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◆高齢者の歩行と死亡について
身体活動レベルの低い高齢者(65歳以上)は、身体活動レベルが高い人よりも死亡するリスクが高いことがわかっています(1.2)。歩行は、高齢者の日常的な身体活動の主要な要素であるため、歩行数はとくに重要になってきます(3)。
2018年4月に、日本人高齢者の歩数と死亡についての論文が報告されましたので、取りあげてみたいと思います(4)。
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◆研究の概要:7972歩以上で死亡が減少
研究の概要をざっと記しておきます。
・対象は自立している71歳の419名(男性:228名、女性:191名)
・1日の歩数で4つのグループに分類(4503未満、4503~6110、6111~7971、7972以上)
・平均9.8年追跡し、そのあいだに76名(18.1%)が死亡
そして、歩数と死亡の関連(ハザード比)は以下のようになりました(性別・BMI・喫煙・飲酒・薬剤の使用などを調整)。
資料(4)より作成
ハザード比は、4503歩未満は1.00(基準)、4503~6110歩は0.81(95%CI:0.43-1.54)、6111~7971歩は1.26(95%CI:0.70-2.26)、7972歩以上は0.46(95%CI:0.22-0.96)。4503歩未満の人と7972歩以上のあいだで、有意に低下が認められました。
つまり、1日に7972歩あるく人は4503歩未満の人と比較して、死亡リスクが54%低下しましたよということです。
◆最低でも4000歩は歩いたほうがいいのか!?
以前の記事『最低限の歩数の目安は4000歩?~中之条研究を中心に~』で、1日に最低でも4000歩は歩いたほうがいいかもしれませんよということを書きました。ここで取りあげている研究の歩数と活動強度の関連は、以下のようになっています。
資料(5)引用改編作成
今回の死亡リスクを低下させる約8000歩というのは、中之条研究では、うつ病・認知症・心疾患・脳卒中・がん・動脈硬化・骨粗しょう症・高血圧・糖尿病などを予防する可能性が示唆されています。
まぁ、歩くのはタダですし、なるべく行いたいものですね。
【資料】
(1)Effects of walking on mortality among nonsmoking retired men.[PMID:9420340]
(2)Even a low-dose of moderate-to-vigorous physical activity reduces mortality by 22% in adults aged ≥60 years: a systematic review and meta-analysis.[PMID:26238869]
(3)Age, period, and cohort effects on physical activity among elderly men during 10 years of follow-up: the Zutphen elderly study.[PMID:9597057]
(4)Daily step count and all-cause mortality in a sample of Japanese elderly people: a cohort study.[PMID:29685125]
(5)なぜ、健康な人は「運動」をしないのか?、青栁幸利、あさ出版、2014
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