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「依存」と「甘え」について

 

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目次

◆不正している人の番組を見て

最近、生活保護の不正受給をしている人や税金を滞納している人を許さない!みたいな番組を立て続けに見ることがありました。

 

不正受給をしている人や税金を滞納している人たち(以下、不正している人)の悪い点というのを考えてみると、「依存」と「甘え」を勘違いしているのではないかなという思いに至りました。

 

 

◆自立とは依存すること

安冨歩さんは著書『生きる技法』のなかで「自立とは依存することだ」と述べています。これは以前の記事でも触れたことがあります(→「自立という幻想」)

 

なんとも逆説的な意見ですね。自立と依存とは相反する概念のように思えます。安冨さんは「自立=依存しない」というのはほぼ不可能に近い生き方であり、逆に自立とは対極的な従属に近い生き方になると説いています。以下、引用します(一部読みやすいように割愛した)。

 

 

往々にして人は、「自立しなきゃ」と思うと、「もっと人に依存しないようにしなければ」と考えてしまいます。これは、自立とは他者への依存からの脱却であるという誤った信念の反映です。こんな誤った命題を信じると、何が起きるでしょうか。これまで依存していた人に、なるべく依存しないようにと思うと、依存する先を減らすことになります。しかし、そうやってどんどん減らしていったとしても、誰にも全く依存しない状態に至るのは、不可能です。(中略)

依存する先をどんどん減らしていっても、全てを切ることはできないわけです。それゆえ最後に、どうしても切れない依存先が残ります。もしその依存先から「そんなことをすると、お前をもう助けてやらないぞ」と言われると、絶対に言うことを聞かざるを得ません。(中略)

これはつまり、従属している、ということです。依存先をどんどん減らしていって、少数の他者に依存するという状態こそは、他者に従属している状態です。

 

依存することは決して悪いことなどではありません。自立するために必要不可欠な要素なのです。

 

生活保護を受給することは悪いことでも恥じることでもありません。自立した生活を送るために生活保護に依存するのは大切なことです。しかし、この「依存」を勘違いしているのが先述した不正している人たちだと思うのです。

 

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◆不正している人は依存ではなく甘えている

不正している人たちは、市役所などの公的機関の勧告に従わなかったり、なかには逆切れしたり、恨むような言葉を発する人も多くいました。

 

これは「依存」ではなく「甘え」だと思うんですよね。精神科医の土居健郎は著書『「甘え」の構造』のなかで以下のように書いています(改行は引用者による)。

 

 

「すねる」「ひがむ」「ひねくれる」「うらむ」はいずれも甘えられない心理に関係している。

すねるのは素直に甘えられないからそうなのであるが、しかしすねながら甘えているともいえる。「ふてくされる」「やけくそになる」というのはすねの結果起きる現象である。

ひがむのは自分が不当な取扱いを受けていると曲解するすることであるが、それは自分の甘えの当てがはずれたことに起因している。

ひねくれるのは甘えることをしないで却って相手に背を向けることであるが、それはひそかに相手に対し含むところがあるからである。したがって甘えないように見えて、根本的な心の態度はやはり甘えであるといえる。

うらむのは甘えが拒絶されたということで相手に敵意を向けることであるが、この敵意は憎むという場合よりも、もっと纏綿としたところがあり、それだけ甘えの心理に密着しているということができる。

 

長々と引用しましたが、土居が指摘している「すねる」「ひがむ」「ひねくれる」「うらむ」といった態度は、不正している人が見せていたものに近いなぁと思いました。

 

彼らは公的機関に依存しているのではなく、甘えているわけですね。公的機関に甘えようと思ったら手厳しく叱られて恨む、ひねくれた態度をとってしまう。どうして甘えてしまうのでしょう?

 

 

◆依存せよ、しかし甘えるな

依存することはなんら恥ずかしいことではありません。誰しもが多かれ少なかれなにかに依存しているものです。

 

しかし、「依存すること」と「甘えるということ」を勘違いしてしまうのは、非常に恥ずかしい行為であるとわたしは思うのです。甘えというのは精神が未熟であることを表明しているのと同義です。幼稚園児が母親に甘えるのは精神が未熟だからです。

 

しかし、そんなことを書いている私もときどき甘えてしまい、反省することがあります(笑)不正する人を反面教師として気をつけます。自分以外は師ですね。

 

【資料】

(1)生きる技法、安冨歩、青灯社、2011

(2)「甘え」の構造(増補普及版)、土居健郎、弘文堂、2007

 

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