近年、日本人の動物性タンパク質摂取量は低下傾向にあり、人体の組成に必要なアミノ酸が不足している可能性があり、注意が必要です。
タンパク質は人体にとって必要不可欠なものです。
とある医療関係者の方が、「日本人にタンパク質不足はほぼない」という発言をされていました。私は日本人のタンパク質は不足している可能性があると考えていますので、それを科学的データを用いて検証していきたいと思います
タンパク質の必要量
そもそもタンパク質の1日の必要量はどれくらいなのでしょうか?
WHOによると以下のようになっていました。

成人のところをみると、最低でも1日に84mg/㎏が必要とされています。
しかし、これは体の組成をマイナスにしないための最低必要量です。つまり、体の異化(分解)が進みすぎないために必要な量です。もちろん、ケガや病気、ストレスなどがある人はもっと必要になってきます。
そういうことを加味すると、1日に1g~1.5g/kgは必要になると思います。状況によってはもっと必要になると思います。
日本人のタンパク質摂取量
日本人はどれくらいタンパク質を摂っているのでしょうか?
厚生労働省のデータから調べてみました。

1995年から2015年までのデータで、20歳以上と75歳以上を男女別で経過をみています。
見てわかるように、日本人のタンパク質摂取量は減少傾向にあります。
ちなみに、これは平均値ですので、データによると20gくらいは個人差があります。たとえば20歳以上の男性の平均値は75gですが、95g摂っている人もいれば、55gの人もいるということになります。
動物性タンパク質と植物性タンパク質
さきほどのグラフは総タンパク質の経時的変化でした。タンパク質には動物性タンパク質と植物性タンパク質があります。これも厚生労働省のデータから見てみます。


20歳・75歳以上の動物性タンパク質・植物性タンパク質を男女別にグラフにしています。
だいたい動物性タンパク質と植物性タンパク質が半々くらいですね。もちろん、個人差はあります。
タンパク質は量だけではダメ
先に結論を述べると、総タンパク量は充足しているかもしれないが、動物性タンパク質が少なすぎて、日本人は「良質なタンパク質」が不足しているといえます。
タンパク質は量も大切ですが、それとおなじくらい質も大切なのです。
ここで必要になってくるのが「制限アミノ酸」という知識です。
制限アミノ酸(limiting amino acid)とは、
食事タンパク質中に、動物にとって必要な必須アミノ酸が一つもしくは二つ以上不足している場合、そのアミノ酸を制限アミノ酸という。
生化学辞典
この制限アミノ酸があると、それ以上のアミノ酸は利用できなくなります。わかりやすくするとこうなります。

これは精白米のアミノ酸スコアです。この場合は、リジンが制限アミノ酸になります。リジンよりも多いアミノ酸は体内で利用ができません。
つまり、良質なタンパク質を摂っておかないと、体内でアミノ酸が利用できなくなるわけです。動物性タンパク質と植物性タンパク質を比較すると、圧倒的に動物性タンパク質のほうが良質なタンパク質です。
これはアミノ酸スコア(プロテインスコア)という国際的に決められたタンパク質の栄養価を評価する方法で明らかです。
つまり、日本人は良質なタンパク質が足りてない可能性があるわけですね。
【資料】
(1)医学常識はウソだらけ、三石巌、祥伝社黄金文庫、2009
(2)超入門生化学・栄養学、穂苅茂ら、照林社、2006