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    忙しい人のための要約
    世界の80%の人が鉄欠乏症であるといわれており、鉄欠乏は世界最多の栄養障害です。多くの報告から日本人女性の30~70%が鉄欠乏の疑いがあると考えられます。世界各国は鉄対策を実施しているが、日本は無対策であり、早急な対応が必要と思われます。

     

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    ◆世界の貧血(鉄欠乏)の状況

    WHOによると、鉄欠乏症は世界で最も多い栄養障害だとしています(1)。

     

    また世界の80%の人が鉄欠乏症で、30%(約20億人)は鉄欠乏性貧血の可能性があるともいわれています(2・3)。

     

    資料(2)より引用改編

     

     

    ◆日本の貧血(鉄欠乏)の状況

    日本では、どのくらい貧血(鉄欠乏)があるのでしょうか?いろいろな研究がありましたので、ざっと見てみます。

     

    ①Hayashiらの報告

    資料(4)より作成

     

    この報告は20歳以上の女性の平均ヘモグロビン値を年代ごとに解析したものです(50,967名)。

     

    ヘモグロビン12g/㎗以下を貧血とした場合の人数を表したのが上のグラフになります。徐々に増加しているのがわかりますね。

     

    30代と40代は統計的にも有意に貧血が増加していて、5年ごとに30代は14%、40代は20%増加していました。

     

     

    ②Kusumiらの報告

    首都圏の女性を調査(13,147名)。ヘモグロビン値が12.0g/㎗未満を貧血としています。

     

    50歳未満の22.3%は貧血で、そのうち25.2%(全体の5.6%)は重度の貧血だったようです。また、妊婦の30~40%が貧血でした。

     

     

    ③日本鉄バイオサイエンス学会の報告

    資料(6)より引用作成

     

    日本は若年女性のみでは、先進国のなかで比較すると貧血(鉄欠乏)が多いのがわかりますね。女性の半数が鉄欠乏の可能性があるようです。

     

     

    ◆筆者も独自に調査

    貧血の原因に鉄欠乏があります。鉄欠乏を調べるにはフェリチンが有用(効率的)であるという報告もあります(7、8)。

     

    そこで私も厚生労働省のデータを使用して、日本人女性のフェリチンの程度を調査してみました。

     

    ①日本人女性のフェリチン値

     

     

    貧血を判断するカットオフ値に関してはいろいろと報告がありますが、メタアナリシスの報告をもとに30ng/mlとすると(9)、20~40代は約70%の女性が鉄欠乏の可能性があることが考えられます。

     

     

    ②日本人女性の鉄摂取量

    女性の鉄摂取はどうなっているのか?それについても調べてみました。下のグラフが1995年から2015年までの鉄摂取量です。

     

     

    月経のある女性の推奨量は10.5gですが、グラフを見るかぎり、全年代で鉄摂取量が不足しているようです。

     

    報告から推察するに、低く見積もっても日本人女性の30~70%は鉄欠乏の可能性があるようです。

     

    そして、これは先進国と比較するとやや多い傾向にあるようです。

     

     

    ◆外国は鉄欠乏対策を実施している

    実は、外国では国が主導して鉄欠乏対策を実施しています。それは食品のなかに鉄をいれているのです。

    日本は調べたところなんの対策もしていないようです。

     

     

     

    ◆自宅でフェリチンを測定しよう!

    鉄というのは非常に重要な栄養素なのですが、それが多くの日本人で女性不足しているというのは、非常に問題であると思います。

     

    フェリチン値を測定するなどして、鉄欠乏になっていないか確認したほうがいいと思いますね。

     

    世界的にもおくれを取っているようなので、早急な対応が必要なのではないかと思います。

     

    ちなみに医療機関でもフェリチンは計測できるのですが、しにくいところもあるようです。

     

    自宅で測定できるキットもあるので、医療機関で測定できないような人はどうでしょうか。

     

     

    【資料】

    (1)CDC Recommendations to prevent and control iron deficiency in the United States. Centers for Disease Control and Prevention.[PMID:9563847]

    (2)Defining iron-deficiency anemia in public health terms: a time for reflection.[PMID:11160589]

    (3)Micronutrient deficiencies.Iron deficiency anaemia.

    (4)Trends in the prevalence of anaemia in Japanese adult women, 1989-2003.[PMID:17601361]

    (5)Prevalence of anemia among healthy women in 2 metropolitan areas of Japan.[PMID:17050194]

    (6)日本鉄バイオサイエンス学会.『鉄欠乏・鉄欠乏性貧血の予防と治療のための指針』,響文社,2004

    (7)Serum ferritin thresholds for the diagnosis of iron deficiency in pregnancy: a systematic review.[PMID:28425182

    (8)Iron Deficiency Anemia.[PMID:28189173

    (9)[Meta-analysis of studies on cut-off value of serum ferritin for identifying iron deficiency].[PMID:23654098

     

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