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    忙しい人のための要約
    血液検査(TP:総タンパク、Alb:アルブミン、γ(ガンマ)-GTP、BUN:尿素窒素)でタンパク質が不足していないかを確認しましょう。

     

     

    ◆はじめに

    タンパク質は、体内に必須の栄養素です。

     

    骨も、筋肉も、ホルモンもタンパク質からつくられています。タンパク質が不足するということは、体をつくる材料がないとということですので、これは大変なことになります。

     

    材料がないのに家を建てることはできませんよね。

     

    重要なのは、その材料が体内で足りているのか、不足しているのか確認する方法はないのか?ということですよね。

     

    今回は、血液検査でタンパク質が足りているのかどうかを、確認する方法をご紹介したいと思います。

     

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    ◆理想値の一覧

    項目基準値理想値
    総タンパク(TP)6.5~8.07.0以上
    アルブミン(Alb)3.7~4.94.5以上
    γ-GTP男性50以下
    女性30以下
    20以上
    尿素窒素(BUN)8~2020前後

    ※基準値は施設によって変動があります。また、理想値は分子整合栄養医学を軸にしたものですので、目安程度にお考えください。

     

     

    ◆総タンパク(TP)

     

    1.理想値

    7.0-9.0g/㎗

    少なくとも7.0以上が望ましいです。

     

     

    2.総タンパク6台は少ない

    人体には多くのタンパク質が存在しており、血清中にふくまれる100種類以上あるタンパク成分の総量が、総タンパク(TP)になります。

     

    一般的に総タンパクの基準値は、6.5~8.0くらいに設定されていますが、分子整合栄養医学では、6台だと少ないと判断します。

     

    しっかりとタンパク質をとることで、総タンパクの数値はあがります。しかし、高すぎるのもよろしくありません。

     

    そもそも総タンパクの濃度を左右するのは、おもにアルブミンとγ-グロブリンになります。

     

    総タンパクが上がるのは、脱水症をのぞくとγ-グロブリンの上昇によるものがほとんどです。

     

    γ-グロブリンのなかには、免疫グロブリンという抗体がふくまれています。骨髄腫やウイルス性肝炎、結核、膠原病などでは抗体が特徴的に増えますので、それにともない総タンパクも増えます。

     

    ゆえに、総タンパクが高値すぎるのも、なにかしらの病気の可能性があるので、注意が必要になります。

     

     

    ◆アルブミン(Alb)

     

    1.理想値

    4.5g/㎗以上が理想。

     

     

    2.アルブミンは炎症の指標

    アルブミンは、総タンパクの約65%をしめるタンパク質です。

     

    国際的には、アルブミンは栄養状態の指標ではなく、炎症状態の指標です。

     

    このことについては、『アルブミンが低い原因について~低栄養?炎症?~』について書いていますので、気になる方はお読みください。

     

    アルブミンは炎症によって、相対的に低下します。ゆえに、アルブミンをみる場合は、CRPといった炎症のデータもあわせて見る必要があります。

     

     

    ◆γ-GTP

     

    1.理想値

    男性:20(~50)IU/L

    女性:20(~30)IU/L

     

    ひとケタ~10台はタンパク質不足の可能性があります。高すぎても腎機能の低下の疑いがありますので、20台くらいを目指すのがよいと思います。

     

     

    2.γーグルタミル回路について

    総タンパク・アルブミンが低い場合は、γ-GTP尿素窒素をたしかめます。

     

    一般的にγ-GTPは、肝機能をみる指標にもちいられています。

     

    γ-GTPというのは、「γ-glutamyl transpeptidase」もしくは「γ-glutamyl transferase」の略称で、解毒や代謝にかかわる酵素のことです。

     

    γ-GTPは、肝細胞膜の胆汁分泌側および肝細胞内にあって、肝臓や胆管の細胞がこわれると、γ-GTPが血液中に出てくることから「逸脱酵素」などとも呼ばれています。

     

    さて、なぜこのγ-GTPが、タンパク質の目安になるのかを、説明していこうと思います。

     

    γ-GTPは、γ-グルタミル回路の主役にもなっています。

     

    γ-グルタミル回路というのは、簡単にいえばアミノ酸を細胞内に輸送する回路のことです。辞書には、このように書いてあります。

     

    形質膜中のγ-グルタミルトランスフェラーゼ(注:γ-GTP)が細胞内のグルタチオンと細胞外のアミノ酸を基質とし、生産物であるγ-グルタミルアミノ酸とシステイニルグリシンを細胞内に放出することにより、結果としてアミノ酸が細胞内に取込まれたことになる。

    (生化学辞典)

     

    太郎
    わかりにくいっす!

     

    たしかに非常にわかりにくいですね(笑)

    いまの説明を図にするとこんな感じになります。

     

     

    γ-GTP(γーグルタミルトランスフェラーゼ)が低値ということは、アミノ酸を細胞内に取り込む必要がない、取り込んでいないということになるわけですね。

     

    つまり、摂取しているタンパク質の量が、不足している可能性があるということです。

     

     

    ◆尿素窒素(BUN)

     

    1.理想値

    20㎎/dl前後が理想。

     

     

    2.尿素窒素はタンパクの老廃物

    γ-GTPを確認したら、尿素窒素(BUN)も確認します。

     

    BUNというのは、Blood urea nitrogenの略称です。一般的にBUNは、腎機能をみるための指標にもちいられています。

     

    しかし、BUN の生成過程をみれば、タンパク質摂取の指標にもちいることができることもわかります。

     

    食事で摂取したタンパク質の一部は、体をつくるために利用されます。そのなかの老廃物がBUNなわけです(悪くいえばゴミ)。老廃物は不要なものなので、排出する必要があります。

     

    BUNを排出するのは腎臓ですので、腎機能が低下すると排出ができなくなり、体内にたまることでBUNが高くなるわけです。つまり、腎機能が悪化していると判断できるわけですね。

     

    BUNの生成過程をみれば、タンパク質の摂取量が不足すると、BUNが低値になるのがわかりますね。ちなみにしっかりとタンパク質を摂取すれば、摂取量に比例して尿素産生が増えて、血中濃度も増加します。

     

    注意すべきは、BUNは筋肉が分解されると高くなる傾向があります。つまり、急性期や炎症などで筋肉の異化(分解)が亢進しているときは、指標にはなりにくいということですね。

     

    アルブミンとおなじように、みる場合には総合的に判断する必要があります。

     

     

    ◆実測値から検討

    わたしが3月に計測した血液データを検討してみようと思います。

     

    【血液データ】( )は理想値

    ・総タンパク:7.9(7.0以上)

    ・アルブミン:4.4(4.5以上)

    ・γ-GTP:25(20~50)

    ・尿素窒素:13.1(20前後)

     

    ややタンパク質不足傾向にあるようです。3月からすこし意識してタンパク質を摂取するようにしているので、どのように変化するか気にかかるといった感じです。

     

    みなさんはタンパク質足りてますか?

     

     

    【資料】

    (1)生化学辞典第4版、今堀和友ら監修、東京化学同人、2007

    (2)検査の参考書、中京東部医師会、2007

    (3)からだの検査数値、高久史麿監修、ニュートンプレス、2014

    (4)最新臨床検査のABC、橋本信也監修・編集、日本医師会、2006

    (5)医師が選択した驚異の『栄養療法』、溝口徹、文芸社、2001

    (6)心療内科に行く前に食事を変えなさい、姫野友美、青春出版社、2010

     

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