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星野源『蘇る変態』や承認欲求から自殺に思うところ

忙しい人のための要約
他人のために生きすぎると、人に頼れなくなります。人に頼れなくなると、自分で抱え込みすぎて生きることが辛くなります。自分中心で生きるのは当然の権利です。辛くなったら逃げたらいいし、誰かに頼ればいいんです。ライオンに追われてひとりで立ち向かう動物はいません。

 

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目次

◆若者の死因第1位は自殺

自殺対策白書 (画像:以下サイトより引用)

 

年間の自殺者数は03年の3万4427人をピークに減少。15年に2万4025人、16年は2万1897人となり、22年ぶりに2万2000人を割った。
人口動態統計を基に15年の死因順位を5歳ごとの年齢層別に見ると、10代前半や40歳以上は「がん」が最多で、2位に「自殺」「心疾患」が並ぶ。一方、15~39歳はいずれも前年と同様に「自殺」が最も多い。中でも20代後半は2位がんの3.8倍、20代前半も2位「不慮の事故」の2.9倍だった。

JIJI.COM:「若い世代の死因、自殺最多=15~39歳「深刻」-政府白書」より

 

 

◆自殺してもいい

若者の死因第1位が自殺なのは日本だけのようです。ほかの先進国は事故が1番のようです。こんなご時世にオリンピックをしようなんて考えるのは、狂気の沙汰だと思いますね。特権階級の人間が考えることは軽薄です。

 

さて、私は自殺はしてもいいと考えています。なぜなら、自殺を否定することは安楽死を否定することと同じだからです。

 

自殺してもいい。でも、自発的(積極的)に決断したのか、それとも追い込まれてするのかでは大きく違うと思うのです。

 

前者は先述した安楽死ですね。では、後者はなにになるのか。それは「仕方なく選んだ死」でしょう。後者であれば決して許してはいけないと思うのです。許してはいけないというのは、看過してはいけない問題ということです。

 

 

◆自殺は複合的産物

 自殺というのはいろいろな要素が絡み合い、起こるものです。NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」代表の清水康之さんによると、自殺に至るまでの背景には平均して4つの危機要因が重なりあっているようです。そして、その要因の連鎖には、一定の規則性(流れ)があるようです。

 

自殺 要因

 

社会的な問題→(コミュニティの問題)→個人の問題というのが、大きな流れです。

 

たとえば、事業不振・職場環境の変化といった社会的な問題からはじまり、人間関係の悪化・失業といったコミュニティの問題、最終的に生活苦・うつ病などの個人の問題に至り、自殺が起こるようです。

 

 

◆頼れず、仕方なく自殺する

誰でもできるロビイング入門』より引用します。

自殺で亡くなった人の実に70%もが、自殺する前に、自分が抱えている問題を何らかの専門機関に相談していたというのである。しかも、そのうちの6割以上が、亡くなる1か月以内に相談していたというのだから驚きだ。(中略)

自殺は「覚悟の死」「選択された死」を思われがちだが、調査を通じて分かってきたのは、自殺で亡くなる人の多くが、実は生きることを望み、最後まで生きる道を模索していたということ。「死にたい」のではなく、「もう生きられない」「死ぬしかない」という状況に追いやられて、止むを得ず自ら命を絶っている人がとても多いということである。

 

自殺する人は、亡くなる間際に誰かに相談しているようです。

 

自殺を考えている人は、精神的に追い込まれていると思うので、なかなか自身を客観視することができないと思います。周囲の人が気づいてあげられるかというのは、とても大切なところですね。

 

 

◆自殺する勇気があるなら

以前、職場で先輩が「自殺する勇気があるならなんでもできると思う」といった趣旨のことを発言しました。それを聞いていた整形外科のドクターが怒ったんですよね。「勇気があるから自殺するんじゃない、バカ言うな」って。

 

結構、「自殺する勇気があるなら」という考えの人は多いかもしれませんね。でも自殺するのは勇気でもなんでもないと思います。それとは真逆で、言わば絶望に近い感情のような気がします。

 

 

◆頼れる人と頼れない人

 

自殺を考えている人に、ちょっと弱音を聞いてもらったり、ちょっと相談に乗ってくれるような頼れる人がいると自殺を少しでも回避できるのでないかなと思ったりします。

 

では、そういった頼れる人はいないのか?となると、そうでもないような気がします。日本には1億3千万という人が住んでるですから、頼れる人が皆無というのは少ないのではないでしょうか。

 

どちらかというと、頼れる人がいないのではなく、頼れない人がいるのではないかと思うわけです。

 

 

◆他人中心の人生

頼れない人というのは、自分中心の人生を歩んでないのかもしれません。おそらく他人中心の人生を歩んでいる。

 

他人中心というのは承認欲求や虚栄心、見栄、他人との競争などが人生の軸になっている人のことです。もっと簡単に言えば、自分のために生きてる人生ではなく、他人のために生きている人生というところでしょう。

 

他人のために生きてる人は、他人に迷惑をかけることに恐怖や不安を感じます。なぜなら、他人のために生きている人にとって、他人から嫌われるということは、自分の存在を失うのと同じですから。

 

ゆえに、頼れる人がいたとしても、迷惑をかけて嫌われることを恐れ、結局は頼れないんですよね。そして、だれにも頼れなくなって、最終的に死を選択してしまうのではないかと思うわけです。

 

 

◆自分中心に生きたらいい

他人のために生きることをやめましょう。自分のために生きればいい。自分のために生きることは、後ろ指を指されるものでもなんでもありません。だれしもが持っているあたりまえの権利です。

 

自分の弱さを虚栄心や見栄で隠すのをやめましょう。弱さをさらけ出すことで、ほかの人は勇気をもらえます。他人と比較するのもやめましょう。そもそも人間は比較できるようなものでもありません。

 

 

◆逃げるのは戦法

昨年、「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマが流行しました。その文言どおり、逃げることは役に立ちます。日本人は逃げることに「恥・後ろめたさ」を感じやすい国民性かもしれません。

 

でも、逃げられるというのもひとつの才能ですよ。アフリカのシマウマは、ライオンがきたら逃げますよ。立ち向かったりしません。性利説的にもイヤなことから逃げるのは、人間の自然な姿なんです(→参照『性利説』)

 

逃げるのは長い人生のひとつの戦法です。

 

疲れたら、苦しくなったら、イヤになったら逃げましょう。元気になったら帰ってきたらいいんです。お金に困ったら生活保護だってあります。学校に行かなくたって勉強はできます。

 

 

◆星野源「死ぬのはご褒美」

星野源さんはくも膜下出血を発症し、命の危機に遭いました。そのときのことを著書『蘇る変態』に書いています。

食べ物も食べられず、水も飲めず、片時も休まずに続く頭の痛み。それは偏頭痛の比じゃない、爆発的な痛み、それがただ続く。(中略)

そして、それまでの31年間ひっきりなしに動かしてきた身体が急に動かせなくなるというストレスからみるみる神経過敏になり、同じく集中治療室にいる他の重篤な患者さんのうめき声、息づかい、機械によって生きている患者さんから出る不思議な音、それが気になってまったく眠れない。

時には、深夜に集中治療室の外で誰かが食べているであろうクッキーの匂いで嘔吐する時もあった。遠くの方で聴こえている看護師たちの話し声に発狂しそうになった。24時間、不眠不休で痛みと神経過敏に耐え続ける。それが三日間続いた。

 

 

星野さんは死ぬことまで意識してしまうようになりますが、それを乗り越えてとある境地に達します。

それまでに抱いていた希望ややる気、もともと強い人間ではないが、何度も苦境を乗り越えることで生まれたなけなしの忍耐力や誇りは、そこで、そのたった三日間で、すべてなくなった。キレイにゼロになった。今すぐにでもベッドの頭上にある窓から飛び降りたい。早く死んでしまいたい。

(中略)体が生きようとしている。

(中略)死ぬことよりも、生きようとすることのほうが圧倒的に苦しいんだ。生きるということ自体が、苦痛と苦悩にまみれたけもの道を、強制的に歩く行為なのだ。だから死は、一生懸命に生きた人に与えられるご褒美なんじゃないか。そのタイミングは他人に決められるべきではない。自分で決めるべきだ。

夢中で観ている映画のラストを、物語の途中でバラされるようなものだ。(中略)俺は、最後の最後まであがいてあがききって、最高の気分でエンドロールを観てやる。

 

 

◆最後に

生きることは楽しいことばかりではありません。いや、辛いことのほうが多いかもしれません。星野さんは大病を患い、そのことに気づきました。

 

人間は弱く、もろい生き物です。そんな人間が肩ひじ張って、他人と勝ち負けを競うのは滑稽でもあります。自分のために生きましょう。他人に頼って生きましょう。イヤなことからは逃げたらいいんです。そして、自分に余裕が出たら他人を助けてあげたらいい。そう思いますね。

 

【資料】

(1)誰でもできるロビイング入門、明智カイト、光文社新書、2015

(2)蘇える変態、星野源、マガジンハウス、2014

 

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