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    忙しい人のための要約
    腎機能が正常な人がタンパク質を摂取しても、腎機能に悪影響があるという報告はありません。もともと腎機能が低下していても、重度でなければタンパク質摂取はそれほど悪影響はないことが示唆されています。

     

     
    腎機能障害があると、低たんぱく質な食事療法が推奨されています。つまり、高たんぱくは腎機能に影響があると考えられています。

    CKD(注:慢性腎臓病)患者の食事性タンパク質の推奨摂取量は次第に変化している。かつては、血清アルブミン値を増加し、タンパク質栄養不足を予防するために、高タンパク質(1.5kg/kg/日)の食事が与えられていた。

    しかし、タンパク質摂取を0.8g/kg/日に減らすことにより血清アルブミン値に有害な作用を及ぼすことなくタンパク質尿症を減少できることが研究により示された。食事性タンパク質は糸球体圧を上昇させる因子として君臨しており、腎機能喪失を促進させる。

    (栄養学と食事療法大辞典)

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    ◆健常者に対する研究

    高タンパク質の食事は、健常者の場合どのような影響があるのでしょうか?

    タンパク質の摂取量とその後11年間の腎機能の変化との関連を調査した研究があります(1)。

     

    腎機能が少し低下していた人では、タンパク質を多く摂取した人のほうで、その後さらに腎機能が低下する傾向が認められました。

    たいして、腎機能が正常だった人のその後の腎機能の低下には、タンパク質の摂取量は関連が認められませんでした。

     糖質制限食を推奨されている江部康二医師の著書より引用します(赤字は引用者による)。

    高タンパク食がリスクとなるとされているのは腎不全の場合であり、腎機能が正常な人においては高タンパク食により腎臓が悪くなるというエビデンス(注:根拠)はありません。

    (糖質制限パーフェクトガイド)

    また、「日本人の食事摂取基準2010年版」には、

    タンパク質の耐用上限量は、タンパク質の過剰摂取により生じる健康被害を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、タンパク質の耐用上限量を策定し得る明確な根拠となる報告は充分には見当たらない

     

    2009年には、タンパク制限食は糖尿病腎症の予防に無効との報告もあります(2)。つまり、タンパクを制限しても腎機能低下に対する効果が少ないということです。

     

    ◆腎機能に問題がなければ高タンパクは安全

    まとめますと、腎機能に問題のない人が高タンパク食をとっても、有害ではなさそうです。さらに、タンパク制限をしても腎機能低下に対する効果は少ないこともあり、高度の腎機能低下がない限り、タンパク質を制限する必要はないのかもしれません。

    腎機能に問題があり、高タンパク食を実施したい人は、医療機関で定期的に経過を見ながら実践するのが安全そうです。

     

    【参考文献】

    (1)The impact of protein intake on renal function decline in women with normal renal function or mild renal insufficiency. [PMID:12639078]

    (2)Long-term effect of modification of dietary protein intake on the progression of diabetic nephropathy: a randomised controlled trial.[PMID:19652945]

    (3)佐々木敏の栄養データはこう読む!、佐々木敏、女子栄養大学出版部、2015

    (4)糖質制限食パーフェクトガイド、江部康二、東洋経済新報社、2013

     

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