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    忙しい人のための要約
    安静による筋機能(筋力や随意活性)の廃用を、運動のイメージによって予防できることが示唆されています。リハビリテーション(理学療法・作業療法)でも、イメージを利用することが大切だと思います。

     

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    ◆イメトレで跳躍力アップ

    とある報告によると、「ジャンプ」と声を出しながらジャンプをすると、声を出さないときよりもパフォーマンス(ジャンプの高さ)が向上したそうです(1)。

     

    文献(1)より引用改編

     

    同報告では、声を出すのみではなく心で念じたり、「ジャンプ」という音声を聞いたり、画面に映った「ジャンプ」という単語を見ただけでもパフォーマンス向上の効果が認められました。

     

    声や想像、音声、単語がジャンプのイメージを想起させ、それがパフォーマンスを向上させたのでしょうね。イメージの力はすごいですね。

     

     

    ◆イメトレで筋力もアップする

    イメージで筋力が増加するという報告がいくつかありますので、それらを紹介したいと思います。

     

    ①Yue・Coleらの報告

    1992年にYueとColeがイメージと筋力向上についての報告しています(2)。この研究では、以下のように3つのグループを設定しました。

     

    ・コントラクション群(最大筋収縮を実施)

    ・イメージング群(筋収縮をせずにイメージトレーニングのみ)

    ・コントロール群(なにも実施しない)

     

    3群は左小指外転筋の強化トレーニングを4週間(5日/週)実施しました。結果は以下のようになりました。

     

    文献(2)より引用改編

     

    トレーニングする前に比べると、①コントラクション群(29.75%)と②イメージング群(22%)は有意に筋力が増加しました。コントロール群は有意な増加は認められませんでした。

     

    ②Clarkらの報告

    2014年にアメリカオハイオ大学のBrian Clarkらもイメージと筋力の研究を実施しています(3)。

     

    文献(3)より引用

     

    この研究では、29人を対象として、非利き手の手首と手をギプスで固定しました。そして以下のように2つのグループに分けました。

     

    ・イメージトレーニング群(14人)

    ・非イメージトレーニング群(15人)

     

    イメージトレーニング群の訓練内容は、5秒間の筋収縮を想像+5秒間の休息の13回を1セットとして、セット間に1分間の休息を入れつつ、4セット(52回)/日を1週間に5日間というものでした。もちろん、筋収縮が実際に生じていると意味がないので、筋電図(EMG)を装着して、モニタリングしながら行われました。

     

    結果は以下のようになりました。

     

    文献(3)より引用改編

     

    筋力については、

    ・非イメージントレーニング群は45.1%低下

    ・イメージトレーニング群は23.8%低下

     

    つまり、イメージトレーニングをすることで、筋力低下を約50%も予防したことを示しているといえます。

     

    文献(3)より引用改編

     

    また、筋の活動性を示す指標であるvoluntary action(VA;随意活性)も、イメージトレーニングのほうが回復が早かったそうです。

     

    研究者たちは、イメージトレーニングを介した運動皮質領域の規則的な活性化が、筋力や随意活性の低下を阻害したのではないかと考察しています。たしかに運動イメージにより大脳皮質の一次感覚運動野、補足運動野、運動前野などの運動関連領域の活動が高まるという報告があるので(4)、そういうところが影響しているのかもしれません。

     

     

    ◆イメトレ+運動が最強!?

    2016年に出たシステマティックレビューによると、運動単体よりも、運動にイメトレを組み合わせたほうが効率的であるとされています(5)。

     

    これは臨床に活かすにこしたことありませんね。経費もかかりませんし。

     

     

    ◆絶対(ベッド上)安静でもできることがある

    上記のような報告を踏まえると、絶対安静のような動けない患者さんでもベッドの上で理学療法や作業療法を実施することができますよね。動かせないから運動できないとかリハビリテーション(理学療法・作業療法)できないというのは、非常に古い考えともいえます。

     

     

    ◆高齢者はイメージできない?

    しかし、リハビリテーションで対象となることが多い高齢者では、運動イメージを想起することが困難であるという報告もあります(6)。

     

    つまり、対象者がなるべく上手にイメージできるように医療者(セラピスト)は工夫する必要があります。

     

    【資料】

    (1)Effect of action verbs on the performance of a complex movement.[PMID:23844233

    (2)Strength increases from the motor program: comparison of training with maximal voluntary and imagined muscle contractions.[PMID:1597701

    (3)The power of the mind: the cortex as a critical determinant of muscle strength/weakness.[PMID:25274345

    (4)Potential role of mental practice using motor imagery in neurologic rehabilitation.[PMID:11494195]

    (5)Effects of Mental Imagery on Muscular Strength in Healthy and Patient Participants: A Systematic Review.[PMID:27803622

    (6)Motor imagery: the relation between age and imagery capacity.[PMID:17343949]

    (7)科学的に元気になる方法集めました、堀田秀吾、文響社、2017

     

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