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    忙しい人のための要約
    糖尿病患者にカロリー制限をおこなったところ、対照群と比較して明らかに減量(ダイエット)や糖尿病の寛解が認められました。カロリー制限は減量や糖尿病治療に有用かもしれません。

     

     

    ◆糖尿病患者の46%を寛解した食事法

    糖尿病患者(本記事での糖尿病は2型のことを指す)の46%が寛解(症状が落ち着いて安定した状態)した食事法はなんだと思いますか?

     

    結論をいってしまえば、「カロリー制限食」です。

     

    カロリーを制限したことで患者の体重が減少し、糖尿病が寛解にいたったというシンプルな流れです。さて、そのことを報告した「DiRECT」を紹介していこうと思います。

     

     

    ◆食事のエビデンス~DiRECTについて~

    DiRECTは2017年に『Lancet』に報告されたもので、プライマリケアの場で、集中的な体重管理が糖尿病の寛解をもたらすかを調査したものです(1)。

     

    ちなみにDiRECTは、「Dietary Intervention Randomaized Controlled Trial」(食事療法介入無作為ランダム化試験)の略です。

     

    (1)対象者

    ※数字は対照群/介入群の順

    ・2型糖尿病患者306名(20~65歳、罹患期間6年以下、BMI27~45)

    ・平均年齢55.9/52.9歳、男性62/56%、BMI34.2/35.1、糖尿病罹患期間3.0/3.0年、HbA1c7.5/7.7%

     

    (2)除外基準

    現在のインスリン使用、HbA1c12%以上、6ヵ月以内の5kg以上の減量、推算糸球体濾過量<30mL/分/1.732m²、重症または不安定な心不全、他の臨床試験への参加、薬物乱用、がん、6ヵ月以内の心筋梗塞、学習障害、現在の抗肥満薬の使用、摂食障害、妊娠または妊娠予定者、うつによる入院または抗精神病薬の使用

     

    (3)研究の方法

    306名をランダムに対照群と介入群にわけます。群別の治療は以下のように実施しました。

     

    ・対照群:ガイドラインに沿った介入をおこなう。

    ・介入群:3ヵ月間は825~853kcal/日(炭水化物59%・脂肪13%・タンパク質26%・食物繊維2%)の食事ですごす。その後は2~8週間の段階的な導入による食事療法をおこない(炭水化物50%・全脂肪35%・タンパク質15%)、減量の維持をはかる。

     

    ちなみに厚生労働省の食事摂取基準によると、活動量や性別によって差はありますが、だいたい成人で2000~3000kcal/日の摂取が必要とされています(推定エネルギー必要量)。

     

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    (4)研究の結果

    脱落や同意撤回をのぞく各群149名を解析しました。

     

    1.平均体重の減少とQOL

    平均体重は対照群では1kg減少、介入群で10kg減少しました(補正差-8.8kg:95%CI:-10.3~-7.3、p<0.0001)。

     

    QOL(EuroQol 5 Dimensions visual analogueスケール)は、対照群で2.9ポイント悪化、介入群で7.2ポイント改善しました(補正差6.4ポイント:95%CI:2.5~10.3、p=0.0012)。

     

    つまり、カロリー制限をした人のほうが体重が減って、QOLも改善したということです。

     

     

    2.1年後の体重の減少と寛解割合

    資料(1)より引用改編

     

    1年後の時点で、15kg以上の減量を達成したのは対照群0名、介入群36名(24%)でした(p<0.0001)。

     

    また、糖尿病の寛解を達成したのは対照群6名(4%)、介入群68名(46%)でした(オッズ比19.7:95%CI:7.8~49.8、p<0.0001)。

     

    つまり、カロリー制限をした糖尿患者のほうが体重が減少し、糖尿病が寛解した人も多かったということです。

     

     

    3.体重の減少別の寛解割合

    資料(1)より引用改編

     

    寛解の達成は、減量の程度によって異なっており、体重が増量した76名ではひとりもいませんでした。減量別の寛解達成度は、以下のようになっています。

    ・0~5kgの減量を維持した89名のうち6名(7%)

    ・5~10kgの減量を維持した56名のうち19名(34%)

    ・10~15kgの減量を維持した28名のうち16名(57%)

    ・15kg以上の減量を維持した36名のうち31名(86%)

     

    つまり、体重が減少した人ほど糖尿病の寛解が認められたということです。

     

     

    4.有害事象

    重篤な有害事象は介入群で7件、対照群で2件が認められました。2つの有害事象(胆石疝痛と腹痛)は、介入に関連しているものと考えられました。研究を中止するような、重篤な有害事象は認められませんでした。

     

    カロリーを制限しているので、疲れやすいとかふらつきなどの体調不良が出るのかなぁと思いましたが、そういうこともないみたいです。

     

    短期間的には、カロリー制限のリスクはそれほど高くなさそうですが、少ないとはいえ関連が疑われる有害事象が報告されているので、実践するのであれば注意が必要だと思います。

     

     

    ◆まとめ

    減量にはカロリー制限(本研究の場合は825~853kcal/日)が有効のようです。そして糖尿病の治療には減量が重要のようです。

     

    お薬でコントロールすることも大切でしょうが、まずは体重管理を目指したいですね。血糖のコントロールには、体重の管理がポイントかもしれないとないということは『耐糖能(血糖値)改善のための運動(効果やメカニズム)』でも触れました。

     

    しかしながら、この研究はBMIの平均が35という極度の肥満患者を対象にしています。そのため、減量や寛解にいたりやすかったとも考えられます。とはいえ、明らかな差がでているので、カロリー制限の効果はあるのではないかと思われます。

     

     

    【資料】

    (1)Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised trial.[PMID:29221645]

     

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