忙しい人のための要約
    反ワクチンなどが支持されやすい理由として「物語性(ストーリー)」=Base rate fallacyの影響があることが考えられます。実際、物語性が強い映像は脳により影響を与えることが示唆されています。

     

    反ワクチンという言葉があります。

     

    要はワクチンは危険だから、接種反対ということですね。まぁ、たしかにワクチンというのは、絶対安全というものではありません。どんなものにも益と害がありますからね。

     

    しかしながら、反ワクチンがいき過ぎると考えモノです。反ワクチンの人は、益とか害とかいうレベルではなく、ただ「ワクチン=毒」みたいな信念になってしまっているような気がします。答えありき、反ワクチンは信じるもの。

     

    つまり、宗教みたいになってるわけです。

     

    しかしながら、この反ワクチンってなんだか支持されやすいんですよね。それがなぜなのか、ちょっと調べてみました。

     

     

    ◆そもそも反ワクチンの人は頭が・・・

    以前の記事で、反ワクチンの人(ワクチン接種を拒否する人)は、

    ・陰謀論を信じやすい

    ・心理的リアクタンス(反発心のことで、他人から意思や行動を制限・強制されると反対の意見や行為をしたくなること)が高い

    ・組織や社会よりも個人を優先する

    などの傾向があることを紹介しました(参照:頭が悪いとスピリチュアルや陰謀論を信じワクチンを拒む)。

     

    また、陰謀論を信じやすい人は、知性が低いことも紹介しました。

     

    つまり、知性が低い=陰謀論を信じやすい→反ワクチンということで、反ワクチンというのは、ちょっと頭が云々ということが導きだされるわけです。

     

    実際、Twitterとかで反ワクチンっぽい人を見てると、申し訳ないですが知性があるようには見えないんですよね。。。

     

     

    ◆反ワクチンは物語性が強い

    そして本題です。なぜ反ワクチンは支持されやすいのか?

     

    それは『物語性』に鍵があるのではないかと思うわけです。

     

    (1)複雑さとシンプルさ

    たとえば、すごくきれいな風景を見たとしましょう。

     

     

    この風景を見て感想を聞くと、大雑把になるのではないでしょうか。「すごい」とか「やばい」とかですね。大きなものを見ると大きな感想を抱く。こういった傾向が人にはあるように思います。

     

    大きなものっていうのは、複雑なものです。複雑なものには刺激がたくさんあるわけで、注意が散漫的になり、結果として感想はゼロに近いような平坦なものになってしまうのです。

     

    逆にいえば、シンプルなものほど、心にいろいろ衝撃を与えやすくなるということがいえるわけです。

     

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    (2)論文・数値は複雑であり、症例はシンプルである

    反ワクチンの人は、症例を出してきます。

     

    中学2年生、14歳の○○ちゃん。いたってフツーの元気な女の子で、部活動では大会で優勝したこともあります。しかし、その平穏な日常もワクチンを打つまででした。彼女はワクチンを打ってから3日後、熱を出し、意識を失い、1週間後には歩くことさえ・・・

     

    のような感じですね。これが『物語性』で、結構ガツンとくるのではないかと思います。シンプルがゆえに、想像しやすいんですよね。

     

    たいして、論文ではこのガツンが少なくなります。1万人を対象にした研究? 国際機関が発表している数値? それはファンタジー?という感じです。

     

     

    ちなみに、一般的な情報と特定の情報がある場合、一般的情報を無視して、特定の情報に意識が集中する傾向(バイアス)のことをBase rate fallacyといいます(Twitterで教えていただきました)。

     

     

    反ワクチンの人は、このBase rate fallacyというバイアスが強いことが考えられますね。

     

     

    ◆物語性は脳に影響があるという報告

    実際、「物語性が強い映像」と「物語性が弱い映像」を見せて、脳活動を測定した研究があります(1)。

     

    物語性が強い映像は、アルフレッド・ヒッチコックの映画などで、弱い映像は町中(ワシントン・スクエア・パーク)を人が歩いているだけといったものです。

     

    この研究からわかったことは2つ。

    ・物語性がつよいと脳活動が高まる

    ・物語性がつよいと見ている人の脳活動が似てくる

     

    資料(1)より作成

     

    映像を見てる人々のあいだでの、脳活動の類似性をあらわす指標であるISC(inter-subject correlation analysis)は、もっとも物語性が強い映像(アルフレッド・ヒッチコック)では70%弱、物語性がよわい映像(ワシントン・スクエア・パーク)では10%にもいっていませんでした。

     

    つまり、物語性が強いと、人々は似たような反応(脳活動)を起こすということですね。

     

    症例が前面にでた反ワクチン運動→やばい!!という流れが想像できます。逆に、統計といった数値での反論は他人事のようになってしまう可能性が高いわけです。

     

    これらの知見を踏まえると、反ワクチンにたいして論文や統計で反証するのは、あまり効果がないかもしれません。

     

    もっと具体的に、想像しやすい方法で発信する。または行動経済学のような手法を用いてワクチン接種を推奨していく。そういったことが大切なのかもしれません。

     

    【資料】

    (1)Hasson, Uri, et al. “Neurocinematics: The neuroscience of film.” Projections 2.1 (2008): 1-26.

     

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