慢性腰痛をかかえた人たちが遊園地に行くと、遊園地に行っている間は痛みの程度が有意に軽減した。慢性腰痛者にとって、心理的に楽しいと感じることは大切なのかもしれません。
論文概要
2012年に「慢性腰痛患者が遊園地に行くと痛みの程度の変化はあるのか?」を研究した論文がでました(1)。
対象は慢性腰痛がある18~46歳の23名(男性13名、女性10名)。痛みの程度(VAS)と唾液アミラーゼを5つのポイントで測定しました。
ポイントは以下のようになっています。
・遊園地に向かうバスの中(A)
・遊園地に到着してから10分後(B)
・1時間後:ジェットコースターに乗った後(C)
・3時間後:おばけ屋敷を出た後(D)
・遊園地から帰ってくるバスを降りる直前(E)
遊園地にいると腰痛が軽減した
結果は、以下のようになりました。
痛みは遊園地にいる間は統計的に有意に軽減していました。唾液アミラーゼは統計的有意差は認められませんでした。経時的に痛みの程度を群分けすると以下のようになりました。
楽しいことをしよう
痛みは脈拍・体温・呼吸数・血圧につぐ第5のバイタルサインといわれています。セラピストも臨床で痛みを問診することが多いと思います。
しかし、痛みを日常的に評価しても疼痛治療の質は改善しなかったという報告もあります(2)。さらに、痛みを必要以上に訊くことで、患者さんに機能的・心理的に悪影響を与えている可能性もあります。
セラピストのなかには、まじめに真実だけを伝えようとして、ネガティブなことばかり言う人がいるかもしれません。
「治りにくいと思います」
「年齢ですから」
「痛みは続きますよ」
セラピストによっては、同じ職場のセラピストの悪口を患者さんに言ったりしている人もいると聞きました。
患者さんは友だちではありません。親密なことと馴れ馴れしいのは違います。
話がそれましたが、なるべく楽しいことを想起させるようなセラピストでありたいですね。
【資料】
(1)Does going to an amusement park alleviate low back pain? A preliminary study.[PMID:23118550]
(2)Measuring pain as the 5th vital sign does not improve quality of pain management.[PMID:16808744]