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理学療法士はジェネラリストであれ!

忙しい人のための要約
トータルな人を相手にする医療職は、関心領域が限定されるようではよろしくありません。エキスパート(専門性)とスペシャリスト(専門性)をバランスよく統合したジェネラリスト、つまり広い視野をもつ医療職を目指したほうがいいのかもしれません。

 

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目次

◆世の中には専門家があふれている

専門家という言葉を調べてみると、以下のような言葉が並んでいます。

 

・プロフェッショナル

・エキスパート

・スペシャリスト

 

理学療法士はプロフェッショナル?それともエキスパート?はたまたスペシャリスト?こんなことを考えていると、深酒してしまいそうです。もとい、わたしは下戸なのでまったく飲めません。

 

しかし、こういった議論はよくあると思います。そこに、ジェネラリストという言葉が出てきて、さらに議論は紛糾します。

 

〇ジェネラリストとは、

広範な分野の知識・技術・経験をもつ人。

(三省堂大辞林:weblio辞典)

とされています。対義語としてはスペシャリストが挙げられています。

 

プロフェッショナル、エキスパート、スペシャリスト、ジェネラリスト……いったいどれなのでしょうか?(笑)

 

 

◆プロフェッショナル・エキスパート・スペシャリストの違い

ひとまず辞書で定義を調べてみます(引用は同上)。

 

○プロフェッショナルとは、

それを職業として行うさま。(対義語はアマチュア)

 

○エキスパートとは、

ある仕事に精通・熟練した人。

 

○スペシャリストとは、

特定分野について深い知識やすぐれた技術をもった人。(対義語はジェネラリスト)

 

すこしわかりにくいので、もっと簡単に区別してみると以下のようになります。

 

 

つまり、業務を行うことでなにかしらの報酬が発生するのであれば、それはプロフェッショナルです。いわゆる、プロですね。

 

報酬が発生しないのであれば、いかに卓越した技術や深い経験があってもアマチュアです。

 

特定の分野における経験が豊富であればエキスパートです。

 

特定の分野の卓越した知識・技術があればスペシャリストです。

 

専門家を「報酬、経験、知識・技術」という3つの側面から、区分することができました。

 

便宜上、プロフェッショナル・エキスパート・スペシャリストをあわせて「専門家の3要素」としておきます。

 

 

◆専門家の特徴は特定分野にあり

プロフェッショナルは除外して、専門家の3要素のうち、エキスパート・スペシャリストに共通した特徴は、「特定分野に限られる」ということです。

 

まぁ、それはそうですよね。特定分野に詳しいから専門家と呼ばれるわけですから。しかし、理学療法士は専門分野だけにとらわれてはいけないのではないでしょうか?

 

小沢牧子さんは著書の中で以下のように述べています(以下、改行は筆者による)。

 

それらの仕事(注:看護師や教員といった人を相手にする仕事)は、トータルな人間を相手にしている。

そうであるからには、関心領域が限定されていては不十分で、人間生活全体への視野が必要とされる。

『心の専門家」はいらない』

 

理学療法士もおなじだと思います。疾患ではなく人間を、病気ではなく病人を対象にしているわけですから。

 

もちろん疾患や病気も、対象にしています。しかし、それは一部です。患者さんの一部に、疾患や病気があるわけで、それだけをクローズアップしてしまうのは、木を見て森を見ずということになりかねません。

 

木も見て、森も見ることが大切なんですね。そして、小沢さんは以下のように続けます。

 

(看護師や教師が)病人の気持ちに無関心で、注射技術だけに関心があったり、子どもの気分におかまいなく教えることだけに没頭するのでは、仕事として不十分な場面が出てくるのである。

その点では、病人や子どもと長く暮らしている家族のほうが、適切な看護や教え方ができる場合もある。

『心の専門家」はいらない』

 

思い当たるフシがある人も多いのではないかと思います。わたしはフシだらけです(笑)

 

患者自身や家族ならではのやり方のほうが、優れているってよくありますよね(お前の臨床技術がないからだろ!っていうのは横においておきます)。

 

臨床経験5年以上の経験豊富で、大学卒の知識豊富な理学療法士が、変形性股関節症の患者さんに、ありとあらゆる治療(徒手療法、運動療法、自宅での自主訓練、教育など)をおこなっても、プラセボの治療とおなじ効果しかなかったという報告もあります(2)。

 

専門性なんてものは、薄っぺらいものなのかもしれません。

 

 

◆ホンモノの専門家はジェネラリスト

わたしは以前の記事で、専門家にはホンモノとニセモノがいることを指摘しました(→脱専門家のすすめ)。

 

 

ニセモノは一部を全体に解釈してしまうのです。スペシャリストやエキスパートのどちらかに偏っているなんていうのは、ニセモノの専門家といえるかもしれません。

 

もちろん、これが当てはまるのは小沢さんが述べていた「トータルな人間を相手している」職業についてです。なにがトータルで、なにがトータルでないかというのを、厳密に区別するのは難しいですが。

 

しかし、理学療法士や作業療法士、看護師、医師といった医療者は「人間生活全体の視野」が必要になるのはいわずもがなだと思います。

 

ホンモノの専門家には、多面的思考が必要です。多面的思考というのは、多種多様な情報を組み合わせることができる思考のことです。

 

ジェネラリストは「広範な分野の知識・技術・経験をもつ人」でした。つまり、ホンモノの専門家とはジェネラリストのことではないでしょうか?

 

もっといえば、報酬を除くスペシャリストとエキスパートをバランスよく統合できているのが、いいジェネラリストなのかもしれません。

 

バランスよく統合するというのは、経験(アート)だけにも偏らず、知識(サイエンス)だけにも偏らないということですね。

 

 

まあ、「言うは易し行うは難し」です。そんな完璧な人間はいません。

 

あまり狭い視野にならないよう、広い視野をもって、多くの知識を活かせるように意識するくらいで取りくんでいくのが大切なのかもしれません。

 

【資料】

(1)「心の専門家」はいらない、小沢牧子、洋泉社、2002

(2)Effect of physical therapy on pain and function in patients with hip osteoarthritis: a randomized clinical trial.[PMID :24846036]

 

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