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    忙しい人のための要約
    トキソプラズマに感染している人は、注意散漫になりやすい可能性があります。感染していない人と比較すると、交通事故にあうリスクは約2.7倍になるという報告もあります。トキソプラズマの感染に注意し、予防対策を実施したほうがいいでしょう。

     

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    ◆トキソプラズマ(症)とは

    (画像:Wikipediaより引用)

     

    トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)による原虫感染症である。世界中で見られる感染症で、世界人口の3分の1が感染していると推測されているが(1)、有病率には地域で大きな差がある。健康な成人の場合には、感染しても無徴候に留まるか、せいぜい数週間のあいだ軽い風邪のような症状が出る程度である。

    しかし胎児・幼児や臓器移植やエイズの患者など、免疫抑制状態にある場合には重症化して死に至ることもあり、重篤な日和見感染症といえる。重症化した場合には、脳炎や神経系疾患をおこしたり、肺・心臓・肝臓・眼球などに悪影響をおよぼす。予防するためのワクチンはない。

    (Wikipediaより引用)

     

    世界の人口の3分の1が感染しているようです。こんなに多いとは知りませんでした。日本では地域差はあるようですが、10%前後が感染している可能性があるようです。

     

     

    ◆感染すると注意散漫になる?

    2001年には「トキソプラズマ感染で精神運動機能低下の可能性がある」という報告があります(2)。

     

    コンピューターを利用した実験で、被験者はモニターの前に座り、モニター画面のどこかに長方形が見えたらボタンを押すというシンプルなものです。

     

    文献(2)引用改編

     

    結果は、トキソプラズマに感染している人は反応が遅かったことがわかりました。時間が経つにつれて、その傾向(注意散漫)は強くなりました。

     

     

    ◆交通事故のリスクもあがる

    トキソプラズマに感染している人は、注意力が散漫になりやすい可能性が示唆されました。そうなると、感染している人の運転は危険なのではないかと考えられるようになります。

     

    2002年、Flegrはプラハ(アメリカ)の中心部の住民を対象にした調査を始めました(3)。対象者数は592名でした(交通事故を起こした146名と起こしていない一般住民446名)。

     

    文献(3)引用改編

     

    結果、交通事故の群は、一般集団と比較して血清陽性率が高い(トキソプラズマ感染が高い)ことがわかりました。

     

    また、トキソプラズマ感染者は交通事故を起こすリスクが2.65倍高いこともわかりました。

     

     

    ◆チェコでの大規模前向きコホート研究

    Flegrはさらに大規模な調査を実施しました(4)。

     

    チェコの中央軍病院で3890名の交通事故の発生率を調査したのです。結果、トキソプラズマ感染している群では、トキソプラズマに感染していない群(CI95:1.12-5.7)より交通事故リスクが2.53倍高いことがわかりました。

     

     

    ◆トルコ・メキシコでの報告

    ほかにもトルコ(5・6)やメキシコ(7)でもトキソプラズマ感染と交通事故のリスク増加の報告が見られました。

     

    PubMedでトキソプラズマと交通事故の文献を調査したところ、まだ20ほどでした。今後、ますます増加するかもしれませんね。

     

     

    ◆感染しないよう対策しましょう

    ワクチンはないようなので、常日頃から感染しないよう対策を講じる必要がありますね。ざっと調べてみたところ、妊婦さんや赤ん坊が感染すると危険なようなので、とくに注意してもらいたいですね。予防策を載せておきます。

     

    ・調理の前後にはよく手を洗う

    ・園芸や猫の世話をする時にはゴム手袋などを着用する

    ・生食や無滅菌の牛乳を避け、加熱、燻製、塩蔵がしっかりされた食品をとる

    ・24時間以上冷凍した食品を使う

    ・野菜や果物は酢水で洗ってから食べる

    ・猫はできるだけ部屋飼いにし、生肉を与えたり狩りをさせたりしない

    ・肉類は十分に加熱し食べる

    ・妊婦はなるべく生肉を食べない

    (Wikipediaより)

     

    国立感染症研究所のホームページも参考になります。

     

    【資料】

    (1)Toxoplasmosis.[PMID:15194258]

    (2)Decrease of psychomotor performance in subjects with latent ‘asymptomatic’ toxoplasmosis.[PMID:11393824]

    (3)Increased risk of traffic accidents in subjects with latent toxoplasmosis: a retrospective case-control study.[PMID:12095427]

    (4)Increased incidence of traffic accidents in Toxoplasma-infected military drivers and protective effect RhD molecule revealed by a large-scale prospective cohort study.[PMID:19470165]

    (5)Higher prevalence of toxoplasmosis in victims of traffic accidents suggest increased risk of traffic accident in Toxoplasma-infected inhabitants of Istanbul and its suburbs.[PMID:19356869]

    (6)Is Toxoplasma gondii a potential risk for traffic accidents in Turkey?[PMID:16332418]

    (7)Seroepidemiology of Toxoplasma gondii infection in drivers involved in road traffic accidents in the metropolitan area of Guadalajara, Jalisco, Mexico.[PMID:24499659]

    (8)トキソプラズマ症(Wikipedia)

    (9)『心を操る寄生生物』、キャスリン・マコーリフ(西田美緒子訳)、インターシフト、2017

     

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