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    忙しい人のための要約
    体罰は強者が弱者に行う非常に卑怯な行為です。体罰はたんなる暴行であり、虐待です。体罰をなくすためにも、きちんと罰則を明確化する必要があります。

     

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    ◆体罰の定義について

    そもそも体罰とはなんでしょうか?

     

    肉体に直接苦痛を与える罰。教育現場では,教育指導の効果を上げることを目的に教師が児童生徒の体に加える罰をいう。

    (ブリタニカ国際大百科事典)

     

    肉体に害を加えると、体罰になるようです。

    もちろん、体罰は学校教育法で禁止されています。文部科学省の通知にも明記されています(1)。

     

    体罰は、学校教育法第11条において禁止されており、校長及び教員(以下「教員等」という。)は、児童生徒への指導に当たり、いかなる場合も体罰を行ってはならない。

    体罰は、違法行為であるのみならず、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、教員等及び学校への信頼を失墜させる行為である。

     

    つまり、体罰を実施するべきだといって教師にそれを促すのは、教唆(他人をそそのかして犯罪実行の決意を生じさせること)になりますから、責任をもって発言しましょう。

     

     

    ◆学校(教師)の体罰はなぜダメなのか

    ボクシングという格闘競技がありますよね。

    あれも相手を殴る、つまり肉体に害を加える行為ですよね。なのに、どうして禁止されないんでしょうか?

     

     

    あれは、相手も反撃できる機会があるわけです。つまり、一方的な攻撃ではないわけです。

     

    それに比べて、体罰はどうでしょうか?

     

    教師というのは学生から見ると圧倒的な強者です。学生は体格や知能において弱者です。

    強者が弱者にたいして肉体に害を与えるのは卑怯でしょう。学生は反撃できないのですから。

    弱者という立場につけこんで、暴力を振るうなど教育者どころか、人間的に不道徳で、下劣です。

     

     

    ◆体罰=虐待

    教育のためとか言って、体罰を正当化する人もいます。

     

    では、高齢者が言うこと聞かなかったら、殴るんですね。教育のためなら、殴ってもいいんですよね。でも、高齢者を殴ると虐待だといわれます。

     

    高齢者の場合は虐待で、子どもの場合は教育のためっていうのは、ご都合主義です。

    高齢者だろうが、子どもだろうが肉体に危害を加えたら暴行であり、弱者であれば虐待ですよ。

     

     

    ◆学校の懲戒は甘い

    体罰はできませんが、なんらかの懲戒(ペナルティ)がないと学校が無法地帯になってしまいます。子どもは無意識だろうなんだろうが悪いことをしてしまうものです。

     

    学校の懲戒制度はどのようになっているのでしょうか?学校教育法11条にはこうあります。

     

    校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

     

    懲戒内容については、学校教育法施行規則を見ると、主に訓告・停学・退学がありました。

     

    訓告というのは、口頭で注意することです。しかし、ここに問題があります。小学校、中学校、高校で実施できる懲戒が変わるんです。

     

     

    小学校、中学校ではできる懲戒は訓告だけです。つまり、口頭で注意だけです。

     

    おかしいことに気づきましたか?

     

    口頭での注意なんて、法律で制定されなくてもやるべきことですよね。それが教師の仕事でもあるからです。

     

    かつ、学校での懲戒が訓告しかないのはいかがなものでしょうか。いじめを起こしても「やめなさいよ」しか言えないんです。そりゃ、教師も困りますよ。

     

     

    ◆出席停止処分

    実は懲戒とはべつに、出席停止処分というのがあります。文部科学省のHPにはこうあります(2)。

     

    公立小学校及び中学校において,学校が最大限の努力をもって指導を行ったにもかかわらず,性行不良であって他の児童生徒の教育の妨げがあると認められる児童生徒があるときは,市町村教育委員会が,その保護者に対して,児童生徒の出席停止を命ずることができます。(学校教育法第26条,第40条)。

     

    でも、これが曲者なんです。

    これは以下のように続きます。

     

    この出席停止制度は,本人の懲戒という観点からではなく,学校の秩序を維持し,他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障するという観点から設けられています。

     

    わざわざ懲戒ではないよと書いてます。

    法律違反にならないための、苦肉の策ですね。でも、悪いことをするような学生にたいして、出席したらダメよというのは当然じゃないでしょうか。

     

    悪いことをしたら、相応の罰を受ける。大人も子どもも関係ありません。

    それが社会のルールなんですから、逆に子どもの時にそれを身をもって体験するのは重要だと思います。

     

     

    ◆世界の校則

    学校教育における法の不備を見てきました。悪いことをする子どもがいても、教師ができる懲戒は訓告(口頭注意)だけです。

     

    これじゃあ、子どもは調子にのりますよ。そこで、イライラして体罰をやってしまう教師もいるんじゃないですかね。

     

    世界の学校はもっと明確に罰(校則)を定めてますよ。『こんなに厳しい!世界の校則』より紹介します。

     

    ・懲戒処分になる前に、まず学校内で5日間、社会奉仕活動をしなければならない(韓国)

    ・授業中廊下にいる生徒は許可証をもっていなければならない(アメリカ):ミシガン州のヒューロン中学では規則を破ると親に報告され、それが2回重なると停学処分になる。

     

    韓国ではいきなり停学処分にするのではなく、社会奉仕活動というクッションを挟んでます。アメリカは回数や懲戒内容もきちんとしていますね。1回は許すけど、2回目は許さないよという断固たる意志が垣間見えます。

     

    しかし、もっと厳しいのもあります。

     

    ・盗撮や罵言・差別用語を用いることは、微罪ではなく、刑法201条に抵触する(ドイツ)

     

    校則なんて狭いものではなく、国の法律違反になるよと明記しているのです。

     

    つまり、違反したら逮捕、裁判になるからねということを暗に伝えているわけです。日本とはえらい違いですね。

     

     

    ◆学校は治外法権?

    なぜか、社会だと厳しく罰せられるのに、学校だと許されてしまうようなことがあります。学校が治外法権の聖域みたいになってるわけです。

     

    これもおかしな話で、学校内だろうが、学校外だろうが悪いことをしたら罰せられなければなりません。そういうことを、きちんと教えるほうが学生のためになると思います。

     

    たとえば、大声をだしたり、ほかの学生に授業を聞くなと言ったりするのは業務妨害罪です。机やガラスを破壊したら器物損壊罪です。

     

    いじめも法律で罰することができます。金を巻き上げようとしたら恐喝罪、ウソで相手の名誉を傷つけたら侮辱罪、暴力を振るったら暴行罪、それでケガしたら傷害罪です。

     

    我が国もドイツをみならい、社会で罰せられるようなことをしたら、学生だろうときちんと罰する必要があると思います。それが教育だと思います。

     

    【文献】

    (1)体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)

    (2)出席停止制度の適切な運用について

    (3)怒る!日本文化論、パオロ・マッツァリーノ、技術評論社、2012

    (4)こんなに厳しい!世界の校則、二宮皓、メディアファクトリー新書、2011

    (5)人生の教科書[よのなかのルール]、藤原和博・宮台真司、ちくま文庫、2005

     

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