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    忙しい人のための要約
    ビタミンDが不足(欠乏)していることと腰痛には関連があることが報告されています。しかし、ビタミンDを補給しても腰痛の改善には効果がないことが報告されています。私としては日光に浴びる時間、つまり外出するといった活動時間の増加によるものが腰痛と関連しているのではないかと考えています。

     

     

    ◆ビタミンD欠乏が腰痛に関係

    2017年11月、ビタミンDと腰痛の関連についてのメタアナリシス(105の論文から質がよいと判断された29の論文を分析)が発表されました(1)。それによると以下のようなことがわかりました(ちなみにビタミンDと腰痛発症との関連性は不明でした)。

     

    1.ビタミンD欠乏と腰痛が関連(OR=1.60、95% CI:1.20-2.12)

    資料(1)より引用改編

     

    2.ビタミンD欠乏と腰痛が関連:女性(OR=1.83、95% CI:1.26-2.66

    資料(1)より引用改編

     

    3.深刻なビタミンD欠乏と腰痛が関連(OR=2.08、95% CI:1.19-3.64)

    資料(1)より引用改編

     

    4.ビタミンD欠乏と腰痛が関連:60歳未満(OR=1.93、95%CI:1.04ー3.60)

    資料(1)より引用改編

     

    5.ビタミンD欠乏と腰痛が関連:60歳未満の女性(OR=2.08、95% CI:1.19-3.64

    資料(1)より引用改編

     

    6.ビタミンD欠乏と強い腰痛が関連(OR=1.98、95% CI:1.05-3.75

    資料(1)より引用改編

     

     

    ◆ビタミンDと腰痛の臨床試験

    ビタミンD欠乏と腰痛の関連があることは確かのようです。こういう報告を見るとビタミンDの摂取量を増やせば腰痛が改善するんじゃないかと考えますよね。ですので、少し調べてみました。

     

    対照群がないものではビタミンDの補給により痛みが改善したという報告がありますが(2)、RCTによればビタミンD補給はプラセボ群と有意な差はないとされています(3)。

     

    また、今年2018年3月に出たビタミンDの補給と腰痛のメタアナリシスにおいても、ビタミンDの補給はプラセボや非介入、その他の保存療法などと変わりないということが報告されています(4)。

     

    つまり、いま報告されているエビデンスによればビタミンDを補給しても腰痛改善にはあんまり関係ないよということですね。

     

    しかし、このメタアナリシスで対象となった報告は、サンプル数やビタミンD投与量が少ないなど問題もあります。よって、のちのちデータが蓄積すれば腰痛にビタミンD補給は効果があるということになるかもしれません。

     

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    ◆ビタミンDと腰痛の関連についての仮説

    ここからは私の勝手な考えです。

     

    人体のおもなビタミンDの産生源はどこでしょうか?ビタミンDは食事と皮膚と両方から産生することができますが、食品に含まれているビタミンDは少量です(参照『日光によるビタミンDの生成と不足・欠乏の判定指針について』)。

     

    Holickらは一般健常人の体内のビタミンDの80~90%は皮膚で産生されていると報告しています(5)。つまり、皮膚からのビタミンD産生が体内のビタミンDの量に強く関係しているということが推察されますね。ビタミンDが皮膚で産生されるためには、紫外線を浴びる必要があります。いいかえるとビタミンDが多いということは活動量が多いことが予測されます。

     

     

    慢性腰痛において運動療法が推奨されています(6)。そういうことを加味すると、ビタミンDと腰痛の関連というのは活動量の多寡(多い少ない)というのがポイントなのではないかと考えられます。ビタミンDが多いから腰痛うんぬんということではなく、ビタミンDが多いような活動的な生活をしているから腰痛うんぬんということです。

     

     

    ◆まとめ~腰痛にはビタミンD補給より活動量アップ?~

    メタアナリシスなどのエビデンスをみると、いまのところ腰痛改善のためにビタミンD補給を推奨することはできません(メタアナリシス自体にも問題はありますが…)。

     

    しかし、これはビタミンDを補給するなということではありません。腰痛以外の疾患にはビタミンDを補給するのは効果があるかもしれませんので。

     

    まぁ、腰痛においては効果が不明なビタミンDを補給するより、エビデンスが認められている活動量を多くするといった運動療法を実践するほうがよいのではないでしょうか。

     

    【資料】

    (1)Mapping the Association between Vitamin D and Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies.[PMID:29149142]

    (2)Vitamin D Supplementation in Patients with Chronic Low Back Pain: An Open Label, Single Arm Clinical Trial.[PMID:28072801]

    (3)The effect of vitamin D on nonspecific low back pain.[PMID:24119149]

    (4)Is Vitamin D Supplementation Effective for Low Back Pain? A Systematic Review and Meta-Analysis.[PMID:29565945]

    (5)Vitamin D: A millenium perspective.[PMID:12520530]

    (6)日本は慢性疼痛にどう挑戦していくのか、医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団、薬事日報社、2017

     

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