない部分が多い
    ・体温が高い人は腫瘍やBMI(肥満)、体温が低い人は年齢や甲状腺機能低下症などと関連がある
    ・体温が高い人は死亡率が高い(0.15℃高い→年間死亡率8.4%高い)

     

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    ◆体温が高い・低いの特徴とは

    体温 高い 低い 健康

     

    2017年、アメリカ人外来患者3万5488人を対象にした、体温(平熱)についての論文が発表されました(1)。

     

    この論文のタイトル(『正常な体温の個人差:患者記録の縦断的ビッグデータ分析』)にあるように、平熱のことを研究しているので、体温が変動するであろう感染症の患者さんなどは除外されています。

     

    さて、この論文では、体温を高い関連要素・低い関連要素が報告されています。

     

    つまり、体温が高い人には○○の特徴がある、体温が低い人は○○の特徴があるといった感じです。主なものを列挙すると、

     

    【体温が高い人の特徴(関連要素)】
    ・白人女性
    ・黒人女性
    ・ヒスパニック系女性
    ・ヒスパニック系男性
    ・腫瘍(がん)
    ・BMI

     

    【体温が低い人の特徴(関連要素)】
    ・年齢
    ・肺疾患
    ・甲状腺機能低下症
    ・うっ血性心不全
    ・腎臓病

     

    体温が高い人は腫瘍やBMI(肥満)などの特徴(関連)が見られ、体温が低い人は年齢や甲状腺機能低下症などの特徴(関連)が見られたということですね。

     

     

    ◆体温の変動の原因はよくわからない

    関連要素について、論文では以下のように書かれています。

     

    Despite the many statistically significant relations identified between individual baseline temperatures and demographics, comorbidities, and physiological measures, these factors collectively accounted for only 8.2% of variation (adjusted R2) in temperature. 
    個々のベースラインの体温と人口統計、併存疾患、および生理学的測定値との間に特定された多くの統計的に有意な関係にもかかわらず、これらの要因は体温の変動(調整済みR2)のわずか8.2%しか占めていない。

     

    人種とか疾患で体温の変動を説明できるのは8.2%。つまり、体温に関してはよくわからんことが多いということですね。

     

     

    ◆体温から予測できるのは死亡率!?

    体温の変動についてはよくわからないけど、体温ともっとも関連があるのはなんだったのか? についても分析しています。

     

    Controlling for age, sex, race, vital signs, and comorbidities, a 1°C increase in temperature translated into 3.5% higher mortality (P=0.014). For example, a 1 SD increase in temperature (0.15°C) would translate into a 0.52% absolute increase in one year mortality. Compared with a mean mortality of 6.2% in our sample, this represented an 8.4% relative increase in mortality risk.
    年齢、性別、人種、バイタルサイン、および併存疾患を調整すると、体温が1°C上昇すると死亡率が3.5%高くなる(P = 0.014)。たとえば、体温が1SD上昇すると(0.15°C)、1年間の死亡率が0.52%絶対的に増加する。サンプルの平均死亡率は6.2%でしたが、これは死亡リスクの8.4%の相対的な増加を表している。

     

    つまり、体温が高い人は年間死亡率が高まるってことですね。

     

    いや、この研究だけかもしれない、ほかの研究では違う結果になるかも?と疑問をもつ人もいるでしょう。

     

    しかし、ボルチモア長期縦断研究という、健常男性を対象にした類似研究でも、体温が高い人のほうが死亡率が高いことが報告されています(2)。

     

    体温 高い 低い 生存率 ボルチモア研究

    資料(3)より引用

     

    体温が高いと健康になるってなんなんでしょう・・・笑

     

     

    ◆体温の下げると健康になるかはわからない

    体温 下げる 低い 死亡リスク

     

    もちろん、体温が高い=死亡率が高いということが示されただけで、体温を低くすれば死亡率がさがるのかどうかはわかりません。

     

    体温が高いと免疫力が高く病気にならない!
    体温が高いとがん細胞が死滅するからがんにならない!

     

    このような情報は鵜呑みにせずに、注意したほうがよいでしょうね。

     

    【資料】

    (1)Obermeyer, Ziad, Jasmeet K. Samra, and Sendhil Mullainathan. “Individual differences in normal body temperature: longitudinal big data analysis of patient records.” bmj 359 (2017): j5468.

    (2)Roth, George S., et al. “Biomarkers of caloric restriction may predict longevity in humans.” Science 297.5582 (2002): 811-811.

    (3)白澤 卓二, 3. カロリー制限とアンチエイジング, 日本老年医学会雑誌, 2009, 46 巻, 3 号, p. 222-224

     

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