これまでロマンティックレッドについて書いてきました(以下参照)。
そもそもロマンティックレッドというのは、赤色を身につけることで魅力度が上がるという現象のことです。これまで赤色の背景や赤色の服などについて、論文をもとに紹介してきました。今回は赤い口紅の効用について論文を紹介したいと思います。
この報告は2012年のNicolas Guéguenによるものです(1)。
実験の概要を書いておきます。
・フランスのとある4つのバーに女性を送り込む(水曜日と土曜日の夜)。
・送られる女性は実験前に評価されていて、標準的な魅力をもっている(計8人が実験に参加)。
・女性は赤・ピンク・ブラウンのいずれかの口紅をつけている、口紅をつけていないに分けられる。
・測定するのは、①1時間でどれくらいの人に声をかけられるか?②入店からどれくらいで声をかけられるか?。
・最終的に男性36名が声をかけてきた。
さて、結果を示します。
まず「①1時間でどれくらいの人に声をかけられるか?」は以下のようになりました。
資料(1)より作成
赤い口紅の人が最も声をかけられるのが多いということがわかります。統計的に分析してみると、以下のようになりました。
・赤色との有意差:ピンク(p=0.06)、ブラウン(p=0.005)、口紅なし(p<0.001)
・ピンクとの有意差:ブラウン(p=0.3)、口紅なし(p=0.04)
・ブラウンと口紅なし(p=0.31)
やはり、ほかの色や口紅なしと比較すると赤色の口紅をつけていると声をかけてくる人が多いんですね。赤色のほうが多いですが、ピンクでもよさげですね。
つぎに「②入店からどれくらいで声をかけられるか?」は以下のようになりました。
資料(1)より作成
こちらも赤い口紅の人が最も早く声をかけられるということがわかります。統計的に分析ししてみると、以下のようになりました。
・赤色との有意差:ピンク(p=0.23)、ブラウン(p=0.09)、口紅なし(p<0.02)
・ピンクとの有意差:ブラウン(p=0.61)、口紅なし(p=0.21)
・ブラウンと口紅なし(p=0.46)
つまりは、赤色の口紅をつけていれば、口紅なしより声をかけられるのが早いということですね。
赤い口紅のロマンティックレッド効果についてみてきました。
まぁ国も異なりますし(フランスで実施)、対象人数も少ないので参考程度にするのがよいと思います。しかし、赤色の効果というのが生来の生理的なものであるなら、国が変わってもある程度の効果があるんじゃないかと思われます。
さて、赤い背景・赤い服・赤い口紅のロマンティックレッドについて書いてきました。次回は赤いモノを持っていてもロマンティックレッド効果があるのか紹介できればと思います。
【資料】
(1)Guéguen N.Does Red Lipstick Really Attract Men? An Evaluation in a Bar.International Journal of Psychological Studies,4(2),206-209.2012