忙しい人のための要約
    ・税金は財源ではない
    ・税金の意味・役割とは通貨の需要創出、インフレ圧力の管理、資産と所得の調節(格差是正)、行動の助長・抑制である
    ・今の日本に消費税は不必要だから廃止しよう
    ・実物資源(供給力)を重視し、国民の生活安全保障を強化しよう

     

     

    ◆税金の4つの役割とは?

    税金の役割とはなんでしょうか。

     

    財源? 財源にすることも理論上は可能ですが、日本は通貨を発行できます。いちいちお金を税金として集めなくても、日本銀行がお金を発行すれば済みますよね。

     

    つまり、税金の役割は財源ではありません。

     

    MMT(現代貨幣理論)の主唱者である、ステファニー・ケルトン教授の著書『財政赤字の神話』から引用します。

     

    通貨主権を手にした国は、家計と同じように収支を管理する必要はなくなる。(中略)通貨主権を持つことは、その国が財源の心配をせず、国民の安全と幸福を最優先できることを意味する。-財政赤字の神話 P38~39-

     

    では、税金の役割とはなにか。

     

    税金には4つの役割があります。

    1.通貨の需要創出
    2.インフレ圧力の管理
    3.資産と所得の調節(格差是正)
    4.行動の助長・抑制

    税期の意味 4つの役割

     

    では、ひとつずつ見ていきましょう。

     

     

    1.通貨の需要創出

    よくよく考えてみれば、お金はただの紙切れです。日本の1万円札を持って、縄文時代にタイムスリップしたら使えると思いますか?

    たぶん使えないでしょう。

     

    なぜ、ただの紙切れに価値があるのか?

    その価値を生み出すために税金があるのです。

     

    税金が存在する目的は、通貨への需要を生み出すことだ。

    政府は独自の会計単位となる通貨を定め(ドル、円、ポンド、ペソなど)、税金その他の債務をその通貨で支払うことを義務付けることによって、本来無価値の紙切れに価値を付与する。-財政赤字の神話 P47-

     

    国(政府)が国民の生活のために道路を作ろう、医療や教育を充実させようとしても、通貨(お金)に価値がなければ、だれも働きません。

     

    しかし、納税義務を負わせることで、お金に価値が生まれ、お金を手にいれようとする力が生まれます。それは国家の労働力になるわけです。

     

    税金の意味・役割 通貨の需要創出

     

    もし税金がなければ、国家は必要な労働力を集めることできず、国家運営は難しくなるでしょう。

     

    税金によって政府はあからさまに強制することなく、必要なものを手にいれることができる。

    もしイギリス政府が国民に対してポンドを使って税金を納めるよう求めるのやめれば、政府の調達力はたちまち損なわれる。ポンドを稼ぐ必要のある人が減り、ポンドと引き換えに働こうとする教師、看護師などを見つけるのが難しくなるだろう。ー財政赤字の神話 P55ー

     

     

    2.インフレ圧力の管理

    たとえばすべての税金がなかったとしましょう。

     

    民間(市場や家計など)に、お金がどんどん増えていきますね。するとお金の価値がどんどん下がり、物価があがりますね。つまり、インフレになっていくということです。

     

    中野剛志さんの『奇跡の経済教室 【基礎知識編】』より引用します。

    例えば、政府が盛んに公共投資をやり、投資減税や消費減税をやったら、需要が拡大して、供給能力を超えるので、インフレになります。それにもかかわらず、公共事業をやりまくり、ついでに無税にしてみたら、どうなるか。おそらく、インフレが止まらくなり、遂にはハイパーインフレになるでしょう。(中略)

    いくら政府に通貨発行権があっても、その通貨が無価値になってしまうのです。ハイパーインフレこそ、国家の財政破綻と言っていいでしょう。-奇跡の経済教室 【基礎知識編】P147~148-

     

    適度なインフレならいいですが、お金が増えすぎて過剰なインフレ(ハイパーインフレ)になってしまうのはよろしくありません。税金を課すことで、民間に出回っているお金を回収して、「過剰なインフレになりそう(インフレ圧力)」を管理するのです。

     

    政府が医療や教育への支出を増やす場合、それが物価上昇につながらないように国民の支出能力を多少抑える必要があるかもしれない。

    その一つの方法が、財政支出の増加に合わせて税金を引き上げることで、国民の支出を強制的に少し抑えさせ、政府の追加支出が入り込む余地を生み出すことだ。それによって経済の実物的な生産能力に負担がかからないようにして、インフレ圧力を管理することができる。ー財政赤字の神話 P56ー

     

    重要なのは、課税のタイミングです。

     

    日本は完全に失敗しています。

     

    減税して消費を刺激しないといけないときに、消費税率に引き上げを何度もおこないました。結果として消費は低迷し、景気は悪化したのです。

     

    ・ハイパーインフレの懸念?

    ちょっと話がずれますが、財政支出を増やすと、ハイパーインフレになるのではないかと懸念をいだく人がいます。

     

    さきほど説明したように、「民間にお金が増えすぎるとインフレ圧力が高まり、最終的にハイパーインフレになって大変なことになってしまうぞ!」という感じです。

     

    まぁ、ハイパーインフレは心配しなくて大丈夫です笑

     

    朴勝俊さん、シェブテイルさんの著書『バランスシートでゼロから分かる 財政破綻論の誤り』では、ハイパーインフレを起こした事例に共通する要素が挙げられています。

     

    ①社会的・政治的な大混乱や内戦
    ②生産能力の崩壊(戦争などが原因)
    ③弱い政府(弱い徴税能力)
    ④多額の対外負債

     

    もちろん、日本はどれにもあてはまっていません。

     

    また、1960年代以降の47カ国を対象にした史実的調査研究によれば、マネーサプライ(市中に流通する通貨量)の急激な増加や政府債務の急激な上昇、金利の低下、中央銀行バランスシートの急激な増加でインフレは起こらないことがわかっています(1)。

     

    ハイパーインフレなんて杞憂なものを心配する前に、デフレ(低成長)によって貧困化した、目前の国民生活を心配するほうが大切でしょう。

     

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    3.資産と所得の調節(格差是正)

    お金持ちから過剰な資産・所得を徴収して、お金に困っている人からは徴収しないと格差が縮小しますね。

     

    なぜ格差を縮小する必要があるのか?

    社会格差があると、さまざまなデメリットがあるからです。

     

    所得の大部分がごく一部の最富裕層に行くと、その大部分は(支出されずに)貯蓄される。そのような状況で経済の強さを保つのは難しい。資本主義は売り上げによって成り立っている。企業が十分利益を上げ、雇用を維持し、経済をうまくまわしていくためには、所得が適度に分散している必要がある。

    極端な富の集中は、政治プロセスや民主主義を腐らせていく作用もある。-財政赤字の神話 P56-

     

    ほかにも多くのデメリットがあるわけですが、詳しく知りたい人は『格差は心を壊す』を読んでみてください。いい本です。

     

    ・消費税は安定財源で最悪の税?

    ちなみに以前、こんなクイズを出しました。

     

    消費税には、ビルトインスタビライザーのような経済を安定化させる機能は皆無です。どんなに不景気でも、貧乏人からも徴税します。

     

    いわゆる安定財源と呼ばれる所以ですが、言いかえれば、どんなに困っていても搾取する恐ろしい税ということになります。

     

    消費税は格差を拡大する性質をもっており、そういう意味でも最悪の税制と言うほかありません。社会保障にも使われておらず、法人税率引き下げの穴埋めに使われていますし、怒らない日本国民はどうにかしてます笑

     

     

    4.行動の抑制・助長

    ・健康増進のため、タバコの消費(購買)を減らすという目的で、たばこ税を課す。
    ・環境対策のため、二酸化炭素の排出を減らすという目的で、炭素税を課す。
    ・肥満抑制のため、砂糖の利用を減らす目的で、砂糖税を課す。

     

    このように、なにかしらの行動を抑制するために、税金を課します。

     

    逆に、省エネ家電や電気自動車など、環境によいものを消費させたいときには、税金を還付して消費を刺激(行動を助長)することも可能です。

     

    税金の意味・役割 行動の抑制・助長

     

    ここでも消費税が問題になりますね。

     

    日本はデフレで消費を促したい状況です。しかし、消費税は消費を抑制するものですよね?

     

    消費を増やさないといけないのに、消費税率を引き上げて消費を抑制する。

     

    これを30年近くやってきて、見事に日本は不景気のまま、どんどん国際的にもランクが低下しています。これは明らかな失政なんです。日本国民はもっと怒らないといけません。。。

     

     

    ◆社会保障を税金で集める必要などない

    先日、高齢者の医療費の自己負担をあげることを検討しているというニュースがありました(JOINT『75歳以上の医療費負担増、予定通り年内に結論 厚労相 2割の対象範囲が焦点』)。

    田村厚労相は会見で、「年末までに方向性を出さなければいけない」と明言。「少子化で人口構造は変わっている。一定の負担能力がある方にはご負担をお願いしていかなければならない」と述べた。 続けて、「負担増によって必要な医療が受けられないとなれば大きな問題。対象範囲をしっかり議論していきたい」と付言した。 

    現行、75歳以上の医療費の自己負担は原則1割(現役並み所得者のみ3割)。国の厳しい財政事情や現役世代の負担の重さなどを勘案し、政府は新たに2割負担を導入したい考えだ。

     

    なぜ自己負担をあげる必要があるのでしょうか?

     

    財政事情などと書いていますね。でも、日本政府は通貨発行権を持っていて、お金を発行することができるんですよ? おかしいと思いませんか。

     

    財政のために、自己負担を上げるのはナンセンスです。

     

    もちろん、自己負担をあげることが絶対悪ということではありません。患者さんに不利益になるようなムダな医療を抑制するためなど、理由によっては自己負担をあげることが適切な場合もあるでしょう。

     

     

    ◆財政的観点から実物資源的観点へ転換 国民の生活安全保障を強化せよ

    医療は財政的観点ではなく、実物資源的(供給力的)観点で見ることが重要です。

     

    誰もが必要とする医療を受けられるシステムをつくるためには、そのための実物資源を確保する必要がある。制約は資金ではなく実物資源だ。

    医療不足を埋めるには、プライマリーケア医(かかりつけ医)、看護師、歯科医、外科医、医療設備、病床などを増やす必要がある。あらゆる人に適切な医療を提供するには、病院や地域医療センターを新たに建設し、医療研究への投資を増やさなければならない。そして新たに医師や看護師になろうとする世代が、学生ローンに苦しまなくていいような経済を作らなければならない。-財政赤字の神話 P267-

     

    コロナによって、日本の実物資源がいかに貧弱化しているかわかりましたよね。

     

    保健所がどんどん減らされて、検査などに対応できなかったのは記憶に新しいでしょう。

     

    保健所職員の、劣悪な労働環境がニュースにもなりました(メディカルトリビューン『保健所の業務逼迫、186時間残業の保健師も…自治労連が調査〔読売新聞〕』)。

    新型コロナウイルス感染が急拡大した4月の保健所の労働実態について日本自治体労働組合総連合(自治労連)が調査したところ、回答があった32保健所のうち18保健所で、残業が月45時間を超えた常勤保健師がいたことが12日、わかった。

    人数でみると165人中49人で、中には186時間の残業をしたケースもあり、自治労連は保健所の人員体制強化を訴えている。

     

    日本は財政赤字という概念から脱して、実物資源・供給力を重視し、しっかりとお金を支出して、国民生活を豊かにしていく(国民の生活安全保障を高めていく)必要があります。

     

    【資料】
    (1)経済学101『リチャード・ヴァーグ「マネーサプライの急激な増加はインフレを引き起こさない」(2017年1月16日)

     

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