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    忙しい人のための要約
    統計やデータを読みまちがえてしまうと、議論になりません。また、そこからつくられた理論や考察、意見も無意味なものになってしまいます。気をつけて扱いましょう。

     

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    ◆少年犯罪は増えている?

    少年犯罪のグラフ

     

    法務省が発表している『犯罪白書』によれば、平成に入ってから、少年犯罪は増加しています。

     

    2008年5月14日の参議院委員会では、当時の佐藤公治委員が以下のような発言をしています。

     

    僕は本当に今政治家になってつくづく思うことは、毎日のように痛ましい事件が起こる中、何かやっぱりおかしくなっちゃっている。

    教育基本法というのができたとき、もう御存じの方々もいらっしゃると思いますが、当時、戦中においては教育勅語というのがあった。親を大事にするとか、お年寄りを大事にするとか、兄弟、家族仲よくしていくということ、当たり前なことが当たり前に書かれていた。ほかの部分では問題があったかもしれません。

    しかし、そういった当たり前なことをあえて教育基本法に入れる必要はないというので、外して作ったのが教育基本法なんですよね。実際、その外したことが、当たり前のことが今当たり前にできなくなっちゃっている。

    (国会会議録検索システム)

     

    国会議員が発言するほど、日本の道徳は退廃しているようです。悲しいことですね。

     

     

    ◆フレーム・アップという手法

    このように書くと、多くの人が「やはり日本の道徳心は失われるんだ。道徳教育に力をいれよう!」となるかもしれません。

     

    しかし、それ危険です。まず、グラフについて見ていきましょう。

     

    さきほどのグラフはこれです。

     

    少年犯罪のグラフ2

     

    まず、横軸を見てください。

     

    平成4年から平成10年のデータになっています。「あれ?」と思いますよね。

     

    また、縦軸が0から始まってないときも、なにか意図的なものが隠れていることが多いです。

     

    では、それを含めたデータを見てみましょう。

     

    昭和から平成にかけての少年犯罪のグラフ

     

    少年犯罪はあきらかに減少傾向にあります。

     

    さきほどのグラフは意図的に一部を切り取って、もとの事実とは異なる意味づけを強調しているわけですね。

     

    こういう手法を「フレーム・アップ」といいます。

     

    フレームアップ手法の説明

     

     

    ◆データの見かたに気をつけるべし

    データや数字を読み間違えてしまうと、元も子もありません。

     

    そこから高尚な理論や優れた考察、独創的な意見を作りあげても無意味です。はじめから間違っているのですから。

     

    だから、少年犯罪が増えている→道徳教育を強化→教育勅語の復活みたいな論理があったとしても、最初が誤ってますから、議論になりません。

     

    いまの道徳教育体制で、少年犯罪は減っています。

     

    もちろん、教育勅語なんて関係ありません。

     

    少年犯罪の検挙数をみれば、教育勅語を受けていた世代・その子どもたちのほうがあきらかに犯罪に手を染めています。教育勅語復活なんてナンセンスなんです。

     

    データは気をつけてみるべし!ですね。

     

    【資料】

    (1)「昔はよかった」と言うけれど、大倉幸宏、新評論、2013

    (2)国会会議録検索システム

    (3)だまされない〈議論力〉、吉岡友治、講談社現代新書、2006

     

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