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【WOOPの法則】例でわかる科学的な目標の達成術

忙しい人のための要約
引き寄せの法則は心理学者のエッティンゲンさんにより否定されています。WOOPは簡易に用いることができ、科学的にも効果(短期的・長期的)が認められています。目標達成のために活用してみてはいかがでしょうか。

 

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目次

◆引き寄せの法則は時代遅れで逆効果

目標を達成するための有名な法則に「引き寄せの法則」というものがあります。要は「○○になりたい、○○したい」ということを思うことで、それが実際に引き寄せられて具現化するというものです。

 

しかし、この引き寄せの法則を批判している人がいます。それはニューヨーク大学心理学教授のガブリエル・エッティンゲン(Gabriele Oettinge)さんです。

 

『残酷すぎる成功法則』より引用します(参照:『2017年に読んだオススメの11冊(ビジネス・哲学)』)。

 

夢見ることは、あなたの望みを実現しないばかりか、欲しいものを手に入れるチャンスを遠ざけてしまう。いやいや、「ザ・シークレット」(欲しいものについて考え続ければ手に入れられるとする「引き寄せの法則」の知識と実践を意味する言葉)は効かないのだ。

人間の脳は、幻想と現実を見分けるのが得意でないことが、明らかにされている(だから映画はスリリングなのだ)。何かを夢見ると、脳の灰白質はすでに望みのものを手に入れたと勘違いしてしまうので、自分を奮い立たせ、目標を成し遂げるのに必要な資源を集結させなくなってしまう。(中略)

夢見ることがマイナスの影響を及ぼすのなら、なぜ人びとはそれをするのか?お酒に酔うのと同じ効果が、精神的に得られるからだ。(中略)

つまり、夢に描くことは、目標の達成前にご褒美としてもらってしまうので、肝心な目標達成に必要な活力を弱らせる。ただ夢見るばかりでは、その実現が阻止されることになる。

 

引き寄せの法則は、脳を勘違いさせてしまい目標達成を遠くするという本末転倒なものなんですね。引き寄せの法則というのはお酒の酔いみたいなもので、姑息的(一時逃れ)な手段にすぎないのです。

 

エッティンゲンさんは「WOOP」という目標を達成するための法則を科学的に検証し、成果をあげました。ではそれについて紹介していきます。

 

 

◆目標達成のための法則「WOOP」について

WOOPというのは4つの単語の頭文字をとったものです。

・願い(Wish)

・成果(Outcome)

・障害(Obstacle)

・計画(Plan)

 

このWOOPは仕事や人間関係、運動、減量、勉強などあらゆることに適用できるとされています。

 

では実際に使い方を見てみましょう。

 

①願望:願いや夢をイメージする(例:素敵な仕事につきたい)。

重要なことは目標が現実的なもの、挑戦的なものということです。1週間後に3億円を手に入れるといった非現実的・妄想的なものは排除します。

②成果:自分が望む成果を具体的に思い描く(例:Google社で事業部長として働く)。

できるだけ具体的に考えます。自分にとって最良なものであるべきです。

③障害:目標達成への具体的な障害について考える(例:同社の面接を受ける方法がわからない)。

できるだけ具体的に考えます。このとき注意するのは環境や外的な問題を排除して、自分のこと(自分がコントロールできるもの)を中心に考えます。たとえば考え方や行動、癖、習慣、思いこみ、感情など。

④計画:障害を対処する計画を考える(例:Google社で働いていて、人事部に連絡してくれる知人を探す)。

予見できるどんな障害に対しても、「もしXが起きたら、Yをすることで対処しよう」と考えておくだけで、結果は大違いだ』(前掲書籍)。たとえば、食後になったら筋トレするとか筋トレがしんどかったらストレッチするとか。そういう単純なものでもいいんですね。障害が発生したときに即時に実践できるものである必要があります。

 

えっ?そんなこと?と思ったのではないでしょうか。でも、こういうシンプルな考えが目標を達成するうえで大切なんですね。

 

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◆WOOPの科学的なデータ

1.短期的効果:身体活動を増やす

対象は30-50歳の女性256名(ドイツ)。「健康の情報提供のみ」の対照群と「情報提供+自己規制(self-regulation:WOOPを使用)」のWOOP群に無作為にわけて身体活動が増加するかを検証しました(1)。

 

計画としては「朝起きるのが遅かったら朝のニュースは見ない」などが挙げられていました(ちょっといまひとつピンときませんが笑)。さて、結果はいかのようになりました。

 

WOOPの法則 例

資料(1)より作成

 

WOOP群は対照群にくらべて2倍ほど身体活動が増加していました。

 

 

2.長期的効果:果物・野菜の摂取量増加

対象は30〜50才の女性255名(ドイツ)。さきほどと同じで無作為に2群にわけて、果物・野菜の摂取量が増加するかを検証しました(2)。計画としては「外食時はサラダを頼む」などが挙げられています。

 

WOOPの法則 例

資料(2)より引用改編

 

対照群は2年後にはベースライン(介入前のレベル)に戻りましたが、WOOP群は2年後も高い摂取量を維持していました。

 

 

3.研修医の勉強時間が増加

34人の研修医を対象にしたRCTでは、WOOP群は勉強時間が有意に多かったと報告されています(3)。

 

WOOPの法則 例

資料(3)より作成

 

あと論文(3)にWOOPの実際の流れが載っていましたので、参考に記しておきます(右側のWOOPのコツは使い方に前述)。

 

WOOPの法則 例 論文 

資料(3)より引用

 

~WOOPの流れ(WOOP steps)~

願望:敗血症について詳しく知りたい。

成果:敗血症患者を管理するとき、もっとコントロールできるようになる。

障害:Facebookにあまりにも多くの時間を費やしている。

計画:もしFacebookの投稿を見たら、電話をオフにして敗血症の記事を1つを読む。

 

 

 

◆人の行動を変えるためのツールとして

以前、『ヘルスリテラシーの教育が大切?~人は簡単に変わらない~』という記事のなかで、情報提供や教育機会など受動的なものでは人は変わりませんよということを書きました。やはり能動的(主体的)に自身を管理する、変えていくことが重要であるということだと思います。

 

そういう点において、このWOOPは非常に有用なツールといえるかもしれません。リハビリテーション(理学療法)においても、いかに活動量をあげるかや食事内容を変えていくかといったことが問題になるかと思います。

 

WOOPをひとつの手段として活用してみてはいかがでしょうか?

 

【資料】

(1)Physical activity in women: effects of a self-regulation intervention.[PMID:18977113]

(2)Intervention effects of information and self-regulation on eating fruits and vegetables over two years.[PMID:20496981]

(3)Changing Resident Physician Studying Behaviors: A Randomized, Comparative Effectiveness Trial of Goal Setting Versus Use of WOOP.[PMID:28824757]

(4)残酷すぎる成功法則、エリック・バーカー(竹中てる美訳)、飛鳥新社、2017

 

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