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    忙しい人のための要約
    誠実に生きるほうが、信頼をえることもできますし、長生きもできるようです。そもそも、他人がずるく生きてることに目くじらを立てたり、気になったりするのは自分らしく生きれていない証拠かもしれません。

     

     

    ◆誠実の意味

    そもそも誠実の意味はなんなんでしょうか?

     

    【誠実】

    私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。

    (goo辞書)

     

     

    ◆韓非子「巧詐は拙誠に如かず」

    古代中国の思想家に韓非子という人がいます。厳格な法治主義による統治を説きました。

     

    彼が書いた本が「韓非子」ですが、のちにこれを読んだ秦の始皇帝は「これを書いたものに会えるなら、死んでも悔いはない」と言ったそうです。

     

    また、三国志の諸葛亮孔明も、蜀漢の第二代皇帝である劉禅に、「韓非子」を読むようにすすめたといわれています。

     

    さて、韓非子は本のなかで、こう述べています。

     

    「巧詐は拙誠に如かず」

     

    巧詐というのは、「巧みにあざむくこと」。

    拙誠というのは、「つたない誠意」といった意味です。

     

    つまり、人を巧みにあざむいたりすることは、つたない誠意に及びませんよということです。

     

    巧詐と拙誠について、韓非子はふたつの例を挙げています。

     

    まずは巧詐の例から。

    魏の将軍である楽洋が、中山(ちゅうざん)という国を攻めました。

    怒った中山の王は、捕えていた楽洋の子どもを殺し、スープにして送りつけました。

    楽洋は、それを平気で飲み干しました。

     

    それを聞いた魏の君主である文侯は、側近にむかって言いました。

    「楽洋はわたしのために、わが子のスープまで飲み干したそうだ」

    それを聞いた側近は言いました。

    「わが子の肉まで食べる男ですよ。そんな人間は、どんな相手の肉でも食べてしまうでしょう」

    のちに楽洋は、中山を攻め滅ぼしました。

    しかし、文侯はその功績を賞したものの、楽洋にたいする疑心が晴れることはなかったそうです。

     

     

    つぎは拙誠の例です。

    魯という国の重臣である孟孫は、狩りに行って小鹿をつかまえました。

    それを部下の秦西巴に持って帰るように命じました。帰っていると、母鹿が後を追ってきて、悲しげに鳴くのです。

    秦西巴はかわいそうに思い、子鹿を母鹿に返してやりました。

     

    帰宅した孟孫は、例の小鹿をもってくるように秦西巴に命令しました。秦西巴は言いました。

    「かわいそうだったので、母鹿に返してしまいました」

    それを聞いた孟孫は非常に怒って、秦西巴を追放しました。

    ところが3カ月後、孟孫は秦西巴の追放をとり消し、わが子の守役に取りたてました。

    側近が不審に思い、孟孫に尋ねました。

    「どうして処罰した人間の罰をとり消し、守役につけたのでしょうか?」

    孟孫はこたえます。

    「子鹿にさえ情をかける男だぞ。きっとわが子にも情をかけてくれるだろう」

     

     

    こういう例をあげたあとで、韓非子は以下のように締めます。

     

    「故に曰く、巧詐は拙誠に如かず、と。楽洋は功あるをもって疑われ、秦西巴は罪あれるをもってますます信ぜられる」

     

    世の中には、権謀術数をもちいて這いあがっていくしかない考えている人もいます。

     

    しかし、権謀術数をもちいた「信用」は、つたない誠意からうまれる「信頼」には及ばないものです。

     

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    ◆誠実に生きている人は死亡リスクが低い

    誠実に生きることは、他人からの信頼を得るだけではなく、死亡リスクの軽減にもつながるようです。

     

    2013年に約76000人を対象にした研究報告があります。

    研究では、性格の傾向から①外向性、②神経質、③同調性、④寛容性、⑤実直性・誠実性の5カテゴリーに分けました。そして、それぞれを5段階で評価し、死亡リスクとの関連を調べました。

     

    結果はこうなりました。

     

    資料(2)より引用 資料(3)原典

     

    ⑤実直性・誠実性だけが死亡リスクと有意に関連がありました。

     

    実直・誠実な性格がつよい人(傾向④・⑤)は、傾向①にくらべて死亡リスクが37%低くなりました。

     

    逆に言えば、誠実さに欠ける人は、死亡リスクが1.4倍になったということです。

     

     

    ◆ずる賢く生きるなんて気にするな

    「生きていくには、ずるがしこさも必要ですか?」という質問に、厚切りジェイソンさんはこう答えています(改行・強調は筆者による)。

     

    この質問者はずるがしこい先輩を見て、そういうスキルは必要なのかと僕に聞いてきたけど、必要じゃないと思う。

    (中略)

    正直に生きて、成功した人がいるのであれば、そのスキルをあえて身につける必要はない。

    「ずるさがないと成功できない」というわけじゃない。あれば成功しやすいかもしれないけど、逆にそれが発覚したら問題になったりと、つまづきやすくもなるわけだから。

    先輩を見て、「あの人はずるをしたから成功したんだ」と思っているのなら、それは嫉妬だよ。他人と比較しているから、自分を不満に思う。

    自分の生き方に満足していれば、まわりがずるく生きていようが、どうでもいいんだ。

    (日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy)

     

    すばらしいアドバイスですよね。

    ずるく生きることに目くじら立てたり、興味をそそられるというのは、自分らしく生きていないからなのかもしれません。

     

    他人のずるさなんて気にするな。誠実に、自分が満足できるように生きればいい!

     

    そんなものなのかもしれませんね。

     

    【資料】

    (1)「韓非子」を見よ!、守屋洋、三笠書房、2009

    (2)長生きの統計学、川田浩志、文響社、2017

    (3)Enjoying life and living longer.[PMID:22332162

    (3)日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy、厚切りジェイソン、ぴあ、2015

     

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