腰痛のレッドフラッグについて書くまえに、腰痛の基礎的知識(情報)をまとめていこうと思います。
今回は、腰痛の定義と発症率について調べてみました。
腰痛の部位的定義について
腰痛とは、文字の額面通り受けとれば「腰部に存在する疼痛」ということになります。具体的には、触知可能な最下端の肋骨と殿溝(殿部と大腿部の間の水平の溝)のあいだの領域とされています(1)。
腰痛の時間的定義について
多くの文献によれば、腰痛は「急性」・「亜急性」・「慢性」と定義することが多いようです。
おもに発症から4週間未満を急性腰痛、4週間以上3か月未満を亜急性腰痛、3か月以上持続するものを慢性腰痛と定義するのが一般的です。
腰痛の患者数について
腰痛は、日本人が訴える症状として上位の疾患です。アメリカでも医療機関を受診する原因の第5位になっています(2)。
①厚生労働省の報告(国民生活基礎調査)
腰痛は日本人が訴える症状の第1位で(2013)、統計開始から24年で49%増加しているようです。
②Yoshimuraらの報告(3・4)
東京(2地域)、和歌山(2地域)、広島、新潟、三重、秋田、群馬県の9地域に分かれている、12019人の参加者(男性3959人、女性8060人) を調査したものがあります。腰痛は37.7%(男性34.2%、女性39.4%)に認められました。
参考として、変形性腰椎症の有病率は、以下のようになっていました。ちなみに変形性腰椎症=腰痛ではありません。
③日本整形外科学会・日本腰痛学会(5)
腰痛有訴率:40~50%
腰痛の既往歴:70~80%
職業別腰痛有訴率:図参照
④Walkerらの報告(6)
これは腰痛の有病率に関する56研究のシステマティック・レビューです。
時点有病率:12~33%
年間罹患率:22~65%
生涯罹患率:11~84%
まとめ
調査によって差がありますが、非常に発症率が高いことがわかります。日本人(人間)と腰痛症は、きってもきれない関係のようです。
【文献】
(1)The updated cochrane review of bed rest for low back pain and sciatica.[PMID:15738787]
(2)Diagnosis and treatment of low back pain: a joint clinical practice guideline from the American College of Physicians and the American Pain Society.[PMID:17909209]
(3)Epidemiology of Locomotive Organ Disorders and Symptoms: An Estimation Using the Population-Based Cohorts in Japan.[PMID:27375371]
(4)Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis, and osteoporosis in Japanese men and women: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study.[PMID:19568689]
(5)腰痛診療ガイドライン2012
(6)The prevalence of low back pain: a systematic review of the literature from 1966 to 1998.[PMID:10872758]