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イミダペプチドによって疲労が取れる!?

忙しい人のための要約
イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)が疲労の軽減やパフォーマンス向上に役立つという報告があります。安全性も高いことが示唆されており、さらなる大規模な調査が望まれます。

 

 

◆はじめに

1999年、厚生省(現在の厚生労働省)の疲労調査研究班が実施した疫学調査によれば、疲労を自覚している人の割合は、就労人口の60%(4720万人)であり、その半数の人(2960万人)は、6か月以上つづく慢性疲労に悩んでいるとされています(1)。

 

すこし古い調査ではありますが、過労死が報告されている昨今、この現状におおきな変わりはないと考えられます。

 

今回は疲労の軽減について書いていこうとおもいます。

 

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目次

◆疲労と疲労感

日本疲労学会の定義によれば、健康な人における疲労とは『一般に運動や労力などの身体作業(運動)負荷あるいはデスクワークなどの精神作業負荷を連続して与えられたときにみられる、身体的あるいは精神的パフォーマンス(作業効率)の低下現象』とされています。

 

疲労と似た言葉に疲労感というものがあります。疲労と疲労感はどう違うのでしょうか?『すべての疲労は脳が原因』から引用します(改行は引用者による)。

 

疲労は、細胞がこの酸化ストレスにさらされることでさびてしまい、細胞本来の機能を維持できなくなることで起こるのです。

(中略)ヒトは、運動を始めると、数秒後には心拍数が上がり、呼吸が速く大きくなります。また、体温の上昇を抑えるために発汗します。それを秒単位で制御しているのが「脳の自律神経の中枢」と呼ばれる視床下部や前帯状回なのです。運動が激しくなると、この「脳の自律神経の中枢」での処理が増加します。

その結果、脳の細胞で活性酸素が発生し、酸化ストレスの状態にさらされることでさびつき、本来の自律神経の機能が果たせなくなります。これが脳で「疲労」が生じている状態、つまり「脳疲労」です。そして、ヒトは、そのときに「体が疲れた」というシグナルを眼窩前頭野に送り、「疲労感」として自覚するのです。

 

まとめますと、以下のようになります。

 

 

疲労:活性酸素による酸化ストレスが原因で、視床下部・前帯状回が中心。

疲労感:疲労を眼窩前頭野で感知し、自覚する。

 

疲労は、プレゼンティーイズム[従業員が出社していても、何らかの不調のせいで頭や体が思うように働かず、本来発揮されるべきパフォーマンス(職務遂行能力)が低下している状態]などにも関係していると思いますので、疲労を軽減することがは非常に大切であると思います。

 

 

 

◆疲労を軽減するイミダペプチド

2003年、産官学が連携して『疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト』というものが立ちあげられ、疲労を軽減する食品(栄養)について研究がなされました。

 

結果として、イミダペプチド(イミダゾールペプチド)、コエンザイムQ10、アップルフェノン、クロセチン、クエン酸、オルニチンなどで抗疲労効果が確認されています(2)。このなかでも、とくに抗疲労効果を示したのがイミダペプチドでした。

 

資料(2)より引用

 

イミダペプチドはイミダゾール基をふくむアミノ酸のジペプチドの総称です。とくに知られているのはカルノシン(β‐アラニン・ヒスチジン)とアンセリン(β‐アラニン・1‐メチルヒスチジン)です。これらは抗酸化作用があることがKohenらによって報告されています(3)。

 

 

◆イミダペプチドの臨床試験

1.運動パフォーマンスと疲労

鈴木らは、イミダペプチドを1500mgふくむ飲料を健常男性8名に単回摂取させ、エルゴメーターの5秒全力ペダリングを間欠的に実施させると、イミダペプチド群がプラセボ群と比較して有意に平均パワーが高値だったと報告しています(4)。

 

資料(4)より引用

 

佐藤らがイミダペプチドを健常男性13名に30日間連続で摂取させたところ、摂取前後の骨格筋中のカルノシン濃度増加率と平均パワー増加率とのあいだに有意な相関が認められ、カルノシン濃度の上昇が運動パフォーマンスの向上に寄与することが示唆されたとしています(5)。

 

資料(5)より引用

 

ほかにもSuzukiらが、骨格筋中のTypeⅡb線維中のカルノシン濃度が平均パワーと有意に相関することを報告しています(6)。

 

 

2.身体作業負荷と疲労

田中らは、イミダペプチドを400mgふくむ飲料を4週間、健常者17名に摂取させました(7)。

 

その後、AT(無酸素性作業閾値)心拍数の80%で4時間のエルゴメーターを実施してもらい(1時間×4セット)、身体作業負荷による疲労効果を検討しました(二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験)。

 

ATというのは、有酸素運動と無酸素運動の境界付近のレベルということで、無酸素運動にならないように設定したということですね。

 

 

資料(2)より引用

 

結果、エルゴメーターの最大回転数の低下を有意に抑制することや主観的疲労感の有意な上昇抑制効果が認められました。

 

資料(2)より引用

 

また、酸化ストレスの指標である尿中8ーOHdG濃度や尿中8ーイソプラスタンを有意に抑制していることも判明しました。

 

 

3.日常作業と疲労

清水らは、日常で疲労感を感じている207名を対象にして試験をおこないました(8)。対象者を以下のように3つのグループにわけ、疲労感の経過を追いました(二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験)。

・イミダペプチド400mg群

・イミダペプチド200mg群

・プラセボ群

 

結果は以下のようになりました。

 

資料(2)より引用

 

イミダペプチドを毎日200mg摂取することで疲労感が軽減する傾向にあり、400mg摂取するとプラセボ群と比較すると有意に疲労感の軽減が認められました。

 

統括すると、イミダペプチドが酸化ストレスを軽減することで、疲労が軽減し、それが疲労感を軽減することにも繋がるということですね。た疲労が軽減されるのことで、パフォーマンスの低下を防止する効果もあるようです。

 

 

 

◆鶏の胸肉100gを摂取するのがよい

イミダペプチドは鶏の胸肉に多く含まれていますが、疲労軽減のためにはどれくらいの量を摂取すればいいのでしょうか?『すべての疲労は脳が原因』では以下のように示されています(改行は引用者による)。

 

イミダペプチドをどれくらい摂取すれば抗疲労効果があるのかについては、数々の実験結果から、「脳内で持続的に酸化ストレスを減らして、抗疲労効果を発揮し続けるには、1日あたり200mgのイミダペプチドをとるのが有効である。最低2週間ほどとり続けると抗疲労効果が現れる」ということが明らかになっています。

具体的には、1日に200mgのイミダペプチドを効果的に摂取するには、鶏の胸肉を100g食べるのがよいでしょう。

 

イミダペプチドは加熱によっても破壊されないので、焼くことも可能ですが、長時間のあぶり(グリル)などは成分が変質する可能性もあるので避けたほうがよいとのことです。また、水溶性のため茹でたり、蒸したりする場合はスープなどにして摂取するほうがいいでしょう。

 

 

◆イミダペプチドの安全性

絶対に危険でないということを証明することは難しいのですが、青柳らがイミダペプチドを摂取してもらった健常者を対象とした研究によれば、理学的検査・血液学的検査・血液生化学的検査・問診などにおいて、特筆すべき安全性上の問題はありませんでした(9・10)。

 

健常者を対象としているので、なにかしら疾患を有する人は医療機関などに相談したり、経過をみながら実施するのがよいかもしれません。

 

 

◆イミダペプチド確証マーク

日本予防医薬HPより引用

 

イミダペプチドはサプリメントなどからも摂取ることができます。いろいろな商品があるようですが、「イミダペプチド確証マーク」があるものを選択するのが無難なようです。

 

これは、1日に必要な200mgの量が入っていることをメーカーの作った団体が保証しているものです。

 

 

◆まとめ

イミダペプチドの文献を調査してみましたが、近年は減少傾向にあるようです。また、カルノシンを投与したが疲労にはあまり効果がなかったという報告もあります(11)。

 

日本の文献においても被験者数が少ないですし、イミダペプチドは疲労に効果があるかもしれませんねくらいの認識のほうがいいかもしれません。もしかしたら、私が知らないだけでイミダペプチドが疲労の軽減に関係するのは当たり前なのかもしれません。そうであるなら申し訳ないです(笑)

 

しかし、この研究が事実であるならば、疲労を感じやすい患者さんにイミダペプチドを投与したりすることは有用かもしれませんね。疲労はリハビリテーション(理学療法)において阻害因子になることが多いので、疲労を軽減できると非常によろしいように思います。

 

 

【資料】

(1)木谷照夫、疲労の実態調査と健康づくりのための疲労回復法に関する研究(厚生省)、平成11年度研究実績報告、2000

(2)西谷真人ら、新規抗疲労成分:イミダゾールジペプチド、日本補完代替医療学会誌;第6巻第3号:123-129、2009

(3)Antioxidant activity of carnosine, homocarnosine, and anserine present in muscle and brain.[PMID:3362866]

(4)鈴木康弘ら、トリ胸肉抽出物(CBEX™)の経口摂取が高強度間欠的運動パフォーマンスに及ぼす影響、体育学研究;49:159ー169、2004

(5)佐藤美佳子ら、トリ胸肉抽出物(CBEX™)長期摂取が骨格筋中カルノシン濃度と短時間高強度運動パフォーマンスに及ぼす影響、体力科学;52:255-264、2003

(6)High level of skeletal muscle carnosine contributes to the latter half of exercise performance during 30-s maximal cycle ergometer sprinting.[PMID:12139778]

(7)田中雅彰ら、CBEX‐Dr配合飲料の健常者における抗疲労効果、薬理と治療;36:199-212、2008

(8)清水惠一郎ら、イミダゾールジペプチド配合飲料の日常的な作業のなかで疲労を自覚している健常者に対する継続摂取による有用性‐第一次エントリー207名の形跡結果報告‐、薬理と治療;37:255-263、2009

(9)青柳さやから、健常者を対象としたCBEX‐Dr配合飲料の過剰摂取における安全性、薬理と治療;36:225-235、2008

(10)青柳さやから、健常者を対象としたCBEX‐Dr配合飲料の長期摂取における安全性、薬理と治療;36(3):213ー224、2008

(11)Carnosine treatment for gulf war illness: a randomized controlled trial.[PMID:23618477

 

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