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腸内細菌が性格を変え、病気を改善する

忙しい人のための要約
腸内細菌はうつ病、自閉症、機能性胃腸障害など多くの疾患の関係しているといわれています。腸内細菌は精神活性化合物を大量に作っており、迷走神経などを介して脳に影響を与えています(脳腸相関)。プロバイオティクス(善玉菌を含む食品)を摂るのはいいのかもしれません。

 

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目次

◆腸内微生物とは

資料(1)引用

 

腸内細菌(腸内微生物)についてはテレビやネットで取りざたされているので、耳にしたことがある人も多いと思います。

 

近年の研究では、腸内細菌叢が神経、内分泌、免疫機能などを介して中枢神経と通じ、脳機能や行動、感情などに影響を及ぼしていることが示唆されています(1)。いわゆる脳腸相関ですね。

 

ちなみに、叢(ソウ)とは草むらの意味で、微生物が集まった状態のことを意味しています。

 

 

◆腸は第2の脳

人間の感情は、神経伝達物質・ホルモンといった精神活性化合物によって調整されています。

 

神経伝達物質というのは、GABA・ドーパミン・セロトニン・アセチルコリン・ノルアドレナリンなどです。腸内細菌叢は精神活性化合物(神経伝達物質やホルモン)を大量につくっています。

 

資料(1)引用

 

これらの精神活性化合物は迷走神経などを介して、脳につながっており、そこから「第2の脳」とも称されています。脳に通じているということは、気分や感情といった精神・心理レベルに影響を与えるということであり、つまり腸内細菌叢によって性格や行動が左右される可能性があるということです。

 

うつ病や自閉症の人では、腸内細菌叢に異常がみられるとの報告もあります(2・3)。

 

 

◆腸内細菌で性格が変わる?

キャスリン・マコーリフさんの『心を操る寄生生物』(4)から引用します(改行・強調は引用者による)。

 

腸内細菌は人格まで左右している可能性がある。母性剝奪の研究をしたカナダのオンタリオ州にあるマックマスター大学のスティーヴン・M・コリンズとプレミシル・バーシックらのチームは、ふたつの異なる気性をもつ近交系マウス(近親交配を二〇世代以上繰り返して、九九パーセント以上同じDNAをもつマウス)を使って、この可能性を探った。

一方の系統のマウスはいつも物静かで、仲間たちと交流しようとしなかった。もう一方の系統のマウスはそれとは正反対の特徴を示し、より神経質で活動的、社交的であった。これらふたつの系統では微生物相[ママ]も大きく異なっていたので、研究者たちは一方の系統のマウスにもう一方の系統の腸内細菌を移植するとどうなるかを確かめてみた。

すると、基本的に性格がそっくり入れ替わったのだ。(中略)つまり、それぞれのグループのマウスは、腸内細菌を提供した系統に似た性質を示したことになる。

 

もちろん動物実験なので、人間にあてはめることはできません。しかし、人間の糞便を移植するという手術が行われているとも聞いたので、一概に否定はできないですね。

 

 

 

◆マウスの水泳実験

プロバイオティクスを用いた研究も増えています。プロバイオティクスとは、人体に好影響があるといわれる微生物(善玉菌)、それらが含まれた食品(ヨーグルトなど)のことです。

 

Bravoらのマウスを使った実験があります(5)。

 

 

まず、普通の食事を与えたマウスとプロバイオティクスを与えたマウスの二群をつくります。そして、二群のマウスを逃げ道のない水槽にいれます。パニックに陥ったマウスたちがどうなるかを観察しました。

 

資料(5)引用改編

 

結果は、普通の食事を与えた群は2分で泳ぐことをやめました(動かなくなりました)。たいして、プロバイオティクスを与えた群はそれよりも40秒も長く泳ぎつづけました。これは統計的に有意差が認められました。

 

つまり、腸内細菌が良好であると恐怖や絶望に対抗できるような性格になるかもしれないということです。

 

 

◆迷走神経がカギを握る?

資料(1)引用

 

図にもあるように脳と腸を結んでいるのは迷走神経です。さきほどの報告では、この迷走神経を切断するとどうなるかも調べています。

 

結果は、非常に興味深いものでした。プロバイオティクスを与えた群も、迷走神経を切断されると普通の食事を与えていたマウスのように、泳ぐことを早々にやめてしまったそうです。迷走神経って大切なんですね。

 

 

 

◆人間での研究(機能性胃腸障害)

もちろんマウスだけではありません。人間の研究もあります(6)。いくつかの医療機関を受診したにもかかわらず、症状が改善されなかった機能性胃腸障害を有した37人(12~80歳、男性18人・女性19人)を対象にしたものです。

 

ベースライン、プロバイオティクスの治療、その後の追跡の3つに期間を分けました。評価したのは胃腸症状、気分、唾液や尿に含まれるストレスマーカーです。

 

結果は以下のようになりました。

①②③:資料(6)引用、④:資料(6)より作成

 

・胃腸症状、気分などは有意に改善。治療期間を経てもその効果は継続した。

・治療中はストレス(8‐OHdG、コルチゾル)は有意に低下したが、治療をやめるとベースラインに戻った。

 

プロバイオティクスは胃腸障害を軽減するのみでなく、感情やストレスといった心理的ものも改善しました。やはり脳と腸は相関している可能性が高そうですね。

 

【資料】

(1)Mindaltering microorganisms: the impact of the gut microbiota on brain and behaviour.[PMID:22968153]

(2)Depression and inflammation: Examining the link.Current Psychiatry. 2013 June;12(6):24-32

(3)Gut Bacteria May Play a Role in Autism.

(4)心を操る寄生生物、キャスリン・マコーリフ(西田美緒子訳)、インターシフト、2017

(5)Ingestion of Lactobacillus strain regulates emotional behavior and central GABA receptor expression in a mouse via the vagus nerve.[PMID:21876150

(6)Continuous consumption of fermented milk containing Bifidobacterium bifidum YIT 10347 improves gastrointestinal and psychological symptoms in patients with functional gastrointestinal disorders.[PMID:25918671

 

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