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マーク・トウェイン『人間とは何か』からみえる人間の本性

 

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目次

◆人間は自分のために生きている

先日、マーク・トウェインの『人間とは何か』という本を読みました。この本は老人と若者の対話で構成されていて、『嫌われる勇気』のような感じです。

 

この本で貫かれている人間像は、人間というのは機械のようなもので、その基本的な働きは自分の利益のために生き、行動しているということです。

 

揺籃(ゆりかご)から墓場にいたるまで。人間というものはたった一つのことしかないのだ。

それは何よりも大切な目的をもっているただ一つのことだ。――つまり、心の平和、精神の慰安を確保する、ということだけなのだ。自分自身のためにな。

『人間とは何か』P36

 

以前、『性利説~人はみな利益を求めている利己主義者・偽善者~』という記事を書きました。この記事では、人間は利益のために生きていますよということを、思想家、哲学者たちの意見や脳科学的な知見などをもとにして示しました。

 

ですので、マーク・トウェインの意見を非常にすんなり受け入れることができました。この本のなかには、なるほどなぁと膝を打つところがいくつかあったので、紹介したいと思います。

 

 

◆自分に害が及ぶまで他人のことなんて知ったことない

たとえばテレビを見ていたとしましょう。そこに飢餓などで苦しんでいる子どもたちが映しだされたとします。そういうのを見て、即座に銀行に行って募金した人はいますか?

 

おそらくほぼいないでしょう。そりゃそうです。自分たちは飢餓に苦しんでいないのですから。『人間とは何か』では以下のように書かれています。

 

われわれ人間の良心というものは、他人に加えられた苦痛なぞまったく意に介さないのだ、それがわれわれに苦痛を与える点にまで達しない限りはな。

あらゆる場面において、例外なしに、われわれ人間というものは他人の苦痛には完全に無関心なのだ、その人の苦痛がわれわれを不愉快にしない限りはね。

『人間とは何か』P60

 

これね、ほんとうにひしひしと感じます。ほんとに自分さえよければいいんだなぁって。でも、人間っていのはそういうものなんですよね。もう、これはそういうものだと受け入れるしかない。個人的にはそう思います。

 

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◆境界なんて人間が勝手に作ったもの

よく考えてみてください。人間の上肢には、橈骨神経とか尺骨神経と正中神経とかあります。リハビリ職種なら頭にイメージできると思います。

 

しかし、よくよく考えたらそんなものはないんです。ただそこには白い管みたいなものがあるだけで、橈骨神経と尺骨神経は基本的にはおんなじものなんです。ただ通っている場所が異なっているだけで。

 

そもそも神経って、ターヘルアナトミアを翻訳するときに、前野良沢がつくった言葉なんですけど、便宜上つけているだけなんですよね。いちいち、この右側のところにある白い細長い管が……なんて言ってたらめんどくさいですからね。

 

そういう風にして、人は境界線を勝手に作っているんですが、その境界がもともとあるように勘違いしてしまうんですよね。『人間とは何か』では人間と動物の違いについて、以下のように書かれています。

 

若者 よしてください! あなたは知的境界線を取っ払おうとしているんだ、人間と動物とを分け隔てている境界線をね。

老人 いいや、そうではない。誰も取っ払うなんて、できっこないよ。もともと存在しないものなんだからね。

『人間とは何か』P156

 

自分はなにか老荘思想につながるものを感じました。ついつい境界がもともと世界にあるように考えてしまうんですよね。そういうのって人間の驕りともいえるかもしれません。

 

 

◆自由意志なんてない、自由選択だけ

自由意志がないんじゃないかっていうのは、以前の記事『従業員の不適切動画からみる自己責任論についての是非』で触れました。『人間とは何か』でも、自由意志はなく、自由選択があるだけじゃないかと指摘されています。

 

(自由意志とは)拘束されない力のことで、自分の好きなように行動することができるものだ。

もう一方は(自由選択は)、単なる心の成り行きにしかすぎず、それ以上の何ものでもない。つまり、批判的な能力であって、二つの事柄のうちでどちらがより正当に近いかを、決めるものなのだ。

『人間とは何か』P170-171

 

自由意志はないが、自由選択はある。いいかえれば、自分の好きな行動はできないが、どちらがよいかを決めることはできる。

 

これはなるほどなぁと思いました。ついつい自分で自由に生き方を決めているように思いがちですが、実は選択しているだけなんですよね。その選択にはすごく縁起的なものが関わっていて、自己責任という言葉の無責任さを思わずにはいられませんでした。

 

 

◆進化倫理学入門もオススメです

人間とはどういう原理で生きているのか?

 

これを理解するのに、『人間とは何か』は非常に示唆深い本であると思います。

 

人間は自分の利益のために生きて行動している。こういうことをなんとなく意識できるだけでも、いろいろ活かしようがあるように思います。

 

 

もっと詳しく知りたい人は、内藤淳さんの『進化倫理学入門』などがオススメです。

 

 

【資料】

(1)人間とは何か、マーク・トウェイン/大久保博 訳、角川文庫、2017

 

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