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理学療法士の70.1%がガイドラインを使ってないという事実

忙しい人のための要約
診療ガイドラインは、質の高いエビデンスを効率的に収集するために有用です。しかし、日本の理学療法士の約70%が、診療ガイドラインを利用していないと報告されています。臨床をより良くするためにも、ガイドラインを活用していきましょう。

 

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目次

◆一次情報と二次情報

EBM(根拠にもとづく医療)では、エビデンスを収集することがかかせません。

 

とくに、質の高いエビデンスを効率的に収集することが重要です。エビデンスの質については、「EBM(根拠に基づく医療)とは~初学者のための超基礎知識~」を参照にしてください。

 

エビデンスには一次情報二次情報があります。

 

①一次情報

一次情報というのは、原著論文のことです。つまり、専門誌や学会誌・協会誌に掲載されている学術研究のことです。

 

理学療法士では、「理学療法科学」「MEDICAL REHABILITATION」などがなじみ深いと思います。

 

 

②二次情報

二次情報というのは、複数の一次情報(原著論文)をまとめたものです。

 

システマティック・レビューやメタ・アナリシス、診療ガイドライン(以下ガイドライン)などがあてはまります。

 

 

◆各二次情報の定義

①システマティック・レビュー

おなじ疑問をあつかった、エビデンスレベルの高い臨床研究を統合した情報のことです。

 

村上宣寛さんは、著書『あざむかれる知性』で以下のように述べています。

その中でもっとも信頼性が高いのは、ランダム化比較試験をメタ分析という統計技法でまとめたレビュー論文(システマティック・レビュー)である。特定の仮説がどの程度支持できるかに関して多くの論文を効果量という数字でまとめ上げている。それで、つまみ食い的でない、比較的公正な結論が得られる。

どんなトピックでも、メタ分析の論文をいくつか読めば、科学の最先端の結論が簡単に手に入る。逆に言えば、メタ分析の論文を読まない限り、つまみ食い的評論に左右され、結論を誤ってしまう。

 

その領域の情報を知りたければ、まずはシステマティック・レビューを読むのが効率的ということです。

 

②メタ・アナリシス

結果を統計学的に統合する手法のことです。

 

③ガイドライン

エビデンスの集大成。

 

医療者と患者が協力して共有意思決定(SDM:shared decision making)をおこない、適切な診療やケアを実践する目的のために作成された文書のことです。

 

 

 

◆日本の理学療法士はガイドラインを使っていない

欧米の理学療法士は、約95%がガイドラインを利用しているという報告があります(2)。

 

では、日本の理学療法士はガイドラインを使用しているのか?

 

結論からいえば、答えはNOです。

 

日本の理学療法士のガイドラインの利用について、Fujimotoらが2017年に報告しています(3)。

 

結果は以下のようになりました。

 

 

資料(3)より作成

 

理学療法士で、ガイドラインを知っている人は約40%、ガイドラインを利用している人は約30%でした。欧米(95%)と比較すると、低いことがわかります。

 

EBMでは、いかに質の高いエビデンスを、効率よく収集するかにかかっています。この場合のエビデンスは統計的エビデンスのことを指しています。エビデンスの種類については、「管見医学論~EBM(エビデンス)の考え方~」をご参照ください。

 

その効率的な収集のためにガイドラインは欠かせないものですが、理学療法士のガイドライン使用率を見ていますと、心配になりますよね。

 

 

◆ガイドラインを探すなら「Minds」

 

ガイドラインを探すのなら、「Minds(マインズ)」が使いやすくていいと思います。

 

Mindsというのは、厚生労働省の委託をうけて、日本医療機能評価機構が運営している事業です。

 

「筋・骨・関節」、「がん」、「脳・神経」、「呼吸器」、「消化器」など18のカテゴリーにわかれています。

 

購入しないといけないものありますが、無料で見られるものありますので、参照にしてみてはどうでしょうか。

 

リハビリに関連しそうなガイドラインは、以下に列記しておきましたので、参照してください。

 

 

◆リハビリに関連するガイドライン

①整形疾患(筋・骨・関節)

アキレス腱断裂

関節リウマチ

外反母趾

頚椎症性脊髄症(旧版)

骨転移

上腕骨外側上顆炎

前十字靭帯損傷

大腿骨転子部・頚部骨折

橈骨遠位端骨折

変形性股関節症(旧版)

腰椎椎間板ヘルニア

腰痛

腰部脊柱管狭窄症

 

②脳・神経

筋萎縮性側索硬化症

ギランバレー症候群

認知症

脳卒中(旧版)

パーキンソン病

慢性頭痛

 

③呼吸器

がん患者の呼吸器症状の緩和(旧版)

神経筋疾患、脊損の呼吸リハ

 

④代謝・嚥下・褥瘡

糖尿病(旧版)

高血圧

嚥下障害

褥瘡(診療)

褥瘡(予防・管理)

 

 

◆「理学療法診療ガイドライン」を利用しよう!

日本理学療法士学会も2011年に「理学療法診療ガイドライン」を発表しています。

 

大寺らの報告によれば、「要修正ではあるが、推奨されうるものである」という結果が示されています(4)。

 

まだまだ改善の余地はありそうですが、利用したほうがいいですよね。利用することでデメリットが生じることはないと思います。もちろん、ガイドラインを正しく使用することが前提です。

 

ガイドラインは教典ではありませんから、内容を遵守するようなものではありません。ガイドラインに書いていても批判的に吟味しつつ、患者さんの意向を踏まえて実践していく必要があります。

 

 

◆ガイドラインを使えるためのおすすめ本

ガイドラインを使ってないのではなく、使えないだけの人もいるかもしれません。そういうわたしも、使えてません(笑)

 

最近、出版されたのがこの本です。

 

 

【資料】

(1)あざむかれる知性、村上宣寛、ちくま新書、2015

(2)The propensity to adopt evidence-based practice among physical therapists.[PMID:17615076

(3)Attitudes, knowledge and behavior of Japanese physical therapists with regard to evidence-based practice and clinical practice guidelines: a cross-sectional mail survey.[PMID:28265139

(4)大寺祥佑ら:ガイドラインの研究・評価用チェックリストAGREE II による理学療法診療ガイドライン第1版の質評価.理学療法科学.Vol.42,No.7p.596-603.2015

(5)日本理学療法士協会「EBPTの実践手順

(6)PT・OT・STのための診療ガイドライン活用法、中山健夫監修、医薬歯出版、2017

 

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