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ラーニングピラミッド・メラビアンの法則は信憑性なき嘘?

忙しい人のための要約
ラーニングピラミッドやメラビアンの法則は信憑性が薄く科学的根拠のない嘘(デタラメ)であることがわかっています。こういう古びた知識を使ってしまわぬように、常に知識をアップデートすることが重要です。

 

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目次

◆ラーニングピラミッドに科学的根拠はない

ラーニングピラミッドというものをご存知でしょうか?下のようなやつです。

 

ラーニングピラミッド

資料(1)より引用

 

教育方面などでは有名なもので、一度は聞いたり、見たりしたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

しかし、このラーニングピラミッドが、じつは誤謬(まちがい)だったという論文がでました(1)。

 

このことが週刊医学界新聞に紹介されていましたので、一部引用して紹介します(引用『ラーニングピラミッドの誤謬』)。

ラーニングピラミッドとは,講義を聞いたり文献を読んだりする学習方略は定着率が低い一方,他者に教えるという方略は定着率が高いという調査結果を示した図ですが,出自を調べると全くのデタラメであることがわかります。 (中略)

簡単に説明すると,別々の文脈で用いられていた図や数値がどこかで組み合わされ,階層の内容も順序も変化し,それがあたかも何かの調査に基づくかのように用いられていった,というのがラーニングピラミッドの真相のようです。(中略)

教育や学習という営みは,さまざまな要因が絡み合って成立していくものであり,その過程の改善には地道な工夫と取り組みが必要です。一見妥当に見えるラーニングピラミッドの使用は,そうした地道な工夫と取り組みを損ずる危険があるということからも,使用は控えたほうがよいと言えるでしょう。

 

ラーニングピラミッドというのは、いろいろな資料を寄せあつめたもので、それを形式化したもののようです。そして、そこにある数値はなんら科学的根拠はないとのこと。

 

いやはや驚きました。すごく信じていたので(笑)

 

しかしながら、科学的根拠がないというだけであって、このラーニングピラミッドの本質である、学習の定着自体が誤りということではないということに気をつけないといけませんね。

 

つまり、科学的根拠がない=誤り」ではないということです(参照:EBM(根拠に基づく医療)とは~初学者のための超基礎知識~)。

 

個人的にも、人に教えるほうが、学習したことが定着しているような気がします(経験上のものでまったく科学的ではありませんが笑)。

 

実際、元予備校講師の犬塚壮志さんは、著書『頭のいい説明は型で決まる』のなかで、ラーニングピラミッドについて以下のように述べています。

 

正直なところ、個人的な見解として、すべての学習者にこのラーニングピラミッドが当てはまるとは思っていません。数字が整い過ぎていますし、研究論文でのエビデンス(証拠)も薄いように思えます。

でも、教育現場で実践した肌感覚として、講義をただただ受けている子たちよりも、友達同士で教えあっている子たちのほうが確かに記憶の定着率は高いと感じます。

 

けれども、週刊医学界新聞の記事のなかで指摘されているように、ラーニングピラミッドを盲信してしまい、ここから派生してものごとを考えるのは注意が必要ですね。

 

それにしても、あたかも科学的に認められたみたいなことが、じつはなんの根拠もなかったというのはよくあります。むかし教わったことを、アップデートせずにそのままにしていると、こういうことにおちいりがちです。

 

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◆有名なメラビアンの法則も実はデタラメ

心理学の分野やビジネスマナー、コミュニケーションなどの研修で有名なものに、メラビアンの法則というものがあります。

 

メラビアンの法則というのは、話し手の聞き手に与える影響が、

見た目・身だしなみ・しぐさ・表情などが55%

声の質(高低)・大きさ・テンポなどが38%

話す言葉の内容が7%

というものです。

 

さて、メラビアンの法則もデタラメであることが指摘されているのはご存知でしょうか?

 

すこし長くなりますが、戯作者のパオロ・マッツァリーノさんの著書『反社会学講座』より引用します。

 

じつは、メラビアンの法則なるものは、存在しないのです。(中略)

実際にメラビアン博士が行った実験とは、こういうものです。「たぶん(maybe)」の一語を、さまざまな声質で録音し、それを被験者に聞かせてどのような印象を受けたかを調べる。また、さまざまな表情の顔写真を見せながら、「たぶん」の録音を聞かせる。これだけです。のちに、もう少し語彙のバリエーションを増やした追試を行い、その結果から例の五五/三八/七%の数字がはじき出されたのです。

メラビアン博士が行ったのは、表情と声の実験だけでした。身振り手振りや身だしなみといった要素は研修屋が勝手にくっつけたのです。そもそも、この実験は、言葉の内容と表情(もしくは声量)が矛盾している場合、聞き手は言葉と表情のどちらに重きを置くだろうかということを検証するためのものでしかなかったのです。

いずれにせよ、二、三語からなるごく短い文章での実験であり、しかも被験者同士が顔を合わせてすらいないのですから、これをコミュニケーションと主張するのは無理があります。

リチャード・スプロートさんは、この法則を都市伝説(口コミで広まった、原典が不明確なお話)のひとつだと断じていますし、メラビアン博士本人もあるインタビューにおいて、「この実験結果を日常のコミュニケーションに適用することはできない」と認めています。

 

メラビアンの法則、いとも簡単にデタラメであることが判明しました。ビジネスマナーの研修でこれを教えるのはやめたほうがいいですね。マナーの研修で嘘を教えることは、マナー違反でしょう(笑)

 

 

◆常に知識をアップデートすることが重要

以前の記事、『EBM(根拠に基づく医療)とは~初学者のための超基礎知識~』のなかで、つねに知識をアップデートすることが肝要であることを述べました。

 

「ラーニングピラミッドによるとね……」とか、「メラビアンの法則によるとね……」なんて鼻高々に話すのは自由ですが、それはつまり「自分は過去の知識にしがみつき、アップデートせずに生きている化石のような人間です」と言っているのおなじですから、注意したほうがいいですね。

 

とくに年齢をかさねるにつれて、それ間違ってますよなどと指摘してくれる人は少なくなります。周りの若い人は「なるほど~」、「さすがです」なんておべっかを使っていても、裏では嘲笑しながら見下しているかもしれません。

 

人は年をとっていくと勉強しなくなりがちです。自分の経験や過去の知識で生きていくようになります。ですから、年齢がうえの人ほど注意が必要です。常に知識はアップデートするよう心がけることが肝要ですね。

 

【資料】

(1)土屋耕治 (2018). ラーニングピラミッドの誤謬:モデルの変遷と “神話” の終焉へ向けて 人間関係研究、17、55-74.(参考:ラーニングピラミッドの誤謬

(2)反社会学講座、パオロ・マッツァリーノ、ちくま文庫、2007

 

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