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    忙しい人のための要約
    頭痛には、比較的安全な一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛など)と命に関わる危険な二次性頭痛(クモ膜下出血・脳腫瘍など)があります。今回が頭痛の鑑別(レッドフラッグ)や疫学などについて概要を述べます。

     

     

    ◆レッドフラッグとは

    今回は頭痛のレッドフラッグについてです(参照:レッドフラッグとは?)。

     

    ◆頭痛のレッドフラッグ

     

    たとえば、突然発症した場合はくも膜下出血の可能性がありますし、寝ていて頭痛で目が覚めるような場合は脳腫瘍の可能性があります。

     

     

    ◆頭痛の分類(原因)

    頭痛には、一次性と二次性のものがあります。

     

     

    一次性頭痛とは、脳に原因となる他の病気がない(器質的疾患のない)もので、命に直接関わらない比較的安全な頭痛す。

     

    二次性頭痛とは、他の疾患が引き起こす(脳に器質的疾患のある)もので、命に関わるものもある危険な頭痛です。

     

    頭痛の多くは一次性頭痛であり、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。二次性頭痛には、くも膜下出血や脳腫瘍などがあります。

     

     

    ◆片頭痛の有病率

    片頭痛の有病率について、いくつか論文を見てみます(参照:慢性頭痛の診療ガイドライン)。

     

    ①Sakaiらの報告(1)

    年間有病率:8.4%(前兆のある2.6%、前兆のない5.8%)

     

    ②Takeshimaらの報告(2)

    鳥取県大山町住民:6.0%(前兆のある0.9%、前兆のない5.2%)

     

    ③Andoらの報告(3)

    中学生対象、年間有病率:4.8%(そのうち前兆のある29.1%)

     

    調査によって差があるが、日本人の5~10%が片頭痛を抱えていると推察されます。

     

     

    ◆緊張型頭痛の有病率

    ①Stovnerらの報告(4)

    世界人口での有病率は38%(成人に限ると42%)。

    1年有病率は21.7~86.5%、生涯有病率は12.9~78%と大きく差がありました。

     

    ②Sakaiらの報告(1)

    1年有病率:21.7%

     

    データによって大きく乖離がありますが、日本人の20~40%は緊張型頭痛のようです。

     

    臨床の現場では、ほとんどが片頭痛と緊張型頭痛のようです。

     

    しかし、危険な頭痛である二次性頭痛はだれしもに起こりますし、早急な対応が必要になることも多いので、一次性と二次性をきちんと見きわめられるほうがいいですね(見きわめというよりは、受診勧告や医師への連絡などをするためかな)。

     

     

    ◆頭痛患者に最初に訊く2つの質問

    多くの患者がいるなかで、ひとりひとりに多くの時間をかけることは、なかなかできません。そういうときに頭痛を訴える患者に最初に訊く質問が2つあります。

     

     

    ・これまでに同じような頭痛はあったか?

    ・痛みの性質は同じか?

     

    この2つです。この2つの質問の答えが両方とも「YES」であれば、ひとまず慢性頭痛として考えてもいいと思います。

     

    同じような痛みがあったということは、反復性の頭痛、つまり慢性頭痛の可能性が高いと判断できます。

     

    しかし、頭痛持ちであっても、今回の頭痛が安心なものとは限りません。だから、痛みの性質をあわせて訊くことが必要になってきます。いつもと同じような痛みである場合は、それほど心配する必要はないと思います。けれど、いつもより痛みが急激に起こったとか、なにかしら異変がある場合には注意する必要があります。

     

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    ◆片頭痛と緊張型頭痛の見きわめ

    危険な二次性頭痛でないとわかったら、つぎは片頭痛と緊張型頭痛(とその他)を鑑別していきます。

     

    ①スコアを用いる

    片頭痛にはPOUNDスコアというものがあります。5つの項目のうち、4つを満たすと片頭痛である可能性が高いといえます。

     

     

    緊張型頭痛の場合は、吐き気や嘔吐がなく、4つの項目から2つ以上を満たす場合は緊張型頭痛の可能性が高くなります。

     

     

     

    ②問診票を用いる

     

    上記の問診をして、スコアリングによって片頭痛と緊張型頭痛を見きわめることもできます。確実ではありませんから、大まかな目安として使用するのがいいかもしれません。

     

    ③片頭痛:鑑別のための因子

    嘔気があると片頭痛の可能性が高そうです。あとは、羞明(過剰にまぶしく感じる)、聴覚過敏、身体活動で増悪、片側性、拍動性といった因子も参考になりそうです。持続時間はあまり関係なさそうです。

     

    文献(5)より引用改編作成

     

    ④片頭痛:鑑別のための誘因

    片頭痛の誘因も報告があります。チョコレートは片頭痛の誘因の可能性があるようです(チアミンという物質が関与しているよう)。ほかにはチーズ、ほかの食品(個人差?)が関係がありそうです。

     

    文献(5)より引用改編作成

     

     

    ◆高齢者で初発の片頭痛?

    初診時に主症状として頭痛を訴えた193人の患者(65歳以上)の診断を分析した報告があります(6)。

     

    これによると、65歳以上で片頭痛患者は0.5%しかいませんでした。つまり、高齢者(65歳以上)で片頭痛を診たてる際は、なるべく詳しい検査を実施したほうが安全かもしれません。

     

    文献(6)より作成

     

     

    ◆一次性頭痛の見きわめ(チャート)

     

    【文献】

    (1)Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey.[PMID:9051330]

    (2)Population-based door-to-door survey of migraine in Japan: the Daisen study. [PMID:14979878]

    (3)Prevalence and features of migraine in Japanese junior high school students aged 12-15 yr. [PMID:17321091]

    (4)The global burden of headache: a documentation of headache prevalence and disability worldwide. [PMID:17381554]

    (5)The diagnostic value of historical features in primary headache syndromes: a comprehensive review.[PMID:11025782]

    (6)Experience in the diagnosis of headaches that start in elderly people.[PMID:7931391]

    (7)「総合診療医が教えるよくある気になるその症状」、岸田直樹、じほう、2015.

    (8)「帰してはいけない患者」、前野哲博・松村真司、医学書院、2013.

     

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