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◆人間関係はめんどうくさい、でもめっちゃ大事
人間関係ってめんどうくさいですよね。これはもう説明するまでもないと思います。嫌われる勇気で有名なアドラー心理学では、「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」とまで言ってるくらいですからね。
しかし、だからといって蔑ろにしてはいけないのが人間関係なんですよね。
TEDに『人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から』という動画があります。そのなかで心理学者のRobert Waldingerさんは、75年にわたる成人発達の研究について紹介しており、結果を以下のように述べました。
彼らの人生から得た何万ページにもなる情報からわかった事は何でしょう? 75年にわたる研究からはっきりとわかったことは、私たちを健康や幸福にするのは富でも名声でも無我夢中で働くことでもなく、良い人間関係につきるということです。
人間関係が幸福に大きな影響を与えていることがわかったのです。
では、良好な人間関係を構築するためにはどうすればいいのでしょうか。ただ方法論にはいるまえに、人間関係の量と質について少し触れておこうと思います。
◆人間関係で大切なのは「量」ではなく「質」
TEDの動画でも言及されていますが、人間関係で大切なのは「量」よりも「質」とのこと。
孤独についてエビデンスをもとに書かれている『孤独の科学』でも、以下のように書かれています。
孤独感の解決策は、関係の量ではなく質だ。人間のつながりは、当事者のそれぞれにとって意味があり、満足のいくものでなければならないし、また、外部の物差しで測るものであってはならない。さらに、関係は必ず相互のもので、どちらの側にもほぼ同じ程度の近しさと熱意が求められる。
『孤独の科学』P367
ただし、どの年代においても「質」が大切というわけではなさそうです。ロチェスター大学のCarmichaelらによる人間関係についての、30年にわたる前向き研究があります(1)。
要約には以下のように書かれています。
Results supported the hypothesis that the quantity (but not the quality) of social interactions at age 20, and the quality (but not the quantity) of social interactions at age 30 predict midlife psychosocial outcomes.
20代のときは人間関係の量(質ではなく)、30代のときには人間関係の質(量ではなく)が中年期の心理社会的転帰を予測するという仮説を支持した。
つまり、50代の人生の充実に関しては、20代までは友人の量が大切だけど、30代になったら質が重要になってくるということですね。各年代に応じて、戦略的に考えるのがよいのでしょうけど、それはそれでちょっとしんどくなるかもしれませんが笑
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◆人間関係を良好にするための3つの具体策
しかしながら、人間関係の質が重要であることには変わりありません。そこで、人間関係を良好にするための3つの具体策(ポイント)を紹介していきたいと思います。
(1)一緒に過ごす時間を増やす
人間関係を良好にする1つめのポイントは「一緒に過ごす時間を増やす」です(2)。
一緒に過ごす時間が多いということは、そのあいだに多くのコミュニケーションをとることが考えられます。互いのことを知りあうことで、好感を抱き人間関係が良好になるというのは、なんら不思議なことではありませんよね。
夫婦の結婚生活について報告している論文がありますが、そのなかで夫婦生活の満足度を向上させる解決策として、一緒に過ごす時間を増やせと書いています(3)。
しかし、一緒にご飯に行くとか、映画を見るとかハードル高いと思う人もいるかもしれません。ただ、いきなりそこまでしなくても大丈夫のようです。
とあるメタ分析の報告によれば、さきほどの刺激的な交流レベルでなくとも、ただ接触する(簡単な会話をする、顔を合わせるなど)といったことでも相手への好意が増すようです(4)。
知らないというだけで批判的になりやすいってよくあると思います。Twitterとかでも、じかにコミュニケーション取ってみたら、思ってたより良い人だなってありませんか?
なんでもいいので、接触の機会を増やすことが良好な人間関係を構築するための第一歩というわけですね。ちなみに、さきほどのメタ分析のよれば、もっとも効果が高まる接触回数は10~20回とのこと。
(2)似たような行動をする機会をつくる
人間関係を良好にする2つめのポイントは「似たような行動をする機会をつくる」です。
専門用語では『同期行動』と言ったりもするようで、おなじ場所で同じ行動をおこなうといった意味あいです。たとえば、部活動などがそれにあたると思います。
部活動などでつちかった友情が、大人になっても続いているという人は多いのではないでしょうか。心理学における「類似性の法則(似た人を好きになる)」や「ミラーリング(相手の真似をする)」などに似たような感じですかね。
実際、カウンセリングの場面で、ミラーリングを用いてみた研究があります(5)。それによると、ミラーリングを用いるとクライエントがより共感を認知しやすくなり、ラポールの形成につながるポジティブな印象・体験をもらたしやすくなったとのことです。
同じことを同じ場所で一緒にするというのは、人間関係を良好にするにあたり非常に有用であることが考えられますね。たとえばスポーツ(ランニングとか)を一緒にする、散歩する、ヨガをするとか。
(3)自分をさらけ出して信頼感を築く
人間関係を良好にする3つめのポイントは「自分をさらけ出して信頼感を築く」です。
以前の記事『ことわざから導く孤独の悪循環を解消する方法』でも紹介しましたが、互恵的(相手も自分も得がある)行為は孤独を癒し、人間関係を良好にするのに重要です。
しかし、見ず知らずの人といきなり互恵行為をしましょうといっても、なかなかできませんよね。まずは相手と信頼関係を築くことが重要になってきます。
信頼関係を築くのに有用な方法のひとつに「セルフディスクロージャ―」というものがあります。これは自分の秘密や悩みをさらけ出すことを意味しています。つまり、自分のことをさらけ出すことで、私はあなたを信頼していますということを暗につたえ、信頼関係を築いていこうということです。
しかし、いきなり見ず知らずの人に、深刻なこと言われても引いてしまいますよね。ほどよいセルフディスクロージャーが大切ということです。
参考になるのが、Gary Woodの研究です(6)。
それによると、以下の10個の話題は適切なセルフディスクロージャーを促進するとのことで、まずは以下の話題から会話をはじめるといいかもしれません。
1.お金と健康に関する心配事
2.自分がイライラしてしまうこと
3.人生で幸福になれること、楽しいこと
4.自分が改善したいこと(体型、性格など)
5.自分の夢や目標、野望など
6.自分の性生活に関すること
7.自分の弱点やマイナス面
8.自分が怒ってしまう出来事について
9.自分の趣味や興味
10.恥ずかしかった体験、罪悪感を覚えた体験
『最高の体調』P139
いろいろ活かして、良好な人間関係を構築し、人生を充実したものにしていきましょう。
【資料】
(1)Carmichael, Cheryl L., Harry T. Reis, and Paul R. Duberstein. “In your 20s it’s quantity, in your 30s it’s quality: The prognostic value of social activity across 30 years of adulthood.” Psychology and aging 30.1 (2015): 95.[PMID:25774426]
(2)Daniel J. Hruschka(2010)Friendship: Development, Ecology, and Evolution of a Relationship (Origins of Human Behavior and Culture)
(3)Finkel, Eli J., et al. “The suffocation model: Why marriage in America is becoming an all-or-nothing institution.” Current Directions in Psychological Science 24.3 (2015): 238-244.
(4)Bornstein, Robert F. “Exposure and affect: overview and meta-analysis of research, 1968–1987.” Psychological bulletin 106.2 (1989): 265.
(5)青柳宏亮. “心理臨床場面でのノンバーバル・スキルに関する実験的検討.” カウンセリング研究 46.2 (2013): 83-90.
(6)Gary Wood(2012)Unlock Your Confidence: Find the Keys to Lasting Change through the Confidence Karma
(7)孤独の科学、ジョン・T・カシオポ/ウィリアム・パトリック、河出文庫、2018
(8)最高の体調、鈴木祐、クロスメディアパブリッシング、2018
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