この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

    忙しい人のための要約
    血液中のインスリン量が多いほど、血液中のミオスタチンの量も多くなり、筋肉量が減少する可能性が高くなることが示唆されています。悪循環を断ち切るためには、減量を目的にして食事療法や筋トレが有効かもしれません。

     

    スポンサーリンク

     

    ◆ミオスタチンとは筋肉に関わるタンパク質

    ミオスタチンというのは、サルコペニア、つまり筋肉減少に関わっているタンパク質です(参照:サルコペニアの原因と確認のための指輪っかテスト)。

     

    ミオスタチン(myostatin /別名 GDF-8 :Growth Differentiation Factor-8)とは1997年にMcPherronらによって発見された、TGF-βスーパーファミリに属する26kDaの糖タンパク質であり、筋肉増殖の負の制御因子としての機能を担っています。

    ミオスタチンは主に骨格筋で合成され、骨格筋の増殖を抑制します。ミオスタチン発現レベルの低下は筋肉量の増加と体脂肪減少、ミオスタチン発現レベル上昇は、筋肉量の減少/消耗をもたらします。

    日本老化制御研究所

     

    ミオスタチンが増えると筋肉量が減り、ミオスタチンが減ると筋肉量が増える。つまり、このミオスタチンを減らすことができれば、筋肉量を増やしやすくなるのではないかということですね。

     

     

     

    ◆インスリンが増えるとミオスタチンも増え筋肉量が減る

    今年(2018)の6月、ミオスタチンに関する興味ぶかい報告がでました。

     

    それは京都医療センターや健康科学大学などの研究チームが、日本人肥満患者を対象にして、肥満における骨格筋減少のメカニズムについて報告したものです(1)。

     

    研究では、肥満外来患者74人を対象にして、肥満患者の身体組成(体重、腹囲、骨格筋量や脂肪組織量など)や血液指標(糖脂質代謝マーカーや炎症マーカーなど)を解析して、骨格筋減少との関連を検討しました。

     

    それによると、ミオスタチンと骨格筋量やインスリン量とのあいだに、関連があることがわかりました。詳しくいうと、血液中のインスリン量が多いほど、血液中のミオスタチンの量も多くなるということです。

     

    さらに重要なのは、インスリン量とミオスタチン量の関連には、骨格筋の量は影響しないことがわかりました。

     

    したがって、骨格筋がおなじくらいの人であっても、肥満などによりンスリン抵抗性が高くなってインスリン量が多くなっている人は、ミオスタチンが増えており、筋肉量が減るリスクが高くなっていることが考えられます。

     

    肥満(インスリン増加)によって、筋肉量減少の悪循環が生じる可能性があるということですね。図にすると以下のような感じです。

     

     

     

    ◆筋肉量減少の悪循環を予防するには減量+筋トレ!

    筋肉量減少の悪循環を予防するには、どうしたらよいのでしょうか?

     

    当然ですけども、肥満解消、いわゆるダイエットですね。この場合のダイエットというのは、たんに体重を減らせばいいというものではありません。脂肪を減らして、筋肉量は維持することが重要になってきます。

     

    脂肪や筋肉量が血糖値に関わるということは、以前の記事でも触れました(参照:耐糖能(血糖値)改善のための運動)。血糖値に関わるということは、インスリン量にも関わってくるということですからね。

     

    さて、高齢者が減量をめざす場合には、摂取カロリーを減らしつつ、筋トレするのがいいよという報告があります(2)。

     

    この研究では、平均67歳の高齢者249人を対象にしていています。そして、以下のようにランダムにわけて、減量の効果を比較しました。

     

    ・食事群:食事療法のみの群(~330kcal/日の制限により0.3kg/週の減量をめざす)

    ・食事+筋トレ群:食事療法+週4日の筋力トレーニング(ウエイトリフティング)群

    ・食事+有酸素群:食事療法+週4日の有酸素運動(早足でのウォーキング)群

     

    18か月間の介入による結果は、以下のようになりました。

     

    体脂肪量は、食事+筋トレ群がもっとも減少がみとめられました。つまり、減量と筋トレでいちばん痩せたということですね。

     

    資料(2)より作成

     

    除脂肪筋肉量は、食事+有酸素群がもっとも減少がみとめられました。つまり、減量と有酸素運動では、ほかの方法とくらべると筋肉量を維持できなかったということですね。

     

    資料(2)より作成

     

    この結果をみると、高齢者が減量する場合は、カロリー制限+筋トレが最適のように考えられます。

     

    しかし、『耐糖能(血糖値)改善のための運動』にも書いているように、筋トレ+有酸素運動がもっとも減量に効果があるという報告もあります(3)。なるべく筋トレと有酸素運動をバランスよくするのがよいですが、筋トレのほうが優先順位は高いかもしれません。

     

    また、筋トレに関しては『ミオスタチンを抑制・減らすための運動や食べ物』でも書いているように、ミオスタチンを増やす効果があることが示唆されています。

     

    そして、筋トレによって筋肉自体も増えますから、筋トレは減量・ミオスタチン増加・筋肉量増加と一石三鳥です。ミオスタチンを抑制する栄養素などについても、さきほどの記事に書いていますので、参照にしてください。

     

     

    【資料】

    (1)Role of serum myostatin in the association between hyperinsulinemia and muscle atrophy in Japanese obese patients.[PMID:29859272]

    (2)Effect of Exercise Type During Intentional Weight Loss on Body Composition in Older Adults with Obesity.[PMID:29086504]

    (3)Effects of aerobic and resistance training on hemoglobin A1c levels in patients with type 2 diabetes: a randomized controlled trial.[PMID:21098771]

    (4)健康科学大学『肥満における骨格筋減少のメカニズムの解明!糖尿病専門誌 Diabetes Research and Clinical Practice 誌のオンライン版に掲載

     

    スポンサーリンク

     

    Pocket
    LINEで送る